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埼玉WKの連覇か? S東京ベイの初優勝か? NTTリーグワン2022-23プレーオフ決勝キックオフ!

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松田力也(埼玉ワイルドナイツ) (C)スエイシナオヨシ

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いよいよ第2代チャンピオンが決まる。5月20日(土)・国立競技場での『NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23』プレーオフトーナメント決勝で埼玉ワイルドナイツとクボタスピアーズ船橋・東京ベイが雌雄を決するのだ。

下馬評では王者有利である。確かにレギュラーシーズンの戦いぶりを見ても、直接対決を振り返っても、『NTTリーグワン2022-23』プレーオフ準決勝のパフォーマンスを比べても、試合間隔を数えても、埼玉WKに分がある。

『NTTリーグワン2022-23』で埼玉WKは15勝1敗・勝点66の1位、S東京ベイは14勝1分1敗・勝点65の2位で続いた。埼玉WKがリーグ最少270失点に抑えれば、S東京ベイはリーグ最多636得点を叩き出した。

無敗対決となった第10節の直接対決では、何物をも貫く矛を何物をも通さぬ盾が防いだ。3月4日・熊谷スポーツ文化公園ラグビー場。1トライ1ゴール1PGのSO山沢拓也のひとり舞台となった埼玉WKに対して、S東京ベイはオーストラリア代表75キャップのSOバーナード・フォーリーが4本のPGを積み重ねて12-10で前半を折り返した。埼玉WKのお株を奪う試合巧者ぶりを覗かせて後半勝負に備えたが、“逆転のワイルドナイツ”の餌食となった。50分山沢がこの日ふたつめのトライをマークすると、直後のG、61分にPGも成功させた。65分にフォーリーがPGを決め返すと、その3分後には山沢はドロップゴール一閃。79分にはWTB長田智希のとどめのトライで30-15。鉄壁のディフェンスを有す埼玉WKが爆発的な攻撃力を誇るS東京ベイをノートライに封じたのだった。

そもそも両軍の対決は『トップリーグ』以降、埼玉WKの18勝3敗である。S東京ベイの白星は『トップリーグ2006-2007』まで遡らないといけない。

負けない埼玉WKだが、4月15日の『NTTリーグワン2022-23』第15節・静岡ブルーレヴズ戦にて25-44で敗れて連勝がストップ。不戦敗を除いて『リーグワン』で初黒星、『トップリーグ』時代を含めて47試合負けなしが止まったのだった。だが、この4年4か月ぶりの敗戦で、埼玉WKに死角はなくなった。

マリカ・コロインベテ(埼玉ワイルドナイツ) (C)スエイシナオヨシ

『NTTリーグワン2022-23』最終節で逆転プレーオフ進出を諦めない東芝ブレイブルーパス東京を34-22で下すと、埼玉WKはプレーオフ準決勝で王者の貫禄を見せ付けた。5月13日・秩父宮ラグビー場で最初にペースを握ったのは横浜キヤノンイーグルスだった。14分に先制トライを許し、18分に日本代表29キャップのSO松田力也がPGを返した2分後には南アフリカ代表46キャップのSHファフ・デクラークの早いリスタートからWTBイノケ・ブルアがトライを陥れ3-14と主導権を握られるも慌てず騒がず。埼玉WKはペナルティを誘ってはPGを狙い、35分に松田が隙を見つければドロップゴールをズバリ。松田のDGに触発されたのか、その3分後には日本代表70キャップのSO田村優が超ロングDGを決め返したが、前半終了間際にはその田村がシンビン(10分間の一時退場)となり、埼玉WKは当然のショット選択。前半は15-17と出色のパフォーマンスを見せた横浜Eに十分なリードを築かせなかった。

後半、数的有利のチャンスを逃さず、CTBディラン・ライリーがビッグゲインでゴール前に迫ると、オーストラリア代表51キャップのWTBマリカ・コロインベテがピック&ゴーで逆転トライ。53分にはFB野口竜司のハイパントキャッチからディランがキックパス、ここでコロインベテが異次元のスピードでインゴールへ駆け抜けた。

さらに57分ディランのトライで36-20。67分に南ア46キャップのCTBジェシー・クリエルが一発退場となり、70分松田のPGで加点すると、再びコロインベテが爆走する。SH小山大輝の素早いリスタートからコロインベテが左サイドを駆け抜けて44-20。見事ハットトリックを決めたのだった。その後も埼玉WKは攻め手を緩めず、ディフェンスも集中力を保って51-20でノーサイドの笛を聞いた。

(写真左より)坂手淳史主将(埼玉ワイルドナイツ)、ロビー・ディーンズ監督(同) (C)JRLO

試合後、ロビー・ディーンズ監督は「イーグルスから厳しいプレッシャーを掛けられ、前半は流れを掴めなかった。その中でも選手たちがやるべきことを見つけて勝利に導いてくれた。坂手(淳史)キャプテンを中心に冷静に落ち着いてプレーし、スコアボードに得点を刻んだ。その結果、後半モメンタムを取り戻してくれた。選手たちの成長を誇りに思うし、タフな選手たちだと実感している」と選手たちを称えれば、HO坂手主将は「イーグルスが前半からアタックしてくることは想定内。ただ、ヴァル(アサエリ愛)のイエローカードは想定外。最初の10分間でひとり少なくなったので厳しかったが、力也のキックの精度がすごく良かったので、3点を重ねていった。ショットの選択は、僕と力也で判断して、迷いなく決定することができた」と司令塔のキックに舌を巻いた。

100%の成功率で3G5PG1DGを決めてプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出された松田は初の新国立でのプレーに思いを馳せた。
「そんなに角度がないキックが多かったが、自分の役割を果たせて良かった。(POMは)僕じゃないと思うし、マリカも3トライした。キックを蹴られるのは味方がトライを取ってくれるから。
(新国立は)初めてなのでワクワクしている。リーグワンの開幕戦も流れて去年のプレーオフも出ていないし、オールブラックス戦も出られなかったので、どんな感じか楽しみ。ただグラウンドでは楽しみをひとまず置いて、自分のプレーに集中するだけ」

バーナード・フォーリー(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ) (C)スエイシナオヨシ

一方、S東京ベイの準決勝は薄氷を踏む勝利となった。5月14日・秩父宮で14人の東京サンゴリアスに最後の最後まで苦しめられた。

前半開始5分でLOツイ ヘンドリックが退場となり、東京サンゴリアスは数的不利に陥った。しかし、14人全員がハードワークし、10-7と東京SGがリードして前半を終える。数的不利を跳ね除けて横浜Eを相手に32-23で逃げ切った第3節の再現を狙う東京SGに、相手の体力を削り後半に勝負を決めたいS東京ベイ。両軍の思惑がぶつかる後半はさらにヒートアップした。47分10番フォーリーのPGで追い付けば、54分ニュージーランド代表50キャップのSOアーロン・クルーデンがPGを決めて再び3点差に。56分日本代表47キャップのFB松島幸太朗のキックを南アフリカ代表47キャップのHOマルコム・マークスがチャージ。マークスがボールを確保したPRオペティ・ヒルからパスを受けて距離を稼ぐと、次のフェーズでNO8ファウルア・マキシがゴール前に迫る。最後マークスが逆転トライを叩き付けた。65分東京S Gがスピーディなパス回しから途中出場の尾崎泰雅が左サイドを疾走、中央に回り込んでボールを置いたが、TMOでSH流大のノックオンが判明し、トライは取り消しとなった。70分フォーリーのPGは失敗したが、ならばとリーグワン得点王がフィニッシュを担う。77分インゴールまで残り5mでのマイボールスクラムから連続攻撃、フォーリーが守備網の綻びを見逃さずダメ押しトライ。CGも決めて24-13で勝負ありと思われた。

しかし、ここから東京SGが奇跡的としか言いようがないアタックを連発する。連続攻撃から80分クルーデンがトライを奪って18-24に迫り、ラストワンプレーに懸ける。84分に松島のビッグゲインからパスを受けた尾崎泰が左サイドを突破しトライを決めるも、TMO判定で流のスローフォワードが判明してノートライに。しかし、その前にS東京ベイのペナルティも判明し、東京SGボールでプレーは続く。86分クルーデンの絶妙なタッチキックで残り5mの位置でのラインアウトを確保。東京SGはモールを押し込みインゴールになだれ込んだが、TMOでもグラウンディングが確認できず。24-18でS東京ベイが初の決勝進出を決めたのだった。

(写真左より)立川理道主将(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、フラン・ルディケHC(同) (C)JRLO

試合後、HCと主将は反省の言葉を並べつつ、初の決勝進出を控えめに喜んだ。
フラン・ルディケHC「サンゴリアスはひとり欠けている中、14人ですごく努力していた。戦術面も変え、アタッキングマインドがすごかった。パフォーマンス的には完全にハッピーではないが、初めての決勝戦に向けてしっかり準備していきたい。
すごく大事な局面が今日は何度かあった。そういったところでしっかりと選手が結束しスコアに変えたことで、相手にプレッシャーを与えられたと思う。最後の5分も、ハードワークしたことが結果につながった。選手同士でしっかり繋がり、80分間戦ってくれた」

立川理道主将「サントリーは14人になってからも素晴らしいラグビーをした。クボタとしてはやりたいラグビーがなかなかできず、かなりタフな試合になってしまった。そこでしっかりと勝ち切れたのは自信にもなったし、初の決勝進出という新たな歴史を刻めたのも、自分たちが今までやってきたことを信じて戦ってきたからこそだと思う。みんなの表情を見ても、まだまだこれではダメだという雰囲気。次のファイナルに向けて、みんな気持ちを切り替えていたので、本当にチームとしても成長していると思う。もう一度、いい準備をして、ファイナルに向かっていきたい」

埼玉WK戦に向けてコメントを求められると、ふたりは自分たちフォーカスだと口を揃えた。
ルディケHC「決勝はまた別の試合になると思う。まず選手にしっかりとリカバリーさせたい。いつも通りのプランを遂行しつつ、普段よりも1日少ない準備期間の中でどれだけできるか。自分たちにフォーカスし、どれだけ自分たちのパフォーマンスを高められるかに取り組んでいきたい」

立川「パナソニックとは何度も試合をしているし、どの局面でも隙のないチームだと思う。これまで何度もチャンピオンにもなっているし、何度も決勝を戦っている選手がいる。そういう経験の部分では自分たちはまだまだ少ないかもしれないが、自分たちにフォーカスをして、相手がどこだろうと自分たちのラグビーをするだけ。そうすれば必ず結果が付いてくると思う。相手の大きな特徴は頭に入れるが、そこばかりに集中するのではなく、自分たちが何をしたいのかという点に重きを置いてやっていきたい」

マルコム・マークス(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ) (C)スエイシナオヨシ

両チームの試合登録メンバーは次の通り。
【埼玉WK】
1稲垣啓太、2坂手淳史、3ヴァル アサエリ愛、4マーク・アボット、5ルード・デヤハー、6福井翔大、7ラクラン・ボーシェー、8ジャック・コーネルセン、9内田啓介、10松田力也、11マリカ・コロインベテ、12ダミアン・デアレンデ、13ディラン・ライリー、14長田智希、15野口竜司、16堀江翔太、17クレイグ・ミラー、18平野翔平、19リアム・ミッチェル、20大西樹、21小山大輝、22山沢拓也、23竹山晃暉

【S東京ベイ】
1紙森陽太、2マルコム・マークス、3北川賢吾、4青木祐樹、5ルアン・ボタ、6トゥパ フィナウ、7末永健雄、8ファウルア・マキシ、9谷口和洋、10バーナード・フォーリー、11木田晴斗、12立川理道、13ライアン・クロッティ、14根塚洸雅、15ゲラード・ファンデンヒーファー、16スカルク・エラスマス、17加藤一希、18オペティ・ヘル、19ヘル ウヴェ、20玉置将也、21藤原忍、22テアウパ シオネ、23ハラトア・ヴァイレア

下馬評通りに埼玉WKが貫禄の連覇を果たすか、それとも決勝の大舞台で自分たちのラグビーを実践しS東京ベイが悲願の初優勝を遂げるのか。懸念された天気もどうやら回復してくるようだ。あとは2年目のシーズン締め括る大一番を心行くまで楽しむだけである。『NTTリーグワン2022-23』プレーオフトーナメント決勝は5月20日(土)・国立競技場にてキックオフ。チケット発売中。試合の模様は日本テレビ系にて生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

[NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 プレーオフトーナメント 決勝]
5月20日(土) 14:35
<埼玉ワイルドナイツvsクボタスピアーズ船橋・東京ベイ>
国立競技場

チケット情報はこちら
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2343373

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