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The Street Slidersが22年ぶりに再集結、日本武道館で見せた夢の続き

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The Street Sliders(撮影:土居政則)

The Street Slidersが5月3日に東京・日本武道館にてライブ「The Street Sliders Hello!!」を開催した。

1983年にデビューし、2000年に解散するまで唯一無二のロックンロールを鳴らし続けたThe Street Sliders。3月には、The Birthday、ザ・クロマニヨンズ、ALI、YONCE(Suchmos)、GEZAN、仲井戸麗市、中島美嘉、渡辺美里、斉藤和義、T字路s、SUPER BEAVER、エレファントカシマシといった豪華アーティストによるトリビュート音源を収録した40周年アルバム「On The Street Again -Tribute & Origin-」がリリースされ、リアルタイムでスライダーズの音楽に触れたことのなかったリスナーも巻き込み大きな話題を呼んだ。今回のライブは、スタッフやファンからの「叶わぬ夢物語かもしれないが、もう一度スライダーズのライブを観たい」という熱い思いを受けて実現したもの。武道館で4人が22年ぶりに再集結するということもあり、開催が発表されるやいなや瞬く間にチケットがソールドアウトとなった。

開演5分前のアナウンスが放送されると客席から自然発生的に拍手が沸き起こる。開演時刻の17時に近づくにつれ拍手の勢いはさらに増していき、メンバーの登場を待ちわびる観客の熱気が会場全体に広がっていった。定刻後しばらしくて客電が落ち、村越“HARRY”弘明(Vo, G)、土屋“蘭丸”公平(G, Vo)、市川“JAMES”洋二(B)、鈴木“ZUZU”将雄(Dr)の4人がステージに現れると、地鳴りのような大歓声が武道館に轟いた。

観客が固唾をのんで見守る中、4人はおもむろに楽器をセッティングすると、HARRYの「ハロー」という言葉を合図にミディアムチューン「チャンドラー」で悠然とライブをスタート。阿吽の呼吸で繰り出されるツインギターと、グルーヴィなベース、ズシリと重いドラムが混然一体となったルーズなロックンロールで再集結ライブの口火を切った。「どうもこんばんは、The Street Slidersです」という、寡黙で知られるHARRYらしい簡潔極まりないMCに「待ってました」とばかりに観客が喝采を送る。この日のライブでは1曲が終わるごとに、会場のあちこちから悲鳴にも似た歓声がステージに寄せられていたが、スライダーズは22年前となんら変わらず、過剰なアピールやパフォーマンスを一切行うことなく、ストイックに次々と楽曲を届けていった。

ゆったりとしたリズムが心地よい「BABY BLUE」に続けて、「Angel Duster」のイントロが鳴り響くと大きなどよめきが起こる。バンドが繰り出すクールで乾いたビートに乗って、HARRYの歌声が気怠げに響く。その後4人は、鋭利なギターリフと重く引きずるようなリズムが印象的な「Let's go down the street」、そこはかとなく浮遊感が漂う「one day」、やるせない雰囲気が楽曲全体を覆う「すれちがい」といったミディアム / スローナンバーを続けて演奏し、場内をメランコリックなムードで染め上げていった。アップテンポな「Pace Maker」で会場のテンションを高めたスライダーズは、続けて穏やかな雰囲気が漂う「ありったけのコイン」を演奏。無骨ながらも温かなHARRYの歌声に観客は静かに聴き入っていた。

「それじゃあ、新しいやつを……」という紹介から演奏されたのは、HARRYと蘭丸によるユニットJOY-POPSの楽曲「曇った空に光放ち」と「ミッドナイト・アワー」。4人は、スライダーズの解散から今に至るまでのミッシングリンクをさりげなく繋ぎ合わせてみせた。ここでメンバー紹介を挟みソロコーナーに。蘭丸は1985年発表のアルバム「夢遊病」に収録された「天国列車」、JAMESは1995年発表のシングル「FEEL SO SAD」のカップリングに収録された「Hello Old Friends」をそれぞれ歌唱してコアなファンを唸らせた。

疾走感あふれる「So Heavy」でライブは終盤に突入。サビの「So Heavy」というフレーズに合わせて観客が手を挙げて盛り上がり場内に一体感が生まれる。蘭丸の奏でるキャッチーなフレーズで幕を開ける「Back To Back」ではダンサブルなビートに観客が心地よさそうに体を揺らす。本編最後に届けられたのは「風の街に生まれ」。眩いライトがステージを照らす中、4人は高揚感あふれる演奏で場内を盛り上げてステージをあとにした。

盛大なアンコールの声に応えてメンバーが再びステージに登場。1曲目に届けられたのは「のら犬にさえなれない」。解散ライブのラストでも演奏されたスライダーズ屈指の名バラードを観客たちはじっくりと堪能していた。「俺たちの40周年ライブに関わってくれたすべての関係者に感謝したい。今日は来てくれてありがとう」とHARRYが感謝の気持ちを述べると、スライダーズは最後に「TOKYO JUNK」をアグレッシブにパフォーマンス。この4人でしか生み出すことのできない極上のロックンロールサウンドで最後まで観客を魅了して、夢の続きを体現してみせた。演奏を終えるとエンディングSEが流れ、メンバーは、しばしステージにとどまり、ステージ後方までぎっしり埋まった満員の客席を感慨深そうな表情で見渡し、四方から寄せられる歓声に手を挙げて応えていた。

メンバーがステージから去ってもエンディングSEは鳴り続け、再アンコールを期待する拍手が場内に鳴り響く。すると突然、ステージ上方から垂れ幕が落とされ、そこには「ザ・ストリート・スライダーズ 秋・ツアーやるゼィ!」というメッセージが。さらなる夢の続きを提示するサプライズに会場全体から一斉に歓喜の声が沸き起こり、22年ぶりとなる再集結ライブは大団円を迎えた。

「The Street Sliders Hello!!」2023年5月3日 日本武道館 セットリスト

01. チャンドラー
02. BABY BLUE
03. Angel Duster
04. Let's go down the street
05. one day
06. すれちがい
07. Pace Maker
08. ありったけのコイン
09. 曇った空に光放ち
10. ミッドナイト・アワー
11. 天国列車
12. Hello Old Friends
13. So Heavy
14. Back To Back
15. 風の街に生まれ
<アンコール>
16. のら犬にさえなれない
17. TOKYO JUNK