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東京公演が本日開幕 ビートルズの創成期を描く舞台『BACKBEAT』オフィシャルレポート

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舞台『BACKBEAT』より 撮影:岡千里

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本日5月24日(水) より東京建物 Brillia HALLにて、『BACKBEAT』の東京公演が開幕する。

本作は、結成当初5人編成だった世界的ロックバンド・ビートルズの創成期の青春物語を20曲以上もの生演奏で綴った作品。ここでは、プレビュー、兵庫、熊本、大阪公演を経た本作の公演レポートをお届けする。

舞台は、戸塚祥太演じるスチュアート・サトクリフが生き生きと絵を描くシーンから始まる。その表情が、動きが、情熱が、スチュアートは芸術家なのだと一瞬でわからせる。芸術家スチュアートは、親友ジョン・レノン(加藤和樹)に誘われ、ジョージ・ハリスン(辰巳雄大)、ポール・マッカートニー(JUON)、ピート・ベスト(上口耕平)と共に、全員10代で「ビートルズ」となる。

印象的だったのははじまりのシーンだ。ジョンはスチュアートにベースを持たせ、弾き方を教え、スチュアートがたどたどしく鳴らす音に歌をあわせてみせる。さっきまでスチュアートは絵筆を持っていて、ベースを弾いたこともなかった。そこでジョンが生み出した音楽は、スチュアートだけでなく客席をも巻き込んだ。音楽というもの、そしてジョンという人から滲み出るカリスマ性を、加藤がとても魅力的に表現している。

ビートルズの末っ子ジョージはギターが好きで人懐っこい人だったそうだが、辰巳のジョージはまさにそれ。そして目をこすりたくなるほど10代である。ミュージシャンでもあるJUONの芝居はポールへのリスペクトが垣間見え、それが不思議とポールの才能を予感させるものにもなっている。上口演じるピートは後半まで心情が見えてこない人物だが、その心の内が見えたとき、「感じていたのはこれか」と納得する芝居を丁寧に積み重ねる。

愛加あゆが演じるのはスチュアートと恋に落ちるアストリッド。写真家でもある彼女の凛とした姿勢がスチュアートにどれほど影響を与えたか一目で理解させるオーラが放たれる。エルヴィス役の尾藤イサオは1966年のビートルズ初来日公演の際に前座を務め、彼らの生の演奏を体感した歌手でもある。その尾藤の、歌唱はもちろん存在そのものがこの物語にとって大きなものだ。

ジョンから放たれる風は周囲の人をどんどん巻き込んでいく。だがスチュアートだけは、そこから飛び出すのだ。それは決別のように思えるが、そうではないことが戸塚や加藤の芝居を観ているとまっすぐに届く。5人の、どんな状況でもどんな状態でも、ライブシーンになると途端に輝きだす姿は感動的だ。この5人の光景を忘れてビートルズを聴くことはもうできないなと感じる舞台であった。

撮影:岡千里

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