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クリープハイプの最新シングル「青梅」に秘められた創作の根本的アティチュードとは?

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尾崎世界観が、またクリープハイプというバンドが、ただの恋愛ソングをつくるわけがない、という前提に立ってみても、この「青梅」という曲は、言葉を選ばずに言えば、ぶっ飛んでいる。

まず、サウンドに関して言えば、程よくバンドの輪郭が溶けている。イントロのエフェクティヴなギターとシンセのユニゾンからすでに時空は歪み始め、そこに四つ打ちのビートがこれ見よがしなくらい過剰とも言える鳴りで響き渡る。さらに、打ち込みのハイハット、クラップ、シンセベースまで加わる。そのようなイクイップメントを装備したこの曲が、ではダンスミュージックかと言われれば、まったくそんなことはない。きちんと――というか、ギリギリのところでバンドサウンドとして成立しているのだ。

バンドはなぜこのようなサウンドを志向したのだろう?

私が感じたのは、絶対的な価値基準の在り処を示すのと同時に、その曖昧さをも表そうとしたのではないか、ということだ。

歌詞に目を移すと、ふたりの男女が真夏に出会った瞬間を描いたものになっている。〈ひとりで酸っぱい顔をしてた〉季節から〈ふたりで酸っぱい顔をしている〉真夏への変化は実にドラスティックだ。ここで注目したいのが、彼らはこの世界でふたりきりなのだ、というある意味残酷――にして最高に幸福――な事実が浮かび上がってくるということだ。どうにも周りに馴染めない者同士が何かの拍子に出逢ってしまった物語なのだ。

ものすごく単純に言えば、彼らの価値基準とそれ以外(世間とか社会とか)の価値基準は、恐ろしくかけ離れたものなのではないかと想像する。しかし、どちらが正しいか正しくないか、という判断をいったいどうやってできるというのだろうか? 法だ道徳だ云々の話ではなく、基準は曖昧なのだ。けれど絶対的なのだ。我々はそれをコロナというもので否が応でも認識させられたはずである。

そこのギャップに尾崎世界観は鋭い眼差しを向ける。

“ねえ、それって正しいの?”

“本当なの?”

“他にはないの?”

バンドであって、バンドっぽさを排除したようなサウンドの秘密がそこにある。それはつまり、クリープハイプというバンドに対する絶対的な価値基準への自らの信頼があるからこそ可能なチャレンジだったと思う。そしてその価値基準は常に曖昧なものであるというもう一方の真実を常に意識することで、バンドの革新性に変えていくというエンジンになるのだ。

これは、自らを信じ、疑う、という創作の根本的アティチュードに貫かれたマスターピースである。そうであるからこそ、切実な恋愛ソングとしての輝きがある。

Text:谷岡正浩

配信シングル「青梅」

配信中:https://creephyp.lnk.to/aoume

<ライブ情報>
『PIA MUSIC COMPLEX 2023』

会期:2023年9月30日(土)、10月1日(日)
会場:東京・新木場若洲公園
出演:打首獄門同好会/KANA-BOON/キュウソネコカミ/KUZIRA/クリープハイプ/Kroi/サバシスター/Chilli Beans./This is LAST/ハルカミライ/BLUE ENCOUNT/04 Limited Sazabys/ヤングスキニー/Lucky Kilimanjaro/WurtS ほか
公式サイト:
https://piamusiccomplex.com/

そのほかのライブチケット情報はこちら

■クリープハイプ公式サイト:https://www.creephyp.com/

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