「THE FIRST SLAM DUNK」プロデューサーが藤本賞に輝く、「FILM RED」功績は神様から尾田栄一郎へのご褒美
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第42回藤本賞授賞式の様子。
第42回藤本賞授賞式が、本日6月5日に東京・パレスホテル東京にて開催された。
映画演劇文化協会が主催する藤本賞は、日本で唯一映画製作者を中心に表彰するもの。今年度は、2022年12月3日の公開から184日間で観客動員数1000万人、興行収入144億円を突破した「THE FIRST SLAM DUNK」のプロデューサー・松井俊之(東映アニメーション)へ藤本賞が贈られた。
松井は「この賞は私の師匠である大先輩方がかつて受賞されたもの。受賞は憧れであり1つの目標でありました」と挨拶。続けて、「この作品のすべての中心は井上雄彦さんであり、また井上雄彦さんを支えてこられた方々の努力の地盤上にある映画です。原作事務所のI.T.PLANNINGさんに『映画化したい』と伝えに行ったのは、ちょうど20年前。企画をどうしても最後までやり通したいという断固たる決意、覚悟を持って、あきらめずに努力と挑戦をし続けました。その結果、こうしてありがたい賞をいただけることにつながりました」と述べ、「この事実が、すべての映画人やプロデューサーのなんらかの望みになるんじゃないかと思います」と映画界の発展に期待を込めた。
特別賞を手にしたのは、「ONE PIECE FILM RED」を製作した原作・総合プロデューサーの尾田栄一郎(集英社)をはじめ、梶本圭(BSフジ)、柴田宏明(東映アニメーション)、高野健(集英社)の4名。梶本は「目指せ100億円!という目標を掲げて、4年前に企画がスタートしました。映画の物語もそうですが、公開したときにお客様をどう呼び込むか。やはり宣伝の力も大きかったです」と当時を振り返る。公開1カ月前に尾田から「目標値、200億円にしませんか?」「社会現象起こしましょうよ」との言葉があったそうで、梶本は「どうしたらいいだろうと試行錯誤して、結果197億円という成績を残すことができました。尾田さんはずっとひたむきに『ONE PIECE』と向き合っていらっしゃる。週刊連載なので休むこともできない。そんな中で映画にも携わる。(この功績は)尾田さんに対する神様からのご褒美なのかなと思います」と感慨深げな表情を見せた。
また「ラーゲリより愛を込めて」のプロデューサーである平野隆(TBSスパークル)と下田淳行(ツインズジャパン)へ奨励賞が授与された。平野は「尊敬する藤本真澄プロデューサーの名を冠した賞をいただけて大変光栄に思っております。『ラーゲリより愛を込めて』は高い興行収入と作品評価を得た、近年には珍しい邦画実写作品。これもひとえに出演者の皆さん、製作・宣伝チームの努力の結晶です」とトロフィーを手に喜びを噛み締める。
そして新人賞は「BLUE GIANT」の武井克弘(東宝)、備前島幹人(小学館)、「死刑にいたる病」の深瀬和美(クロックワークス)、「仕掛人・藤枝梅安」の宮川朋之(日本映画放送)といった製作陣へ贈られた。武井は「映像化の難しい大変な作品でした。まだまだアニメーション映画にはやれることがたくさんあると思っています。表現は無限大、可能性は無限大。これからも精進し、今後のアニメーション映画の発展に寄与したい」とさらなる飛躍を誓う。
深瀬は「歴史と栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。『死刑にいたる病』はタイトルの通り陰惨な内容の作品。ですが、撮影から公開まで一貫してキャスト、スタッフのみんなでアイデアを出し合い、互いを尊重しながら新しい映像表現、宣伝方法に挑戦しました。新人賞ということで、今後も真摯に、謙虚に励んでいきたい」とスピーチする。宮川は「藤枝梅安と同じ坊主頭で気合いを入れてきました(笑)。栄誉ある賞をいただくことができて、驚きと恐縮と誇らしい気持ちでいっぱいです。これからもがんばっていきたい」と思いを伝えた。
※高野健の高は、はしごだかが正式表記