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【ライブレポート】『Grasshopper vol.12』観るものの感情を揺さぶった3組の対バン パーカーズ×メとメ×板歯目

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『Grasshopper vol.12』4月24日@下北沢DaisyBar Photo by 清水舞

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2023年4月24日(月)、Grasshopper vol.12が下北沢DaisyBarにて開催された。この日共演するバンドはパーカーズ、メとメ、板歯目の3組。それぞれ違った持ち味を観客にぶつけ、フロアの奥までいっぱいになったライブハウスを大きく盛り上げた。

パーカーズ

彼らは「太陽」だった。ステージに登場した瞬間から満面の笑み。観客に対して目一杯大きく手を振る姿に徐々に心が明るくなる。楽器を持ち、息を合わせると『君が好き』が始まった。1曲目からポップさが弾ける彼らの明るさに呼応して、ライブハウスの奥までいっぱいになった観客全員が手を高く挙げる。「君が好き」と何度も伝える彼らの賑やかさがフロアに伝染し、ライブハウスが一気に暖かい雰囲気に変わった。続く『ハッピーをちょうだい』が始まると、歌に合わせて手拍子が起こる。老若男女が楽しめるキャッチーなメロディーで、目の前にいる人に幸せを届けるポップミュージックだ。曲が終わると「パーカーズでーす!!」と元気に叫び、メンバー全員の笑い声が聞こえる賑やかな雰囲気を見せてくれた。「飛べてますかー!」と豊田賢一郎(Vo/Gt)が問いかけると、飛び跳ねて観客が応える。そうしたコミュニケーションからもパーカーズというバンドの親しみやすさが伝わってきた。

続く新曲『ランデブー』。曲の最初の切なげな弾き語りから、勢い付いたドラムがビートを刻む。サビではフロア中の拳が上がり、観客を盛り上げた。綺麗にハモリを見せるリードギターのフレーズが特徴的だ。そのまま『こんな夏がいい』に続く。豊田が「みなさんもうそろそろ夏ですよ!!ぶち上げていきましょう!」と声をかける。軽やかなリズムで爽やかな夏の空気感を作り出す一曲だ。手拍子で曲に乗る観客に対して「めっちゃいいよ!」と応えるメンバーの様子から、ライブを通してファンとの暖かな関係性を築いていることがわかる。

『運命の人』では、技術の高さも十分に発揮されていた。人を惹きつけ、元気を与える。楽曲の底なしのポジティブさに、彼らの作るポップミュージックの潜在的な力を見出す。「みんなハッピーになれましたか!」と問いかけると、観客から大きな歓声が上がった。最後の一曲は『ONSEN』。のんきなリズム感と曲中に聞こえてくるメンバーの笑い声の混じった曲が、観客の気持ちをほんのりと暖かくする。最後には高くピースを掲げ、彼らの人柄が滲み出たライブは幕を閉じた。パーカーズという「太陽」は、フロアにあたたかさと幸せを届けてくれた。

メとメ

円陣を組んだ3人は拳を重ね、声を掛け合い、気合いを入れる。くっく(Dr)の力強い4カウントから始まったのは『始まりの終わり』。眉間に皺を寄せ、歌に思いっきり感情を乗せる。その表現力のある歌声に引き込まれた。続く『中華屋さん』では、軽やかなリズムで、始めから観客の手拍子が乗る。綺麗なコーラスが曲に厚みを作った。こばやしかな(Vo/Gt)は軽く挨拶をし、MCからは彼女の明るい人柄が滲み出ていた。

「こんな夜には似合わない歌を」と言って始めたのは『HAIYO』。優しいギターの音と消え入りそうなくらいの囁き声で伝える弾き語りに観客は息を呑んだ。じんわりとした温かみを持った曲を届けてくれた。『ただいまが似合う街』は、長野出身のこばやしが名古屋に来て思ったことを歌ったという。美しく重なるみも琴未(Ba)のコーラスが、メとメの楽曲らしさを引き立たせた。

『急がば回れ』では、イントロのベースの弾けるような低音、リズムのキャッチーさに心が躍る。ステージでは笑顔が飛び交っている。観客はその笑顔があふれるステージに呼応し、拳を高く上げて楽しんでいた。続く『あんたのこと』は、こばやしなりの音楽へのラブソングだという。疾走感のあるこの曲で、彼女たちは大好きなバンド、ライブハウスへの愛を精一杯伝えた。「今日は本当に来てくれてありがとうございました!」と観客に感謝を伝え、ベースとドラムでの軽快な繋ぎからそのまま続いた『ハッピースター』。ギターが歪み出し、スピードに乗った弾き語りから始まった。「ギターを担いで辿り着いたのは、眠れない夜を生きる僕らが集まる、いつものライブハウス」。そんな歌詞からも強く伝わってくるほどに、メとメのライブハウスへの愛は大きいのだろう。彼女たちの想いを乗せた暖かい曲は、私たちの心にまっすぐ届いた。

板歯目

1曲目は『ラブソングはいらない』。ギラギラとしたギターの音色、大きく振動するベースの歪み、鼓膜を破裂させるようなドラム、がなりと叫びの混じる力強い歌声。彼らにしか出せない独特なサウンドに一瞬で惹き込まれた。そのまま2曲目の『エバー』では怒りの感情を含んだような、より重く気持ちの乗った歌声が放たれる。ステージフロントの千乂詞音(Vo/Gt)とゆーへー(Ba)は大きく頭を揺らし、飛び跳ね、庵原大和(Dr)は椅子の上に立ち上がる。狂ったようにライブを楽しむ3人がいた。『芸術は大爆発だ!』では、強い歪みでまるで音階を無くしてしまったようなギターが特徴的だ。赤い照明に照らされたステージが、『まず疑ってかかれ』では、曲の始まりから頭を揺らすような音の振動が伝わってくる。3人それぞれが自分の鳴らしたい強力な音をかき鳴らし、カオスでありながら、一体感のあるサウンドを披露した。

MCでは、力強い歌声から打って変わって、恥ずかしそうに言葉を発する。このギャップも板歯目の魅力の一部だろう。ライブであれば、うちに秘める熱い想いをぶちまけることができる。精神を解放するこの瞬間を大事にしているのだとまっすぐ伝わってくる。そうした想いを音楽に乗せて『くそったれ人生最悪の』でぶちまけた。続く『dingdong jungle』では、かわいらしいポップな歌声からがなりを含んだ歌声まで、多彩な表現力を見せる。曲中に聞こえてくる庵原の笑い声やシンガロングでの言葉のずれなど、全てが楽曲の表現の一部として機能していた。

続く『Ball & Cube with Vegetable』では、寸分の狂いもないドラムの技巧が光った。そのあとドラムの金物での素早いカウントから華麗なスタートを切ったのは『KILLER, Muddy Greed』。長いベースソロを颯爽と引き切るゆーへー、荒れ狂うようにギターをかき鳴らす千乂の姿に目が釘付けになった。最後の曲は『地獄と地獄』。早口で畳み掛けるような語りと叫び声に最後まで興奮が止まらない。アンコールでは『ちっちゃいカマキリ』を演奏し、技術力の高さを再確認する。熱く盛り上がったフロアで観客は高く拳を突き上げ、板歯目の作り上げるノイズと興奮の世界に浸った。

Text by らいれいな
Photo by 清水舞

『Grasshopper vol.13』は5月29日(月)下北沢CLUB Queにて開催!

イベント公式サイト:
https://fan.pia.jp/grasshopper/

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