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いよいよ今週末開催!「六本木アートナイト2023」展示の模様をレポート

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鴻池朋子《武蔵野皮トンビ》2021年 角川文化振興財団所蔵

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六本木の商業施設や美術館、公共スペースなどを舞台に繰り広げられる、一夜限りのアートの饗宴「六本木アートナイト2023」。いよいよ今週末、5月27日(土)、28日(日) の2日間にわたり、4年ぶりにオールナイトで開催される。

2009年から始まった「六本木アートナイト」は、東日本大震災や新型コロナウイルスの流行による中止を経て、今回で12回目。六本木ヒルズや森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペースなど六本木の街全体を会場に、約45組のアーティストによる約70のプログラムが展開される。

今回のテーマは「都市のいきもの図鑑」。誰もが“生きる”ということを深く考えるようになった昨今の社会状況などをふまえ、自然界の営みや循環という視点から、都市に生きる人間以外の命を想像することで、意識していなかった多様な繋がりについてアート作品を通じて考えていく。

栗林隆+Cinema Caravan《Tanker Project》 撮影:高倉夢

今年のメインアーティストは、国内外で活躍する現代アーティストの栗林隆+Cinema Caravanと鴻池朋子の2組。栗林隆+Cinema Caravanは六本木ヒルズアリーナで、全世界のエネルギーとその循環をテーマにした《Tanker Project》を展開する。この作品は、2022年にドイツのカッセルで開催された大型国際展「ドクメンタ15」で発表した《元気炉》を含むプロジェクト《蚊帳の外》、栗林のライフワークでもある《YATAI TRIP》、そしてタンカーを含むインスタレーション。開催前日に行われたプレスプレビューにおいて、栗林は「人と人とはどのようにして繋がっていけるか、都市のなかで、コミュニケーションの実験の場としていきたい」と意気込みを語った。

(前列) 左:Cinema Caravan志津野雷  中央:森美術館キュレーター 椿玲子 右:栗林隆 (後列) Close-Act Theater

また、今年は国際的なパフォーマンスカンパニー、Close-Act Theaterも六本木アートナイトに参加。六本木ヒルズアリーナや東京ミッドタウンプラザで、2日間で6回のパフォーマンスを披露する予定だ。

Close-Act Theater のパフォーマンス《White Wings》

六本木ヒルズの66プラザには、エマニエル・ムホー《100 colors no.43「100色の記憶」》のインスタレーションを設置。エマニエル・ムホーは日本在住のフランス人アーティストで、建築家。100色で作品を作り上げる「100colors」のシリーズを精力的に発表している。本作は作家が日本に移住した2003年から2023年まで20年の時の流れを100色で表したものだ。

エマニエル・ムホー《100 colors no.43「100色の記憶」》2023年
エマニエル・ムホー《100 colors no.43「100色の記憶」》2023年 部分

六本木ヒルズウエストウォークには、江頭誠《DXもふもふ毛布ドリームハウス》、大小島真木+Maquis《SHUKU》が展示されている。江頭の作品は、昭和43年頃に日本で生まれ当時の憧れだった西洋の高級感を演出した花柄毛布に着目し、作品に取り入れたもの。大小島真木+Maquisは日本各地に伝わる神“シュク”をモチーフにしたインスタレーション。正十二面体のオブジェ人が近づくとセンサーで光る仕組みだ。

江頭誠《DXもふもふ毛布ドリームハウス》2023年
大小島真木+Maquis《SHUKU》2023年

六本木ヒルズノースタワーにある、通常は広告を展示しているアートボードでは、Mirko Ilić/日本:Aya Komboo, Matthew Waldman, 慶應大学大学院メディアデザイン研究科SAMCARA Lab.が《トレランス・ポスター展 2023》を開催。トレランスとは寛容であること、そして多様性を受け入れること。これまでに200名以上のアーティストが参加しているトレランスをテーマに制作されたポスターの一部が掲示される。

Mirko Ilić/日本:Aya Komboo, Matthew Waldman, 慶應大学大学院メディアデザイン研究科SAMCARA Lab.《トレランス・ポスター展 2023》2023年5月26日

会期前より先行展示されているナカミツキ《NEW MIX》のほか、六本木の街なかにも多数の作品が展示される。この機会に、普段は歩かない六本木の路地や、訪れたことがないビルに足を踏み入れて見よう。

ナカミツキ《NEW MIX》2023年

東京ミッドタウン六本木では「TOKYO MIDTOWN AWARD」で昨年入賞した作家による新作を「Street Museum」として地下1階のメトロアベニューに展示。行き交う人々の注目を集めている。

井村一登《loose reflection》2023年
中田愛美里《Poltergeist》(部分)2023年

そして、もう一人のメインアーティスト、鴻池明子は、国立新美術館と東京ミッドタウン六本木に複数の作品を設置。先行展示中の国立新美術館では、埼玉県所沢市にある武蔵野ミュージアムの外壁で展示されていた《武蔵野皮トンビ》をアトリウムに設置。エスカレーターの踊り場などから作品に近づき、細部までじっくりと鑑賞することができる。

鴻池朋子《武蔵野皮トンビ》2021年 角川文化振興財団所蔵
鴻池朋子《武蔵野皮トンビ》(部分)2021年 角川文化振興財団所蔵

鴻池はこのほかにも自由に座ることができる《狼ベンチ》や《アースベイビー》をはじめさまざまな作品を国立新美術館内に展示している。

鴻池朋子《狼ベンチ》2022年
鴻池朋子《アースベイビー》2009年

ほかにも、国立新美術館では築地のはらのプロジェクションマッピングや、国立新美術館周辺で採集した土と水でつぼをつくり続けるしばたみづきの作品や、うらあやかの作品は2カ所で展示されている。

しばたみづき 《つぼなんかをつくる》2023年
築地のはら 《ねずみっけ》2023年
うらあやか 《〈欲望〉について(生きることについての憶測:ホイアン(ベトナム)の犬の場合)》

このほかにも、六本木の各所でさまざまな作品展示やイベント、パフォーマンスなどが行われる。4年ぶりにオールナイトでアートにふれることができる、一夜限りのアートの饗宴。週末はぜひ六本木に出かけてみよう。

取材・文:浦島茂世

<開催情報>
「六本木アートナイト2023」

5月27日(土) 10:00~5月28日(日) 18:00
場所:六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース
料金:無料(一部のプログラム及び美術館企画展は有料)

公式サイト:
https://www.roppongiartnight.com/2023/

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