女性たちの声に耳を傾けた、「遠いところ」主演・花瀬琴音が役作りを語る
映画
ニュース

「遠いところ」新場面写真
沖縄・コザを舞台にした「遠いところ」で映画初主演を務めた花瀬琴音のインタビューコメントが到着した。
幼い息子と夫と3人で暮らす17歳のアオイが、社会の過酷な現実に直面する姿を描いた本作。工藤将亮の長編監督3作目で、第23回東京フィルメックスにて観客賞に輝き、第56回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭をはじめとする海外映画祭にも出品された。
600名を超えるオーディションでアオイ役に抜擢されたのは、「すずめの戸締まり」で海部千果を演じた花瀬。東京出身の花瀬は、撮影の1カ月前から現地で生活して役作りに取り組んだ。沖縄の言葉を習得するため、とにかく“聞く”ことを徹底し、その上達ぶりは地元住民からも沖縄出身と間違えられるほど。「聞きなじみのある標準語や関西弁をいっさい遮断して、ラジオなどでとにかく沖縄弁をたくさん聞いて、とにかく現地の方と話すことを心がけました。聞いて、口に出して、それの繰り返しでなんとか方言を身に付けました」と振り返る。
さらにアオイの心情に寄り添うための役作りを「東京で心配して連絡をくれるお母さんや友達にも、いっさい連絡を取りませんでした。アオイが追い込まれていく中で、誰にも言えない、頼れない、助けを求められないという状況に少しでも寄り添いたかったからです」と説明する。自分と異なる環境に生きるヒロインを演じるため、水商売をしながら子供を育てる人や、離婚したくてもできない人たちの話にも耳を傾けた。「『遠いところ』の台本を見て、自分の話のようだと話す方がたくさんいました」と明かし、「それぞれの環境の中で、子供を思う母の気持ちを強く感じていました。若くても、遊びたくても、大変でも、心の真ん中にあるものは子供なんだということは、私がお話を聞いた方々が教えてくれたことでした」と語った。
あわせて本作の新たな場面写真3点が解禁。アオイが途方に暮れて遠くを見つめる姿、夫の暴力により顔をアザだらけにして弁護士事務所を訪れる場面、そして絶望の淵にいるアオイに何も知らない幼い息子が寄り添う様子が切り取られている。
「遠いところ」は6月9日より沖縄で先行公開。7月7日から全国で順次封切られる。
(c)2022 「遠いところ」 フィルムパートナーズ