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さまざまな角度から描かれた「出来事」を通してアーティストの立ち位置に注目『出来事との距離』6月3日より開催

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フランシスコ・ゴヤ『戦争の惨禍』より「見るにたえない」1810-20年 町田市立国際版画美術館蔵

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ニュースや戦争を描いた作品にふれるときには、時代や立場によって表現できることが違うと気づかされることがある。そうした気づきを出発点とした企画展が、東京の町田市立国際版画美術館で、6月3日(土)から7月17日(月・祝)まで開催される。

例えば、時事を描くことができなかった江戸時代の浮世絵では、過去の歴史上の出来事や古典の物語になぞらえて、同時代の出来事を描いていたという。あるいは、画家が自身の経験を描くときには、時が経ったことで初めて伝えられるようになることや、表現が深まることもあるだろう。出来事との距離は、時代やアーティストの立ち位置によっても異なってくるのだ。

同展は、こうした視点から選んだ収蔵作品と若手アーティストの作品を合わせて約150点を展観するものだ。主な作家は、フランシスコ・ゴヤ、月岡芳年、小林清親、畦地梅太郎、浜田知明、馬場檮男、石井茂雄、郭徳俊、松元悠、土屋未沙、小野寺唯、ソ・ジオなど。

例えば、スペインの巨匠ゴヤは、ナポレオン戦争やスペイン内戦の惨禍を目の当たりにし、戦争の悲惨な様相を執拗なまでに描き出した。浮世絵師の芳年は、幕末から明治初年にかけては、時事的なテーマも歴史画のかたちで描いていたが、明治期には時事報道の分野で活躍し、新聞の挿絵を多く手がけている。一方、第二次世界大戦中の自身の軍隊経験を描いた浜田知明は、戦後「初年兵哀歌」シリーズで評価を高めたが、時を経るにつれて、戦争の構造に迫る作品も発表していくようになったという。

今回の見どころのひとつは、現代の若手アーティストたちの作品の展示もあること。なかでも特集する松元悠は、メディアやSNSが伝えるニュースの現場を実際に訪れて想像を働かせ、当事者の姿を自画像で描く作風で知られる。日常と地続きにある「事件と人間の不可解さ」に分け入る試みである。

古今東西のアーティストたちが、戦争やニュースとなる出来事、あるいは日常の出来事にどう向き合ってきたのか、それぞれの作家の「出来事との距離」に注目する興味深い展覧会だ。

<開催情報>
『出来事との距離―描かれたニュース・戦争・日常』

会期:2023年6月3日(土)〜7月17日(月・祝)
会場:町田市立国際版画美術館
時間:10:00~17:00 土日祝は17:30まで(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜(7月17日は開館)
料金:一般800円、大高400円(6月3日は無料、6月28日のシルバーデーは65歳以上の方無料)
美術館公式サイト:http://hanga-museum.jp/ 美術館公式サイト:
http://hanga-museum.jp/

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