今年で製作60周年『大脱走』スティーブ・マックィーンほか豪華スターの共演に心が躍る
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イラストレーション:高松啓二
映画・音楽・舞台など各ジャンルのエンタメ通=水先案内人が、いまみるべき公演を紹介します。
【水先案内人 高松啓二のおススメ】
初見はTVだった。中学生の頃、翌日その面白さに友人と大いに盛り上がったものだ。スティーブ・マックィーンのカッコ良さもさることながら、その他のキャラクターの誰もが役わりを持ちトム、ディック、ハリーのトンネル脱走計画を遂行するのに心が躍った。
ボクは絵が得意だったので偽造屋のブライスが、印象的だった。演じるドナルド・プレザンスは劇中、可哀想な役だが、実際に第二次大戦中にドイツ軍の捕虜収容所に居た本物だった! 捕虜のほとんどが英国兵であるが、米国陸軍航空隊のヒルツはA2フライトジャケットに両ソデを切ったスウェットシャツのラフな姿がいかにもマックィーンらしい。製造屋のセジウィックはオーストラリア人、トンネル王のダニーはポーランド人、調達屋のヘンドレーは米国義勇兵の英国空軍所属、この多国籍アンサンブルが楽しい。
一方、ドイツ軍の所長のルーガーはブルー・マックスの勲章を付けているので第一次大戦の英雄パイロットである。だから英軍航空兵に敬意を払い、親衛隊には懐疑的なのだ。対してゲシュタポは大げさなカバンの開閉の仕草から冷徹な怖さを強調。最大の見せ場になるバイクジャンプシーンは、耐久性の問題から英国のトライアンフのバイクを使用。実際に飛んだのはスタントマンのバッド・イーキンズである。マックィーンとの関係は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のディカプリオとブラピに似ている。ちなみに独立記念日に造っていたイモ焼酎をヒルツは“ムーン・シャイン”と呼ぶが、密造酒のこと。今年で製作60周年。やっぱりTVじゃなく劇場で観たい!
<作品情報>
『大脱走』
6月9日(金) より「午前十時の映画祭13」にて上映
原作:ポール・ブリックヒル
監督:ジョン・スタージェス
脚本:ジェームズ・クラヴェル、W・R・バーネット(英語版)
音楽:エルマー・バーンスタイン
【出演】
スティーブ・マックィーン、ジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー、ジェームズ・ドナルド、チャールズ・ブロンソン、ドナルド・プレザンス、ジェームズ・コバーン、デヴィッド・マッカラム
「午前十時の映画祭13」公式サイト:
https://asa10.eiga.com/