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日々の憤りも感傷も味わい深く痛快に昇華された新作『PINEAPPLE』をリリース 斉藤和義インタビュー

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斉藤和義

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今年の8月でデビュー30周年を迎える斉藤和義。4月12日にリリースされた22枚目のオリジナルアルバム『PINEAPPLE』に収録された全13曲のベーシックな部分はプライベートスタジオでひとり多重録音。日記のように綴られた歌詞には風刺的な要素や心に沁みてくる情景が織り交ぜられている。4月29日からスタートした全国ツアー『KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2023“PINEAPPLE EXPRESS”~明日大好きなロックンロールバンドがこの街にやってくるんだ~』の開催前にオンラインでインタビューを実施。あの飄々とした雰囲気で、ふだんの曲作りの様子から各楽曲の制作エピソードなどをマイペースに明かしてくれた。そんな新曲群をひっさげて出発する“PINEAPPLE EXPRESS”ツアーにも胸が高鳴る!

ベーシックなことはプライベートスタジオでひとり多重録音

――約2年ぶりとなるニューアルバム『PINEAPPLE』の制作は順調でしたか。

順調な曲と難産だったのと両方ですけど、この2年ぐらいの間にちょこちょこ作ってた曲を13曲選んだ感じです

――ちなみに難産だった曲というのは?

「100年サンシャイン」(M-10)とかそうですね。オタフクソース創業100周年記念ソングとして依頼されたので、そのお祝いも兼ねて作った曲なんです。依頼者側のコンセプトと自分の歌いたいテーマみたいなのとを擦り合わせて、お互いにとって良い結果になるところに落ち着くまで悩んだり、考えたりする時間が意外と長かったというか…、作り出したら早いんですけどね。

——今作にはほかにも「底無しビューティー」(M-4)(※雪印 恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト ドリンクCM曲)や「俺たちのサーカス」(M-13)(※ENEOS 「春のEneKey キャンペーン」テーマソング)などのタイアップ曲が収録されています。こういうタイアップ曲というのはいつもどのような思いで作っているんですか。

タイアップ曲としては数カ月くらいしか使われないけど、こっちとしてはその時限りじゃなくて、一生歌っていく歌になるので。たとえ入口はタイアップでよそからのお題だったとしても、出来上がった曲は自分が妥協せず、ずっと歌っていけるものを作ろう!っていう思いで作っています。

斉藤和義「底無しビューティー」MV

――今作は1曲目の「BUN BUN DAN DAN」から勢いがある展開ですね。何かに憤っているようにも感じられて、聴いてる方もすごく掻き立てられます。この曲ができたきっかけは?

単純に1曲目はアップめな曲がいいなっていうのがあって。この曲ができた時に1曲目にしたいなってすぐに思って。去年の暮れぐらいにできた曲でベースから作っていったんです。ビートルズのドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ Get Back』が一昨年に公開になって。それをすごい楽しみにしていたのでずっと観てたんです。それで、ポール(・マッカートニー)が使ってるベースの弦をよくよく見ると黒いナイロン弦を張ってて。それがすごい気になったので真似して自分のベースにも張ってみたら、エレキベースなんだけどウッドベースのような雰囲気の音になって。ポール独特の音って、これだったんだと。そんな中で、あのリフから曲だけができて、そこに“BUN BUN DAN DAN”って単語をどんどん並べてったら面白いかなと思ってできた感じです。

――コーラスで俳優の大森南朋さんが参加されてますね。

彼はバンドもやってるし歌も歌っていて、自分と仲も良いので参加してもらいました。前にもああいう雄叫び系のコーラスで参加してもらったこともあるので。やっぱ自分のひとりの声だと広がりに限界があるし、違う人の声を重ねるとコーラスにも厚みが出てくるんです。

――そうなんですね。ユーモラスな感じもありつつ、風刺的で反戦メッセージみたいなものも込められてるのかなと。

うん、そういうのもあると思いますね。拳上げてどうこうっていうつもりもないですけど、ああいう感じで面白おかしく言いたいなっていうのはありますかね。

――今作は全13曲中半分以上、ほとんどひとりで多重録音されていますね。

そうですね、13曲中10曲ぐらい、基本はひとり多重録音で録ってます。この3、4年の間に自分専用の作業場みたいのがやっとできまして。自分がパソコンのソフトで録音すれば、ほぼCDクオリティで録れちゃうぐらいの場所を作るのがずっと夢だったんです。そこにドラムとか、ピアノとか楽器もマイキングも全部セッティングしてるので、空いた時間にちょこちょこ通っては録ってみたりしてて。そのテイクがレコーディングにそのまんま使える感じにもなってきてるので、プライベートスタジオでベーシックなことは大体録っちゃうことが多くて。その後、足りないものはダビングしたり、ミックスも別のレコーディングスタジオでやるんですけどね。

――プライベート・スタジオにゲストの方も呼ばれることもあるんですか?

いや、それは別のレコーディングスタジオで録ってて。そこに(今作では)藤原さくらちゃんをボーカルで呼んでみようとか、(大森)南朋くん呼んだりとか、そういう感じですね。

――斉藤さん自身はマルチプレイヤー的に全部ひとりで作り上げるっていうスタイルを確立させたいという思いが強いんでしょうか。

うーん……、何がなんでもってわけじゃないんですけど、割と今までのどのアルバムも大体ひとりでやっちゃってるのも多くて。今回は(バンド)メンバーと入ってる時間がなかったっていうこともあるんですけど、ちょうど弾き語りのツアーの合間にレコーディングもしてたので、普段やってるメンバーが忙しかったのもあったりして。あと、自分の曲だったら、自分のドラムやベースが歌いやすいし、グルーヴも同じ人がやると同じノリになったりするところがあって。それをツアーでやる時には、また別のメンバーとやって、また感じが変わるのが自分の楽しみでもあるので。レコードはひとりでやっちゃおうかなっていうことが割とメインになってきてますね。

――ライブでやる時は他のメンバーとのライブバージョンで聞けるわけですね。

そうですね。ライブはひとりでやるわけにいかないから、やっぱり演奏する人が変わると、それだけで感じも変わるし。それを自分がまず楽しみにしてるところはあります。

ダメだと思ってるところを乗り越えれば楽しいことが待ってるはずだ。そういう気持ちがある曲が多い

――今年は8月でデビュー30周年を迎えますね。今作を作る上で何か意識されたりはしましたか。

今作は特別考えないようにしようっていう感じで。

――ではデビュー30周年記念作は、また次回以降ということで。

そうなると思います。発表はまだなんですけど……。

――「Over the Season(Album ver.)」(M-7)とか、「マホガニー」(M-11)とか「泣いてたまるか」(M-12)は個人的にすごくグッときたんですけれども。こういう曲を聴いてると、デビューから30年の年月を経て、今の斉藤さんならでは立ち位置で歌われてるのかなと感じました。

30年かどうかわかんないけども…、この2年ぐらいの間に感じたことが日記的な感じで出てきた曲が多いんです。今まで作ってきたものも、後で聞くと、あの頃こんなこと思ってたなっていう記憶のアルバムのように感じることがあって。毎度、作ってる時期の自分の心境だったり、気分が反映されてるので。今回は55、6歳の頃の自分の記憶のアルバムって感じでしょうかね。

斉藤和義「Over the Season」MV

斉藤和義「泣いてたまるか」MV

――「マホガニー」はギターと猫がモチーフになっていますね。

ああ、これはたまたま新しいギターと古いギターを同時期に買ったんです。それと、ちょうど長年飼ってた猫が死んでしまったり、また新しい猫を迎えたりというタイミングが去年バタバタと続いちゃって……。そんなのが曲になった感じなんですけどね。

——すごくパーソナルな情景が感じられます。

「マホガニー」とか「君のうしろ姿」(M-6)とかは、さっき言った自分のプライベートスタジオで出来てきた曲なんです。やってるうちに明け方になってくると、帰り際に適当にギター弾いて、なんでもいいから適当に口から出るまんま歌ってみて録音することがあるんです。それを後で自分で(歌詞の)文字起こしたりして仕上げていく。だから「マホガニー」も「君のうしろ姿」もその時の心境がそのまま言葉になってて……。自分でも、ああこんなこと感じてたんだな…って後からわかる。たまにそういうふうに曲ができることあるんですけど、その2曲はそういう感じだったんですよね。

――牧歌的でカントリータッチの「Pineapple(I'm always on your side)feat.藤原さくら」(M-3)は、今の時代の中で不安を感じている子供たちに向けて、やさしく歌っていかけているように感じました。

これは初めて(歌詞を)英語で作ったんですけど、英語が話せるわけでもないので、辞書引きながらって感じで。最初、デタラメ英語で歌ってて、なぜか“パイナップル”って言ってるな…というところから広がっていったんです。日本語で作るときもそうなんですけど、 「問わず語りの子守唄」とかも“問わず語りの子守唄”って(自分の口から出た言葉が)そう言ってたんですよね。きっと口がそう言いたいんだなって……。

――そうなんですね(笑)。

“問わず語りの子守唄”ってなんだ?って、いうところから広げていったりするパターンも結構多いんですよね。だから、“パイナップル”もそこはそう言いたいなっていうのがあって。そこから、パイナップルって皮が硬いし、中は甘いしっていうところからいいテーマになるかもしれないと思って作っていったら、子供に向けてのような感じもあるし、自分に向けてるような部分もあるし、誰にとってもそういう感じかもな……っていう感じなんですけどね。

――斉藤さん自身に向けて歌っている気持ちも入っていると?

そうですね。(歌詞の内容は)大まかな感じとしては、もうダメだと思ってるようなところを乗り越えれば、楽しいことが待ってるよっていう感じで。他の曲もベースにはそういう気持ちがある曲が多いなと思って。大変なことを乗り越えた先に楽しいことが待ってるはずだっていう。それで、「Pineapple」の一節をから取ってアルバムタイトルも『PINEAPPLE』でいいかって感じになったんですよね。単純に“PINEAPPLE”っていうロゴが、ジャケットのデザインもしやすいだろうなぁ~とか、ツアーグッズにもなりやすいだろうな…とか、そういうことも頭をよぎりつつ。この56、7のおっさんがパイナップルとか言ってるのが、なんかアホっぽくていいなと思ったり……。

――(笑)なんか可愛いですね。おしゃれな感じもあって。

そうそうそう(笑)。なんかね、かしこまったタイトルより、それくらいの単純な方がいいかなと思ったり……。

――THE FIRST TAKEで公開された「明日大好きなロックンロールバンドがこの街にやってくるんだ」(M-9)はホーンセクションが入った新バージョンで収録されていて。ライブへと気持ちが煽られる最高のナンバーです! このアルバムを引っ下げて、今月末からツアーが開催されますね。どんな内容になりそうですか。

まずは、このアルバムがメインですけど、しばらくやってなかった昔の曲を引っ張り出してきてみたりしてて、セットもけっこう金かかってるって感じです。

――ライブ会場でもだんだん声出しができるような状況になってきてますよね。

うん! うれしいですね。コロナ禍で声出せずに拍手だけの感じも、拍手の長さで(みんなの)感情が伝わってきて、あれはあれですごいグッとくるものもあったけど、今回はちょっとガツンとした曲を多めに選んでるので。お客さんも声出してくれて、成立するようなタイプの曲もあるので。やっぱ声出してくれると助かるんだけどなってところもありますね。

――コロナ禍で制限されてる時期が長かったんですけど、そろそろまた熱いライブが体感できそうです。

そういう風になるといいですね。まだ会場によっては声出しできないところもあるみたいですけど……、通常通りに戻りつつある感じなので、また一緒に盛り上がれたらうれしいです。

Text:エイミー野中

<リリース情報>
斉藤和義 ニューアルバム『PINEAPPLE』

発売中

●通常盤(CD):3,300円(税込)

斉藤和義『PINEAPPLE』通常盤ジャケット

【CD収録内容】
01. BUN BUN DAN DAN
02. 問わず語りの子守唄
03. Pineapple(I’m always on your side)feat. 藤原さくら
04. 底無しビューティー
05. 寝ぼけた街に
06. 君のうしろ姿
07. Over the Season(Album ver.)
08. 朝焼け
09. 明日大好きなロックンロールバンドがこの街にやってくるんだ(Album ver.)
10. 100年サンシャイン
11. マホガニー
12. 泣いてたまるか
13. 俺たちのサーカス

配信リンク:
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VICL-65670.html

<ツアー情報>
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2023“PINEAPPLE EXPRESS”〜明日大好きなロックンロールバンドがこの街にやってくるんだ〜

※終了分は割愛

5月12日(金) 奈良・なら100年会館 大ホール
開場17:45 / 開演18:30

5月13日(土) 和歌山・和歌山県民文化会館 大ホール
開場16:00 / 開演17:00

5月15日(月) 大阪・オリックス劇場
開場17:30 / 開演18:30

5月16日(火) 大阪・オリックス劇場
開場17:30 / 開演18:30

5月21日(日) 山梨・YCC県民文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
開場16:00 / 開演17:00

5月27日(土) 栃木・栃木県総合文化センター
開場16:15 / 開演17:00

5月30日(火) 広島・広島文化学園HBGホール
開場17:30 / 開演18:30

6月1日(木) 岡山・岡山市民会館
開場17:30 / 開演18:30

6月3日(土) 京都・ロームシアター京都 メインホール
開場16:00 / 開演17:00

6月4日(日) 兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
開場16:00 / 開演17:00

6月7日(水) 東京・NHKホール
開場17:30 / 開演18:30

6月10日(土) 神奈川・神奈川県民ホール 大ホール
開場16:00 / 開演17:00

6月15日(木) 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru
開場17:30 / 開演18:30

6月16日(金) 北海道・苫小牧市民会館
開場17:45 / 開演18:30

6月18日(日) 北海道・コーチャンフォー釧路文化ホール 大ホール
開場16:15 / 開演17:00

6月24日(土) 秋田・あきた芸術劇場ミルハス 大ホール
開場16:15 / 開演17:00

6月25日(日) 青森・八戸市公会堂
開場16:15 / 開演17:00

6月27日(火) 宮城・仙台サンプラザホール
開場17:30 / 開演18:30

6月29日(木) 山形・希望ホール(酒田市民会館)
開場17:45 / 開演18:30

7月6日(木) 新潟・新潟県民会館
開場17:45 / 開演18:30

7月8日(土) 石川・本多の森ホール
開場16:15 / 開演17:00

7月9日(日) 長野・長野ホクト文化ホール 大ホール
開場17:00 / 開演17:30

7月13日(木) 三重・三重県文化会館 大ホール
開場17:30 / 開演18:30

7月15日(土) 愛知・刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
開場16:00 / 開演17:00

7月16日(日) 静岡・静岡市民文化会館 大ホール
開場16:00 / 開演17:00

7月22日(土) 埼玉・川口総合文化センターリリア メインホール
開場16:00 / 開演17:00

7月26日(水) 島根・石央文化ホール
開場17:45 / 開演18:30

7月27日(木) 山口・KDDI維新ホール
開場17:30 / 開演18:30

7月29日(土) 広島・ふくやま芸術文化ホール リーデンローズ 大ホール
開場16:00 / 開演17:00

7月30日(日) 愛媛・松山市民会館 大ホール
開場16:15 / 開演17:00

【チケット料金】
指定席:7,700円(税込)
着席指定席/注釈付指定席:7,700円(税込)
立見/立ち位置指定席:7,150円(税込)

※指定席以外の席種の有無は会館によって異なります。

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2341581

ツアー特設サイト:
https://www.kazuyoshi-saito.com/tour_2023/

関連リンク

オフィシャルサイト
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レーベルサイト:
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A013689.html

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