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令和のタクミくんシリーズ主演・森下紫温と加藤大悟が大切にした“距離感”「恋愛によって心の傷が埋まっていく」

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インタビュー

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左から)森下紫温、加藤大悟 撮影:友野雄

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全寮制の男子校を舞台に繰り広げられる、過去のトラウマから“人間接触嫌悪症”を患うタクミくんと、スパダリな学園の人気者・ギイとのピュアなラブストーリー──それが平成時代に乙女の心をわしづかみにした学園BL小説の金字塔『タクミくんシリーズ』(著者/ごとうしのぶ、イラスト/おおや和美(KADOKAWA)だ。

今までに漫画化、カセット・CD化、舞台化、複数の映画化などで、小説以外でも独自の魅力を振りまいてきたが、なんと2023年5月27日より新シリーズ映画『タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。』(監督/横井健司)が公開! ダブル主演としてタクミくん役は、はにかんだ笑顔が魅力の新人・森下紫温。ギイ役は舞台を中心にキャリアを積み、今回は主題歌も担当する加藤大悟。長年の筋金入りファンはもちろん、トキメキを求める令和の新ファンからも、大きな期待が寄せられている。

今日は、この30年以上の歴史を誇る名作BLに挑んだ2人に、作品の魅力、演技の裏話、撮影エピソードなどについて、大いに語ってもらった。

生身の人間が演じて初めて生まれたギイの魅力

──実は『タクミくんシリーズ』の長年のファンなので、今回どういう感じになるのかなとドキドキしながら試写を拝見したのですが……タクミくんの愛らしさがそのまま出ている森下さんの演技を、とても楽しませていただきました!

森下紫温さん(以下森下) 本当ですか!? ファンの方々からの感想をまだいただいていないので、今すごくうれしいです。

──まだ芸歴も長くない中の主演だったので、不安が大きかったのではないでしょうか。

森下 今もめっちゃ不安です(笑)。やっぱりこんなに歴史があって、たくさんのファンがいらっしゃる作品なので、いまだに「僕で大丈夫だったのかな?」とよく思います。撮影中はよく眠れなくなりました。

──どれくらいの期間で撮ったんですか?

森下 場所などの兼ね合いもあって、短い期間でギュッと詰め込んでの撮影でした。半月くらいでしょうか。

──アッと言う間に終わった感じ。

森下 まさにアッと言う間でしたね。自分はやっぱり出番が多いので、半月間ずっと朝から晩まで毎日出ずっぱりでした。一番、疲れから眠気がヤバい頃は、たまたまベッドで目が覚めるシーンがあったのですが、ガチ寝しちゃいました(笑)。

──可愛い(笑)。一方のギイですが、加藤さんのギイはカリスマ性があってとてもカッコよかったです! この大人気BL作品にW主演をしてみて、いかがでしたか?

加藤大悟さん(以下加藤) 僕はこの『タクミくんシリーズ』という作品に、映画に出演することで初めて触れたわけですが、「すごくわかりやすい」という印象を持ちました。わかりやすいがゆえにファンの皆様も自由に解釈しやすいし、逆に深掘りもしやすい。映画の台本を読みながら、わかりやすく観客に伝える大切さを改めて学びました。そして今回、タイトルに“始まり”という言葉が入っていますが、その始まりならではのピュアさがたくさん散りばめられています。

(C)2023 ごとうしのぶ/KADOKAWA・「タクミくんシリーズ」製作委員会

──加藤さんはいつも舞台でご活躍されていますが、映画は初出演ですか?

加藤 映画には初めて出演しました。舞台だと体を大きく動かして表現するんですが、映像はほんの少しの笑みや、小さな悲しみの表情なんかを、パンッと抜かれちゃうので、一瞬たりとも気が抜けない。いえ、もちろん舞台で気を抜いているってことはないんですが(苦笑)、より気が抜けない。

──ギイというャラクターに関しては、どんな解釈をなさりましたか?

加藤 僕なりの解釈を原作ファンの方の前で話すなんて、すごくありがたいなあ。

──こちらもワクワクしています!

加藤 いわゆるスパダリで完璧なギイは、いろんな人に愛されていて、唯一無二の存在で、すごくお金持ちで、すごく高貴なイメージを周囲から持たれています。でも僕は、ギイは自分の中でたくさんの葛藤を抱えていると思っていて。

──周囲から見て完璧イコール悩みがない、ではない。

加藤 生身の僕がギイを演じるにあたり、憧れている人のことを想像して、そういう人の苦労ってどんなものがあるんだろうって考えたんです。そうしたらギイの、例えばタクミくんにもっと早く寄り添いたかったのにできなかったジレンマや、自分があるからこそ、自我があるからこそいろんな壁に阻まれて生活している苦労が思い浮かんで……。僕がギイを演じるにあたって、そういう人間らしさっていうのが出せたら新たな魅力になると思いました。

──ファンとしては「わかってくれている……」と感じます。

加藤 本当ですか? よかった、よかった。

──ギイってスパダリだけど、完全無欠じゃないんです!

加藤 そうなんですよね。そういう人こそ、ガラスのハートを持っていたりとか、傷つきやすい部分を持っていたりとかするから。そこを補ってくれるのがタクミくんっていう、素晴らしい存在かと。

──わかります、タクミくんが必要だったんですよね!

加藤 その始まりを描いたのが、この『タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。』なんです。でもその「ギイがタクミくんを必要な部分」を、僕はファンの皆さんに安易に伝えたくなくて。考えてほしかったんです。だからすごく難しかったですけど、いろんなことを試して想像の余地が残る演技を、楽しくさせていただきました。

──ギイはクールに見えるけど、タクミくんに関しては、実は「好きになってもらえるんだろうか」みたいな……自信満々じゃないんですよね。

加藤 やっぱり強そうに見える人に限って弱い部分っていうのを持っていて。しかもそれを人前で発散できないから、ストレスや葛藤やもどかしさっていう人間らしさが生まれてくる。それは映画でしかというか、人でしか表現できないと思うんです。

──生身の人間が演じるからこその、不完全さの魅力が垣間見えるんですね。

加藤 原作の物まねをするのではなく、以前の映画シリーズのものまねをするわけじゃなく、僕と紫温ちゃん2人だけにしかできないギイとタクミくんを、今回はやらせていただきました。

「落とすか落とされるか!?」の演技バトル

──タクミくんを演じるにあたり、森下さんが悩まれたことや、こだわったことを教えてください。

森下 実はタクミくんは、コミュニケーションが苦手ということはなくて。利久っていう親友には心を開いているし、根暗とか、性格が悪いとか、そういうんじゃ絶対ないんです。だからこそ、人間接触嫌悪症っていう存在しない症状を、どうやって表現したらいいのかすごく悩みました。正解がないからこそ、自分の中で解釈していくしかない。

──人に触られそうになって拒むところとか、大げさになってもわざとらしくなっちゃうし……。

森下 触られたら気持ちが悪くなるのか、寒気がするのか。症状が明確にはわからないから、ないものを生み出すって難しいと思いました。

加藤 でもいい風に言えば、そこは自分で自由に表現できるところだから。僕と紫温ちゃんの2人で一緒に「どうすればいんだろうね」って言い合って、演技を作り上げていけたよね。

──協力してお芝居を作っていったんですね。

加藤 悩みどころは他にもありましたが、ぶつかるたびに2人ですごく考えて考えて結論を出していけたので、今思い返しても素敵な体験でした。

──演技の醍醐味のひとつって、そういうことなんだろうなと感じます。

森下 他にも、タクミくんはキャラそれぞれとの距離感が違うから、そこはこだわりました。この人とは当たり前に目を見て話せる、一緒に隣を歩ける。でもこの人の目は見られない、別のこの人は少し体を近づかれるとウワッとなる、とか。

──タクミくんの信頼度によって、変わってしまう。

森下 そう、パーソナルスペースの大きさが人によってタクミくんは変わるっていうのを、麻生先輩にはこれくらいかな、ギイには最初はこれくらいだけど、後半になるにつれてはこれくらい。利久にはこれくらいとかって、自分の解釈に加えて横井監督からの指示もいただけたので、とても大事にして演技しました。

──お互い撮影が進むにつれて、「ギイってカッコいいな」とか「タクミくんってかわいいな、いいなあ」って思うような瞬間はありましたか?

加藤 それはすごくありました。役として映像の中で生きて、失敗したりいい感じになれたりしますが、自分の中にはギイもいれば元の自分もいるんで。

──俺はお前で、お前は俺で状態?

加藤 いや、わかんないですけど(笑)。まあそんなような状態で例えば壁ドンしたり、キスしたり、手をつないじゃったのに人間接触嫌悪症で離されちゃったりとか、その都度リアルに感じるものがあって。

──ちょっとドキドキしちゃいそう。

加藤 そして悪い意味でとらえていただきたくないんですが、このタクミくんシリーズは、先ほども言いましたけど、本当にわかりやすくてすごいって僕は思っているんです。

──素直なラブストーリーですよね。

加藤 演じていくうちに「なんでタクミくんは離れて行っちゃったんだろう」とか、「ここで絶対、タクミくんを好きにさせる」とか、そういう感情が自然になっていきやすかった。そして紫温ちゃんともコミュニケーションが取れていたので、本番前に「ここ、こんな風な気持ちだよね」ってお互い合わせられたのはすごくよかった。もう本番になったときは2人してバトルだと思っていました。落とせるか落とせないかっていう芝居としてのバトル。最後のほうなんてお互い好きだから、紫温ちゃんは勝手にこう、ギイを誘惑する感じて落としにくるけど、僕自身もちゃんと落としに行くみたいな(笑)。

森下 バトルでしたね。

加藤 そういうところが、すごく面白かったです!

(C)2023 ごとうしのぶ/KADOKAWA・「タクミくんシリーズ」製作委員会

図らずも導くギイに導かれるタクミくん状態に!

森下 実は僕、演技経験が圧倒的に少なかったこともあり、最初はそんなバトル感覚がお芝居の中で生まれるとは思っていませんでした。

──デビュー間もなかったですし、無理もないです。

森下 でも大悟くんと共演して、大悟くんが自分をリードしてくれて、色々学べました。「今、こういう表現をしてくれたから、俺はこうやって返せたんだよ」「今、俺がこういうリアクションを取れたのは、紫温がこう言ったからだよ。もし逆にこうしていたら、違うリアクションになってそれもアリだったよ」とか、具体的に言ってくれて。

──すごい、理想的な現場です。

森下 撮影2日目の前日、大悟くんが「ウチ来なよ」って誘ってくれたので、大悟くんの家で2人で読み合わせもしているんです。僕が何もわからないから、本当にずっと導いてくれました。その結果、リードするギイとリードをされるタクミくんの関係性に近いものが、撮影の現場から意図せず出来上がっていました。

──スッと演技に入りやすそう。

森下 そうなんです、すんなり2人の関係性に入りこめたのは、そういうところが大きかったんだと思います。

──短い期間ながら、すごく密にやり取りされていたんですね。

加藤 僕は本当に、コミュニケーションをとって、一緒に頑張ろうぜっていうエネルギッシュな現場が大好きなんで。

──舞台での経験からですか?

加藤 そうです。紫温ちゃんがたくさん僕のことを言ってくれましたけど、それらって全部、僕も先輩から教えてもらったことで。それを紫温ちゃんにそのまま伝えているだけなんです。でもそれが「役に立った」って言ってもらえるなら、その言ってくれた先輩の顔も思い浮かんで嬉しい!

──すごくいい教えが受け継がれていっています。

加藤 教えとか、指導とかじゃないんですけどね。あくまで「こういう風に、俺も言われたことがあるよ」ってことで。あと紫温ちゃんと僕は2歳しか離れていないから、逆に聞きやすかったかもしれない。これが5歳以上離れていて、僕が何か言ったらちょっと強すぎるというか、「言うこと聞け!」ってなるというか、あるじゃないですかそういうの。

──年齢の近さからくる気安さはありそう。

加藤 本当にこの年の差だからこそできた関係性っていうのは、すごくありました。ギイとタクミくんは同じ高校の同級生って設定だから、僕らの年が離れすぎていたらやりにくかったかもしれないし、まあそういう意味でもありがたかったです。

──先ほどこの作品はわかりやすいとおっしゃっていましたが、私もそれは思っていて。BLという枠ですけど、純粋にラブストーリーなんです。

加藤 そうなんです、BLって言われると特別な感じがしますけど、そうじゃなくて。異性同士のラブストーリーと同じ枠ではないにしろ、このタクミくんシリーズは、ピュアな気持ちで人を好きになることの素晴らしさが、一番の特徴で。更には恋愛によって生まれるいろんな気持ちや心の傷、それを癒していくのが人間関係っていうのが、僕はすごくリアルだと思っています。

──近しい、好きな人で傷が埋まっていく。

加藤 その傷が親友で癒されるなんていうのはよくある話だし、タクミくんはその親友が愛の相手になっちゃったってだけだし。そういう純粋な愛っていうのを、誰でも楽しめるのがこの作品だなって。それが魅力のひとつとしてあるなと思っています。

──原作ファンとして言いますが、そうなんですよ……!

加藤・森下 アハハハハ!

加藤 今、海外作品も含めいろんなBL作品が流行っていますけど、『タクミくんシリーズ』はBL作品の金字塔です。映画も原作も、これからもどんどん盛り上がってほしいです。

──森下さんはいかがでしょう。この物語全体に対して、どう思われましたか?

森下 僕は今回のお仕事で、初めてBL作品というものに触れたんです。それまではまったく、どんな作品も手に取ったことがなくて。でも『タクミくんシリーズ』は、大悟くんが言っていた通り純粋な愛が描かれていて、魅力的なキャラクターが登場して、いろんなカップリングが生まれていて……純愛の中で様々な展開、ストーリーがあって読みやすいし、長編が苦手な人でも読み続けられるし、このシリーズが30年続いていることに納得させられました。「BLだから」ではなく、作品としての完成度の高さを感じました。

(C)2023 ごとうしのぶ/KADOKAWA・「タクミくんシリーズ」製作委員会

もし2人がリアルで同居したら……案外イケそう!?

──最後にちょっぴり、お2人のプライベートについて聞かせてください。『タクミくんシリーズ』といえば寮生活ですが、お2人は共同生活ってしたことがありますか?

加藤 最近、保育園からの幼馴染が東京の僕の家に来まして。1週間泊まっていました。

──どんな感じでしたか?

加藤 僕は外でする仕事や食事が多いし、相手はデスクワークだったので、ずっと一緒にはいなかったんです。でもその1週間、僕は愛はやっぱりあるんだなって思いました。それまで1週間ずっと遊んだこともあったんですけど、遊ぶと住むは違いました。

──愛を感じたのはなぜだったんでしょう?

加藤 やっぱりお互い、気を遣い合うんです。洗濯物がたまっていたら「あ、俺洗うよ」とかすぐ言うし。その気遣い合いが、僕には心地よかったし、素晴らしいことだと感じました。この『タクミくんシリーズ』もそうですけど、親しき仲にも礼儀あり、親しき仲にも愛ありっていうか。相手はわかんないですけど、僕は幼馴染のことが大好きだし、1週間生活してみて「意外とこういう、優しくし合うのっていいな」と思いました。まあ、1週間っていう期間だからよかったのかもしれませんが。

──短すぎず、長すぎずの期間。

加藤 愛をしっかり感じました!

──森下さんはいかがでしょう?

森下 僕は高校まで10年ほど野球をやっていて、高校に寮があったんです。僕自身は寮生ではなかったんですが、周りには当然、寮生が多くて内情を聞くこともありました。だから自分は、人間接触嫌悪症なのに寮生活をしなきゃいけないタクミくんの漠然とした不安が、なんとなくわかります。僕が寮生活や共同生活について話を聞いたことしかなかったからこそ、そりゃ心配になるよなって。タクミくんと不安を共有できたのは、演じるうえでプラスになりました。

──そんなお2人が、実際に同室になったらどんな風になると思いますか?

加藤 うっわ、どうなるんだろう!? でもお互いゲームが好きだからなあ。

森下 趣味とかそういうのは合うと思うんですよ。

加藤 だから気兼ねなく過ごせるし、年も近いからめっちゃ気を遣いすぎるとかもないんじゃないかなあ。少なくとも僕はそう、後輩の立場からはわからないけど(笑)。

(C)2023 ごとうしのぶ/KADOKAWA・「タクミくんシリーズ」製作委員会

──案外、快適に暮らせそう?

加藤 僕はぜんぜんいいです。面白そう! やっぱり趣味が合うって大事なことだから。

森下 一緒にいるうちにたぶん、同い年かのような関係になると思う。ただ部屋の掃除ができるかどうかとか、そういう分担作業でまた、どうなるかな~。

加藤 まあそういうのはやったほうがいいからね。

森下 なるほど。

加藤 結構、そういうことはできると思います。月曜日と火曜日と水曜日は俺がやるから、明日は紫温ちゃんやってとか。

森下 ちゃんとルールがあればできるかな。

加藤 ルールさえ守ることができれば、たぶん大丈夫!

──ギイとタクミくんとはまた違った、素敵な同居生活になりそう! 本日はどうもありがとうございました!

取材:藤坂美樹、構成:中尾巴、撮影:友野雄

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<作品情報>
タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。

5月27日(土) より全国順次公開

(C)2023 ごとうしのぶ/KADOKAWA・「タクミくんシリーズ」製作委員会

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