【「さよなら中野サンプラザ音楽祭」連動企画】Awesome City Clubインタビュー「“本当に楽しかった”というのを持って帰ってもらいたい」
音楽
インタビュー
Awesome City Club Photo:山本佳代子
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中野サンプラザ50年の歴史の集大成となる音楽イベント「さよなら中野サンプラザ音楽祭」(2023年5月1日~7月2日)。6月17日(土) にはAwesome City Club(以下オーサム)がワンマン公演を開催する。
オーサムが中野サンプラザでライブを行うのは、2021年8月のワンマンライブ「Awesome Talks - One Man Show 2021 -」以来、2度目。今年リリースされた新曲「Talkin’ Talkin’」や「アイオライト」(TBS系火曜ドラマ『王様に捧ぐ薬指』挿入歌)を含め、“今”のオーサムを体感できるステージになりそうだ。
――オーサムは2021年8月に初めて中野サンプラザのワンマンライブを開催。今振り返ってみると、どんなライブでしたか?
atagi 名だたるアーティストの方々がライブを行ってきた歴史もあるし、“音がいい”という話もよく聞いていて。ずっとやってみたかった会場だったので、すごくうれしかったです。
PORIN すごく久しぶりのライブだったんですよね。ツアーではなく、単発のワンマンだったのもあって、すごく緊張していて。ステージに上がった瞬間の、お客さんと久々に再開したときの景色は今でもすごく覚えてます。
――ステージがガーデン風に装飾されてましたよね。
PORIN そう、たくさん植物を置いて。中野サンプラザはすごく趣がある建物なので、有機物が合うんじゃないかなと思って。ライブ前の影アナも自分でやったんですよ。
モリシー そうだった(笑)。コロナの影響もあって、思うようにライブができない時期だったんです。自分の“ライブ筋”もちょっと弱くなってて。そんな状況のなか会場に来てくれた方と対面して、音楽を届けられたのはすごくうれしかったですね。
――観客として中野サンプラザの思い出は?
atagi たくさんあるんですけど、初めて中野サンプラザに行ったのはたぶん、2006年の大みそかの椿屋四重奏のライブですね。ちょうど彼らがメジャーデビューを発表したタイミングでした。ライブ、素晴らしかったです。中田裕二さんのメロディセンスやコードワークがすごく好きなんですよ。
PORIN 私は銀杏BOYZ、きのこ帝国、ORANGE RANGE、ビッケブランカさんのライブを見させてもらいました。銀杏BOYZはとにかくカッコよかったし、きのこ帝国はギターのサウンドが超気持ちよくて。ORANGE RANGEは3人(PORIN、atagi、モリシー)で行ったんですけど、お客さんの熱気がすごくて、ちょっとモヤがかかってました(笑)。
モリシー そうだね(笑)。
PORIN ヒット曲のオンパレードで、めちゃくちゃ盛り上がってました。ビッケブランカさんのライブもすごくよかったです。ライブの前に中野の韓国料理屋さんでごはんを食べたんですけど、お店で『勿忘』(Awesome City Club)がかかってたんですよ。
モリシー 俺は気志團のライブが印象に残ってます。atagiと一緒に見たんですけど、「One Night Carnival」をずっと引っ張ってたんですよ(笑)。
atagi 演劇みたいな感じだったんですよ。タイムリープして、『One Night Carnival』を演奏するのを阻止するっていう(笑)。
モリシー めちゃくちゃ笑いました(笑)。もちろんアーティストによってまったく違うんですけど、中野サンプラザは音が柔らかくて、耳馴染みがいいんですよ。
――最近のオーサムの活動についても聞かせてください。3月にリリースされた配信シングル「Talkin’ Talkin’」は、渋谷の音楽文化の発展を目的に立ち上げられたプロジェクト「SHIBUYA MARK CITY CITY POP PROJECT」イメージソング。ダンサブルかつカラフルなポップチューンです。
atagi 渋谷マークシティ(渋谷駅直結の複合施設)の方から“一緒にやりましょう”とお話をいただいて書き下ろした楽曲ですね。マークシティの周辺はずっと馴染みがある場所なんですよ。もともとPORINと僕は渋谷の道玄坂の途中にあった音楽スタジオのバイト仲間で。いろんなクラブやライブハウスに行ったり、みんなで飲みに行ったり、あの辺りでずっと過ごしていて。
PORIN 思い出がありすぎますね。
モリシー 渋谷で朝までリハをやって、マークシティの近くの松屋で朝ごはん食べたり(笑)。
atagi そうだね(笑)。渋谷は軽やかなイメージもあるし、いろんなルーツ、いろんなファッションの人たちが集まっていて、人種の坩堝みたいな感じになっていて。その面白さを曲にしたのが、「Talkin’ Talkin’」ですね。
――マークシティで撮影されたMVもめちゃくちゃ楽しくて。
PORIN そうなんですよ。渋谷のバス停のところにある屋台みたいなチケット売り場も出てきて。そこは本当に昔からあるんですよ。渋谷はどんどん開発されて、新しい施設も出来ているけど、一方でずっと変わらないところもあって。その両方が表現されているのもいいなって思います。
――そして4月には「アイオライト」をリリース。ドラマ『王様に捧ぐ薬指』挿入歌として制作された切ない楽曲です。
atagi 原作や台本を読ませてもらって、どんなシーンで使われるかをお聞きして、情景やストーリーをインプットしたうえで制作しました。橋本環奈さんが演じる主人公(羽田綾華)の葛藤や素直になれない気持ちなどを反映していて。オーサムの楽曲の方向性としては、際立って女性の色が濃く出るように作ってみたかったんですよね。
――感情の揺らぎを表現したPORINさんのボーカルがとにかく素晴らしくて。
PORIN ありがとうございます。すごく難しかったんですよ、この曲。atagiさんとも“ニュアンスが大事だよね”って話してたんですけど、いい感じで力抜いて歌うのを意識していて。自分の中にある繊細な部分を出せるようにがんばりました。
モリシー すごく繊細で切ない楽曲なので、ギターを録音するときもそういうニュアンスを意識してました。自宅でダビングしたんですけど、起き抜けだったので、パジャマで弾いたんですよ(笑)。
――ダンサブルで華やかな「Talkin’ Talkin’」、メロウで繊細な「アイオライト」はまったくタイプが違いますが、どちらもACCらしさが出てますよね。
atagi 「Talkin’ Talkin’」は僕が全面的に歌っていて、「アイオライト」はPORINがメインボーカルですからね。オーサムをあまり知らない人が聴けば、同じバンドとは思われないかもしれないけど、それが自分たちの形なので。
――新曲をライブで聴けるのも楽しみです。そして6月17日(土) には音楽イベント「さよなら中野サンプラザ音楽祭」の一環として中野サンプラザでワンマンライブを開催します。
atagi すごく光栄ですし、自分たちのとっても久しぶりのワンマンなんですよ。まだライブでお披露目していない曲もたくさんあるし、自分たちの過去、現在、未来を感じてもらいたいと思ってます。
PORIN 単刀直入に言うと、“本当に楽しかった”というのを持って帰ってもらいたいんですよね。今、自分たちがやりたいことをしっかり見つけて、みなさんにも一緒に楽しんでもらえたらなって。
モリシー 新曲も音源とは違う感じになると思うので、楽しみにしてほしいですね。
atagi 今回は生音に回帰というか、今だから芽生えたアグレッシブさみたいなものも見てもらいたくて。
PORIN “ステージの上に楽器やアンプをいっぱい置こう”みたいな話もしてます。以前はできるだけステージ上をスッキリさせていたんですけど、今回はメンバーが楽しんで演奏している姿も見てほしいなって。もしかしたら使わない楽器も置いてあるかも(笑)。
――生感が味わえるライブになりそうですね。
atagi “ゆり戻し”もあると思います。昨今は楽器やアンプがどんどんデジタルになって、シミュレーターもめちゃくちゃ進化していて。すごく便利だし効率的なんだけど、今は逆に“ムダなことが面白いよね”という感じになってるんです。
PORIN 中野サンプラザという場所も、生音が似合うと思っていて。そこに引っ張られた部分もあります。
モリシー ライブハウス魂みたいなものが出ちゃうかも(笑)。
atagi 楽器や音のこともそうなんですけど、“この人たち、何者なんだろう?”ということもライブを通じてわかってもらえたらなと。人となりや考え方、バックボーンみたいなものが音楽を通じて見えてくるというか。そういうことを含めて、今のオーサムを存分に感じてほしいですね。
Text:森朋之 Photo:山本佳代子
<ライブ情報>
「さよなら中野サンプラザ音楽祭」
日程:2023年6月17日(土) 開場17:00 / 開演18:00
会場:東京・中野サンプラザホール
出演:Awesome City Club
料金:7,000円
チケット発売中:
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2303724&rlsCd=001
「さよなら中野サンプラザ音楽祭」公式サイト:
https://sayonaranakanosunplaza.com/
<リリース情報>
Awesome City Club 配信シングル「アイオライト」
配信中
https://www.awesomecityclub.com/discography/Iolite
プロフィール
Awesome City Club(オーサムシティクラブ)
2013年東京にて結成。メンバー自身の幅広いルーツをMIXした音楽性を持つ、男女ツインボーカルの3人グループ。2015年4月にファーストミニアルバム『Awesome City Tracks』をリリースし、iTunesロックチャートで1位を獲得するなど話題を呼んだ。コンスタントに全国ツアーも行いながら、国内外の大型フェスティバルにも出演。2021年のフジロックフェスティバルグリーンステージ、2022年のサマーソニックのステージも話題に。Awesome City Clubとしての活動以外にも、atagiは作家として様々なアーティストへの楽曲提供を、モリシーはギタリストとして数々のライブやレコーディングへの参加、またPORINはPii名義でのソロ活動やアパレルブランドの立ち上げなど、様々なシーンで注目を集める存在となっている。
Awesome City Club オフィシャルサイト:
https://www.awesomecityclub.com/
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