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PK shampoo・ヤマトパンクスインタビュー「上京して、東京で頑張って、“結局ファイナル大阪なんかい!”っていうのがありますね(笑)」

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ヤマトパンクス(PK shampoo) Photo:佐藤瑞起

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PK shampoo(ピーケーシャンプー)が、約1年半ぶりとなる新作『Pencil Rocket Opera E.P』を6月28日(水) にリリースする。以下のインタビューでヤマトパンクス(Vo, Gt)に語ってもらっているとおり、昨年はバンド周辺にいろんなゴタゴタがあったという彼ら。新作は全4曲収録で、すでにライブでも披露されファンの人気も高い「SSME」、ヤマトパンクスの上京を機に書いたという「S区宗教音楽公論」、新境地を見せる「落空」など、PK shampooらしい詩情を突き詰めた作品になっている。

7月からは今作を引っ提げた全国7都市を回るツアーもスタート。ファイナルは8月6日(日) 大阪城音楽堂での単独公演となる。

新作について、ツアーについて、いろいろ話を聞いた。

――昨年はかなり激動の1年だったそうですが、改めて、PK shampooというバンドがどういう状況にあったのかを、教えてもらっていいですか。

これまでずっと自主で友達をマネージャーに立ててバンド活動をやってきたんですけど、そのマネージャーにいろいろ問題があって。売り上げを全部持ったままどっか行っちゃったんですよ。もともとお金にルーズだったり、素人同士だったんで、いろんな不都合があって。契約の話もあって、よく言えば争奪戦みたいなことになってたんですけど、それも揉めてる間に1年経っちゃって。いよいよどうしようというタイミングでマネージャーが飛んじゃったんで。停滞の1年でしたね。お金を持ち逃げされただけじゃなくて、いろんなところに不払いもあって。ざっくり計算したら3、400万円くらいの負債まであった。ずっとその敗残処理に追われて、今はようやくそれがちょっと一段落した感じです。

――新作の『Pencil Rocket Opera E.P』を聴かせてもらったんですが、ポップスとしてより広いところに届いていく可能性がある感じがしました。作っていくにあたっては、どういうものを作ろうというイメージがありましたか?

今までは僕が何日もスタジオに通って「ここはちょっと違うんじゃないか」とか「こういう試みをやったらいいんじゃないか」とか、かなりこだわった作り方をしていたんですけれど、そういうやり方に行き詰まったところがあって。飲み友達だったレコード会社のディレクターに「CDを出したい」って相談して、ディレクションも入ってもらったんです。僕らにとっては初めて外部のプロフェッショナルな人を入れてやったレコーディングだったんで、それがポップに聴こえるようになった一因かもしれないなと思います。それまでボーカルのコーラスラインをめちゃめちゃ入れるとか、ギターのトラック数が120あったりとか、意味なく尖ったことをやってたんですけど、そういうのを切り捨てていく引き算的なことをやってもらえたという。今まで聴いてくれてた人は、逆にそれが物足りないって言うかもしれないくらい、かなりソリッドに裁ち落とした感じですね。

――アレンジとか音作りの面はかなり削ぎ落としたということですが、言葉とメロディーに関しては、PK shampooが追求してきた軸は変わってないと思っていて。むしろ曲の持っているロマンティックな側面がより見えやすくなっているような感じもしました。

それはありがたいです。

――『Pencil Rocket Opera E.P』というタイトルは最初から決まってました?

候補がいくつかあって、その中から選んだ感じです。まず「SSME」って曲があって、この曲は前からレコーディングが終わってたんですけど、「SSME」は「スペースシャトルメインエンジン」の略称で。要するにロケットのエンジンのことなんです。それに引っ掛けたタイトルがいいなと思って。あと、バンド名のPK shampooは『MOTHER』の主人公の必殺技から来てる部分もあるんですけど、その『MOTHER』のアイテムに「ペンシルロケット」があったり、あとは『宇宙百貨活劇 ペンシルロケット・オペラ』っていう小説を読んだこともあったり、そういう共通項ということで。

――「SSME」もそうですし、初期の曲もそうですけれど、歌詞のモチーフに宇宙や星がたびたび出てくるというのは、ヤマトさんの中に必然的なものがあるんですよね。

そうですね。同じものを反復しているというか。最初に曲を作り始めて歌詞をつけた時に、自分の中から自然と出てきたんです。『ファイナルファンタジー7』とか『エヴァンゲリオン』が好きなんで、ああいうところから来ているのかもしれない。

――歌詞には一方で地名や固有名詞、半径の小さな描写も出てきますよね。そことの飛距離やダイナミクスにロマンを感じます。

比喩っていうもの自体が、ある種の飛躍とか跳躍だと思ってるんで。自分の感情とか起きた出来事を、何かに喩えていく。そういうときの飛躍を反復していくという意味で、宇宙とかが出てくるんだと思います。飛んでいくとか、落ちていくっていう言葉を反復していく。そういうことが必要なのかなっていうイメージですかね。

――EPの収録曲って、どの曲にも「どこかに行ってしまう」ということが歌われているように思うんですけれど。そのあたりに関してはどうでしょう?

僕、高校の時にずっと「なんやねん、こいつら」と思ってたんですよ。おもんないヤツらばっかりやなと。で、勉強して大学に行ったら行ったで、周りはアホばっかりやったし、おもんない奴ばっかりやった。じゃあバンドでもやってみようかって言って、ライブハウスに行って。そこだったらセンスいいヤツ、おもしろいヤツがおるんじゃないかって。たぶん、どこに行ってもつまらないんです。何かを目指して努力してるというよりは、ずっと逃げ続けているという方が、僕にとってはピッタリくると思います。「どっかに行きたい」というよりは「ここにいたくない」のが近い。

――むしろ消えてしまいたいくらい。

最終的にはそういうことです。人はいずれ消える、死んでしまうわけですけど、そこまでどれくらい逃げればいいかという。ずっと逃げ続けてますね。

――「S区宗教音楽公論」はどういうところから作ったんでしょう?

今まで「神崎川」という曲とか、いろいろ地元の関西の地名を曲に入れ込んできたんですけれど、周りの友達からも「『神崎川』書いたから次は『神田川』やな」みたいなことをよく言われて。「黙っとけ、発想が貧困やな」とか思いながら、でもやっぱり、土地というか、身近なことを歌っていきたい気持ちはずっとあるんで。で、東京に来ましたけど、結局行くのって渋谷か新宿か下北、あとは高円寺とかで。渋谷、新宿、世田谷、杉並、全部「S」やなって。そのへんを括って「S区」にしたらちょっとダークな空気というか、秘密やタブーみたいな空気も出るかなと思って。

――大阪から東京に出てきたのはいつ頃だったんですか?

昨年の7月くらいですね。行くときは周りの友達から「行かんとってや」って言われたりしたし、このまま大阪に居たほうがいいんかなって、情みたいなものがあって。でも、シンプルにお金とかの問題で東京に行かざるを得ないという。来てからはもう大阪最低って思います(笑)。絶対帰りたくないなと。

――「東京」という言葉じゃなくて「西武新宿」という半径の狭い固有名詞を使うのがPK shampooらしいなと思ったんですが、これを選んだのは?

昔から東京に来るときはお金ないんで夜行バスで来ることが多くて。だいたい新宿に着くんですよね。あとは、僕が初めて出た東京のライブハウスが新宿MARZか新宿Marbleで。だから西武新宿あたりなんですよ。東京っていうと、いまだにあそこらへんがずっとこびりついている感じがあって。いろんなことがここであったし、これからもあるだろうし、そういうある種の象徴が西武新宿だったって感じです。別にあそこで死のうと思ったわけじゃないんですけど。まあ、ひょっとしたら思ってたかもしれないですけど。

――3曲目の「落空」はストリングスを用いた隙間のあるサウンドメイキングになって、音作りとしては新境地を感じます。今までのPK shampooがやってきたアレンジとはガラッと違いますが、この由来は?

今までいろんな人に言われてきたのが、音像としてはオルタナとパンクとシューゲイズを感じるけれど、メロディーには歌謡曲を感じるということで。あとはブルースを感じるとか。それが自分の中でずっと引っかかっていて。本当にちゃんと歌謡曲を一回やってみたい、それこそ「悲しい色やね」とか「大阪で生まれた女」とか、ああいう昭和感のある歌謡曲をちゃんとやってみたらどうなるのかなっていうのが始まりになった曲です。でも、さすがにそのままやるわけにはいかないので、エッセンスは混ぜつつ、例えば変拍子とか転調とかを入れて。ただ、メンバーに一回投げてみたんですけど、全然いい感じにできなかったんですよね。で、京都のジャズギタリストの友達を呼んで一緒にやってみた感じです。

――「落空」も、やっぱり星のモチーフと、消えていくこと、終わっていくことについて歌っている曲ですね。

テーマとしては、どっかに行きたい、宇宙に行きたいとか、星になりたいみたいなものがあるんですけど。一方で「落空」って中国語で「ダメになる」とか「無駄になる」っていう意味があって。終わってしまうという。「空に行く」っていうことが果たしていいことなのかっていうことを入れ子にしたかったのもありますね。なんか、夢を叶えるとか、そういう生き方があんまり性に合わないんで。

――ライブについても聞かせてください。ツアーが決まっていて、そのファイナルは8月6日(日) に大阪城音楽堂で開催されます。これは今までの中でも大きい会場ですよね?

大阪では確実にデカいです。一番デカいです。

――ツアーに向けてどんな思いがありますか。

上京して、東京で頑張って、それこそ「S区宗教音楽公論」みたいな曲やってるけど、「結局ファイナル大阪なんかい!」っていうのがありますね(笑)。「結局あいつ大阪好きやな」とか言いたがるのが大阪人の性なんで。さっきは「帰りたくない」とか言いましたけど、こないだのツアーで東名阪やって、いろんな会場で「マネージャーに持ち逃げされた」とか自虐的にギャグで言ってたら、東京はシーンとしてたんですよ。でも大阪で言ったらみんな爆笑してて。しかも客の誰かに当日の物販の売上金盗まれて。やっぱ大阪すごいな、大阪っておもろいなと思うんですよ。大阪って魔力がある街だなって感じるんで。そういうところへの郷愁みたいなものもやっぱり持っておきたいっていう感じですかね。

――ツアー全般に関して、この作品を引っさげてのライブということではどうでしょう?

最近はダイブとかモッシュとかシンガロングもあるし、ようやく3、4年前のあの頃に戻ってきてる感じがあって。それこそ「新世望遠圧縮」もそういう曲ですけど、岡山ペパーランドとか、お世話になったいろんなところにもう一回ちゃんとフルキャパでやり直そうっていう感じですかね。その果てに大阪城野音とか、ああいうちょっと今までとは違うようなものが見えてくればいいかなって。まったく同じものをミニマルに反復するんではなくて、やっぱり最後はちょっと違いますよというものを繰り返していくのがいいかなって思います。

Text:柴那典 Photo:佐藤瑞起

<ライブ情報>
PK shampoo New EP『Pencil Rocket Opera E.P』Release One Man Tour“Pencil Rocket Opera”

7月7日(金) 福岡 DRUM Be-1
OPEN18:30 / START19:00

7月8日(土) 岡山 ペパーランド
OPEN17:30 / START18:00
※SOLDOUT!!

7月16日(日) 仙台 CLUB JUNK BOX
OPEN17:30 / START18:00

7月17日(月・祝) 下北沢 シャングリラ
OPEN17:15 / START18:00
※SOLDOUT!!

7月27日(木) 名古屋 CLUB QUATTRO
OPEN18:00 / START19:00

7月29日(土) 札幌 ベッシーホール
OPEN17:30 / START18:00

8月6日(日) 大阪城音楽堂
OPEN16:30 / START17:30

チケット発売中
http://w.pia.jp/t/pkshampoo/

<リリース情報>
PK shampoo「SSME」

2023年6月14日(水)配信リリース:
https://lnk.to/Pencil_Rocket_Opera_EP

PK shampoo「SSME」MV

PK shampoo EP『Pencil Rocket Opera E.P』

2023年6月28日(金) リリース

【収録曲】
1. SSME
2. S区宗教音楽公論
3, 落空
4. 新世界望遠圧縮

公式サイト:
https://pkshampoo.jp/

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