『ディズニー・オン・クラシック～夢とまほうの贈りもの 2023』開幕　「自然」をテーマに、映像と音楽が融合した全23曲を披露

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ぴあ

23/5/17(水) 12:00

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ディズニー・アニメーションや映画・テーマパークの音楽を、物語を紡ぐ映像とともに、オーケストラとヴォーカリストの生演奏で届ける音楽会「ディズニー・オン・クラシック～夢とまほうの贈りもの 2023」が5月13日、J:COMホール八王子で開幕した（全国16都市で18公演）。本稿では開幕を前に、同所で行われた公開リハーサルの模様をお届け。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオとの共同制作によって、名曲の数々をガラコンサート形式で披露する本公演、そこに散りばめられた夢あふれる“まほう”の数々を紹介したい。

ウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年を祝う特別なキャッスルロゴとともに幕明けたコンサート。1曲目を飾ったのが、「ディズニー・オン・クラシック」初出演となる指揮者・辻博之、THE ORCHESTRA JAPANの演奏、二期会のヴォーカリストたちのコーラスによる『ズートピア』の「オリジナル組曲」だ。

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの映画制作陣が編曲、特別に編集した映像が日本初披露され、作品のテーマである「絶対にあきらめない心」、そして、違いを個性として認め合うことで、きっと人生は豊かになるというポジティブなメッセージが躍動感たっぷりに披露された。

続く2曲目は、人を癒すケアロボットのベイマックスと、天才少年ヒロとの“心の絆”を描いた物語『ベイマックス』より「オリジナル組曲」。最愛の兄を失ったヒロの荒んだ心を、献身的にサポートするベイマックスの優しさが、電子的な音とオーケストラが融合した楽曲で表現された。ユーモア、アクション、感動が詰まった特別映像も必見。さらに、牧野元美による日本版エンドソング「Story (English Version)」が会場全体を温かな雰囲気に包んでいた。

不朽の名作『バンビ』からは、「メイン・タイトル（愛のうたごえ）」「4月の雨」「春のしらべ」「ルッキング・フォー・ロマンス（あなたに歌を）」「山火事／再会／フィナーレ」。雨や風といった自然の音や、鳥のさえずりなどの動物が奏でる音を、オーケストラが繊細に演奏。どんな楽器で奏でているか、ぜひ耳をすませたい瞬間だ。音楽とシンクロするスクリーンの映像や、照明演出はもちろん、二期会のヴォーカリストたちが本領を発揮する美しいハーモニーに酔いしれたい。

プレゼンターのささきフランチェスコによる、貴重なキャラクターデザインやコンセプトアートなどの秘蔵画像を用いた映画制作秘話も見どころの一つ。それまで脇役扱いだった動物を主人公にした『バンビ』で、数えきれないほどのスケッチと共に研究と開発が繰り返されたウォルト・ディズニーの強いこだわりが、『ライオン・キング』の制作にまで継承されていることがわかるはずだ。

第1部を締めくくるのは、ウォルト・ディズニーの“変化し続ける映画にしたい”という遺志を継いで制作された『ファンタジア／2000』より「火の鳥」（1919年版）。ストラヴィンスキー作曲のバレエ音楽をモチーフに、荒れ果てた森がよみがえる物語を通して、大自然の「死と再生」を描き出す。THE ORCHESTRA JAPANが奏でる繊細かつダイナミック、荘厳でドラマチックな演奏を、春の妖精、気高いエルク、火の鳥が織りなす幻想的な映像とともに堪能したい。

第2部は「Bittersweet Selection 〜想い」＆『ライオン・キング』

実写版映画から、甘く切ない3曲を届ける＜Bittersweet Selection 〜想い＞でスタートした第2部。鹿野浩史は『魔法にかけられて』より「そばにいて」を歌唱し、主人公ジゼルの旅立ちと成長を表現。牧野元美による「ホエン・シー・ラヴド・ミー」（『トイ・ストーリー2』）は、持ち主との楽しい思い出と、時が経ち忘れられてしまうオモチャの宿命を描き出した。また、アニメ版では歌う機会が少なかった“野獣”のために書き下ろされた「ひそかな夢」（『美女と野獣』）では、菅原洋平がベルの幸せを祈りながら、運命と折り合いをつけ、ひそかな夢を待ち続ける野獣の決意を歌い上げた。

第2部最後は、アニメーション映画『ライオン・キング』から全8曲が壮大なスケールで披露された。アフリカの大地を背景に、“生命の環”を歌い上げる「サークル・オブ・ライフ」では、印象的なズールー語のオープニングを鹿野・新堂・菅原から1名が、日替わりで担当。続く牧野元美のソロでは、大迫力の演奏に乗せた、力強くハートウォーミングな雰囲気が客席に届けられた。

重田栞が無邪気な子シンバを担当する「王様になるのが待ちきれない」では、ザズーの鹿野浩史と子どものナラの田谷野望とのコミカルな掛け合いが、観客の心を躍らせ、スカーが歌う「準備をしておけ」では、後藤春馬の響き渡る重低音が、客席を圧倒していた。この楽曲では、会場全体が緑のライトに染まるので、ファンシーカラー★ダイヤモンド・ライトを“緑”に灯して、ハイエナの一員になるのも楽しみ方のひとつだ。

“問題ない”“気楽にいこう”を意味する「ハクナ・マタタ」は、思わず体が揺れる陽気なナンバー。新堂由暁が伸びやかにシンバを歌いあげ、リプライズでは、オーケストラとゲストのオールスタンディングが復活した。拍手やペンライトで、一緒に盛り上がれば、ステージとの一体感を味わえるはずだ。新堂由暁と松原典子のデュオで歌う、シンバとナラのラブバラード「愛を感じて」や、迫力満点の「時は来た」など、親子の絆・友情・愛・勇気を描いた感動のストーリーが映画に負けずとも劣らない迫力で展開し、誰もがアフリカの大地に立つ主人公になれるプログラムだ。

「自然」をテーマに、披露されたのは、アニメーション映像と音楽が融合した全23曲。最後は、観客との合唱が復活した「星に願いを」で会場がさらに一体となり、新たな幕開けを迎えた「ディズニー・オン・クラシック～夢とまほうの贈りもの 2023」の興奮と感動は、最高のクライマックスを迎えた。