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咲妃みゆ「なにが起こるかは私もわかりません(笑)」『少女都市からの呼び声』稽古に向けて

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咲妃みゆ 撮影:源賀津己

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唐十郎が1985年に発表した『少女都市からの呼び声』を、唐を師とする金守珍が演出。注目の新劇場THEATER MILANO-Zaのオープニングシリーズとして上演される。そこでガラスの体を持つヒロイン・雪子を演じるのが、ストレートプレイ初挑戦となる咲妃みゆ。稽古開始を控える今、咲妃はなにを思うのか。その胸の内に迫った。

この“どうしよう”という感覚をずっと大事にしていきたい

――咲妃さんにとっては初のストレートプレイへの参加となります。今回のお話があった時の心境は?

ストレートプレイへの出演は念願だったので、まずはとても嬉しかったです。と同時に、私にとっては大変難しい作品、お役をいただいたなと。意気込みは十分ですが、これからお稽古を重ねていく中で、果たして自分自身がどうなっていくのか……。わからないことばかりなので、非常にドキドキしています。

――念願だったとはいえ、ストレートプレイの中でもハードルの高い、唐十郎さん作、金守珍さん演出のアングラ劇です。それでも出演したいと思われた決め手は?

信頼する所属事務所の方々に、「きっとこれは大いなる挑戦になると思うけれど、トライする価値があると思う」と背中を押していただきました。やっぱり一緒にお仕事をさせていただいている方々の熱い想いというのは、私に大きな力をくださいますから。そして私自身、お仕事にしても、私生活にしても、果敢に挑んでいきたいという気持ちが常にあるので、もうやれるだけのことはやってみようと思いました。

――脚本を読まれてみての感想は?

はい、わかりません(苦笑)。まだ理解が追いついていないというのが正直なところで、少々焦りを感じておりますが、もう焦っても仕方がないかなと。お稽古初日に洗礼を受けることになると思いますので、その時を覚悟して待っている感じです。簡単に理解が出来ない、展開が想像出来ない、そういった作品にこそ私は魅力を感じて。だからこのわけがわからない、どうしようっていう感覚を、ずっと大切にしながらやっていきたいと思っています。

――内容はわからずとも、やはり唐さんが書かれた言葉は非常に美しいですよね。

私もそれは感じました。もちろん現代の方々にもきちんと通じる言葉ではありますが、どこかしら古風な表現が織り交ぜられていて。敢えてこの表現を選んでいらっしゃるんだろうなと。以前拝見した、『泥人魚』(2021年、唐十郎作、金守珍演出)もとても衝撃的でした。その美しさと、複雑さと、透明さと、不思議さと、恐ろしさと……。いろいろなものが混ざり合ったあの世界に、私たちが生きている世界そのものを見た気がしました。

――そんな劇世界の住人になるために、ご自身にはどんなことが必要になってくると考えていますか?

とにかく力を抜くことだと思います。私は決して社交的なタイプではなく、圧倒されると、ひとり殻に閉じこもってしまいがちになります。ですからそこはもう、「恥をさらしてなんぼ!」くらいの気持ちで挑みたいなと(笑)。お稽古場ではトライ・アンド・エラーで頑張りたいと思います。

観に来られたお客様を、異世界へとお連れ出来たら

――演じられる少女・雪子については、現段階でどんな女性として捉えていますか?

彼女はこの世に存在出来なかった人物なんですよね。夢の世界の中で「愛とは?」とか、「生きるとは?」といった知りたい欲求、そして「人間が生きる現実世界とはどんなところだろう?」という行ってみたい欲求。そういった欲望を持った女性だと感じました。また感情をオブラートに包まず、そのまま伝える少女という印象も持ったので、自分の中でこねくり回さず、まずは雪子の台詞を発した時に見えるものを大事に、向き合っていきたいと思います。

――雪子を演じるに当たって、最初の手がかりになるのはどんなことだと思いますか?

きょうだいがいる、しかも双子の、という点は、人物像を追いかける上での手がかりになるかなと思います。実際私にも妹がおりますし、きょうだい独特の繋がりというか、絆の深さはわかっているつもりです。兄役の安田(章大)さんとも、実際のきょうだいではないからこそ、大事に深め合っていけたらなと思っています。

――生ある世界ではきょうだいとして存在出来なかったふたりですが、兄である田口に対して、雪子はどんな感情を抱いているのではないかと思いますか?

私はどこか“羨ましい”という気持ちがあるんじゃないかと推測しています。自分にはないもの、目にしたことがないもの、耳にしたことがないものを兄は知っている。その羨望を抱えながら、雪子は彼に接しているような気がします。

――また雪子のガラスの体というのは、どんなことを示唆しているのではないかと思いますか?

私自身ガラス細工が好きですし、本当にきれいだなと思いますが、危険と隣り合わせのものでもあるわけですよね。割れてしまったら怪我をしてしまうかもしれないし、簡単に元には戻せないわけですから。さらに、汚れていないものの危うさ。一見きれいに見えるけれども、果たして本当にそうなのか、みたいな……。あぁ、ごめんなさい! 稽古が始まったら、まったく違いました! みたいなことになるかもしれず……。ただ本当に面白いですよね。雪子の体はなぜガラスなのか、読めば読むほどいろいろ考えさせられます。

――長年愛され、さらに今年は6月、7月のこちら、10月と三度『少女都市からの呼び声』が上演されます。改めて本作から、お客様にはどういった時間をお届け出来たらと思いますか?

「今、目の当たりにしたものはなんだったんだろう?」みたいな、そういう異世界にお連れ出来たらいいなと思います。私もこういった、非現実世界に誘ってくれる舞台が大好きなので。ぜひ純粋にお楽しみいただけたらと思いますが……、なにが起こるかは私もわかりません(笑)。本当に乞うご期待ですし、私も期待しています!

取材・文=野上瑠美子
撮影=源賀津己

<公演情報>
THEATER MILANO-Zaオープニングシリーズ/COCOON PRODUCTION 2023
『少女都市からの呼び声』

【東京公演】
2023年7月9日(日)~2023年8月6日(日)
会場:THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)

【大阪公演】
2023年8月15日(火)~2023年8月22日(火)
会場:東大阪市文化創造館Dream House 大ホール

チケットはこちら
https://w.pia.jp/t/shojotoshi/

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