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PERSONZ・JILLインタビュー「驚いちゃいますけどね、40年って(笑)。還暦になるまでやってるとは思ってなかった」

音楽

インタビュー

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JILL(PERSONZ) Photo:吉田圭子

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2024年に結成40周年を迎えるPERSONZ(パーソンズ)が5月から全国ツアー『PERSONZ I AM THE BEST TOUR 2023』をスタートさせた。
2020年に35周年記念ツアー『PERSONZ THE BEST TOUR』を予定していたが、コロナ渦の影響で中止に。約3年を経て、新たな形で実現されたのが今回の全国ツアーだ。40年のキャリアを代表する選曲、更なるスケールアップを果たしたパフォーマンスを軸にしたこのツアーについて、ボーカリストのJILL(ジル)に聞いた。

――PERSONZは2019年に35周年を迎え、2020年にはアニバーサリーツアーを予定していましたが、コロナ禍の影響で中止。当然ですが、影響はものすごく大きかったですよね。

そうですね。2019年はライブハウスをツアーで回って、2020年はホールツアーで全国展開する予定だったんですよ。すごくワクワクしていたんですけど、コロナですべてできなくなってしまって。メンバーとも会えなかったから、まずはリモートでやりとりして、いろいろと話し合ってましたね。配信ライブもやったし、新しいことにチャレンジできたのはよかったかもしれないけど、大変でした。自分たちではどうにもできないことだから、腹を括って、やれることをやるしかなかったというか。

――2021年には“RELOAD PROJECT”(過去作を最新の状態にアップデートして蘇らせるプロジェクト)の第4弾として、インディーズでリリースした『ROMANTIC REVOLUTION』(1986年)と『POWER-PASSION』(1987年)を“RELOAD”しました。

それも八方ふさがりの状態から出てきたアイデアなんですよ。ツアーがやれないから、新作を作るわけにはいかない。2019年に出したミニアルバム『I AM THE BEST!』のツアーもやってないのに、次の作品を出してもしょうがないので。“RELOAD”も楽しかったですけどね。初期の作品はぜんぜん洗練されていないので、「今だったらこうやるよね」というところがけっこうあって。“RELOAD”プロジェクトは2017年からはじめたんですが、特に『The Show Must Go On』(1993年)は面白かったですね。本田くん(本田毅/Gt)が抜けてた時期にリリースしたアルバムなんですけど、それを今の4人で改めて形にするっていう。歌っていても安心感があるというか、「そうそう、こうなるよね」という感じがありました。

――ミニアルバム『I AM THE BEST!』もそうですが、この4人にしか生み出せないPERSONZサウンドがありますからね。

『I AM THE BEST!』はほとんどの曲を渡邉貢くんが書いているんですよ。本田くんが楽曲の世界観をくみ取って、何も言わなくても最高のギターアレンジをしてくれて。ギターのフレーズは藤田勉くんのドラムにも影響するしーー音階を感じるドラムなのでーーすごく相性がいいと思います。それはたぶん、インディーズの頃に培ったものが大きいでしょうね。時間もたっぷりあったし、曲数も少なかったから、とにかくずっと練っていて。そこで模索できたのがよかったのかなと。PERSONZにはプロデューサーがいないんだけど、メンバーがプロデューサー気質なんですよね。たとえばシーケンスの使い方もそうだけど、新しいことも積極的に取り入れて。当時は大変でしたけどね。同期の音を使うにしても、いまほど機材が発達してなかったので。

――そういう斬新なアイデアは、どんなところから生まれていたんですか?

やっぱり洋楽かな。私たちはパンクではなくてニューウェイブが好きだったんですよ。今振り返っても音楽の宝庫みたいな時代だったし、海外のバンドは本当にいろんなやり方にトライしていて、「私たちもやってみよう」と思えたんじゃないかな。私はブロンディとかカルチャークラブなどのポップなバンドも好きだから、当時は(PERSONZのジャンルを)“パワーポップ”と言ってたんですけどね。

――なるほど。今も当時の音楽にインスパイアされることはありますか?

うん、あると思いますよ。最近はちょっとプログレに興味があって。デヴィッド・ギルモア(ピンク・フロイド)の最近の映像を観たのがきっかけなんですけど、本田さん、藤田さんはプログレも通ってると思うから、今度、いろいろ聞いてみようと思ってます。

――そして現在は『PERSONZ I AM THE BEST TOUR 2023』の真っ最中。初日の横浜公演(5月6日、7日/横浜赤レンガ倉庫1号館3階ホール)の手ごたえはどうでしたか?

まずは(観客が)声を出してよかったのが大きいですね。ライブが始まる前からすごい盛り上がったし、声を出せる状況になるとお客さんも高揚するみたいで。2019年以前よりも声援が大きかったんじゃないかな。ライブ後のミーグリでファンの方とお会いしたんですけど、「思うように声が出なかった」と仰ってた方がいました(笑)。

――オーディエンスも発声練習が必要かも(笑)。今回のツアーは2020年に予定していた内容とは違うそうですね。

はい。横浜の2日間は、セットリストをガラッと変えたんですよ。重なっていたのは「Dear Friends」と「I AM THE BEST」だけで、あとはすべて変えて。楽器隊の3人からも文句もなく(笑)、「やろう」って言ってくれました。おおくぼけい君(アーバンギャルド)が鍵盤で入ってくれたのも大きかったですね。セットリストに関しては、これまであまりライブでやってない曲も入れたし、曲に込めたメッセージも意識していました。この3年間、みなさんにもいろんなことがあったと思うんですよ。私の周りにも、家族や友人を失くした方がいて。「この先、世界がもとに戻ることなんてあるのかな」と思っていたけど、少しずつ規制も緩和されてきて、ライブでも声が出せるようになって。そういうことを含めて、みなさんの気持ちを汲み取ってあげられるような曲を選びたかったんですよね。

――ツアーは6月18日の高知公演(高知県立県民文化ホール グリーンホール)から本格的にスタート。こちらはどんな内容になりそうですか?

8月まで続くけっこう長いツアーなので(楽曲を)入れ替えることもあると思うですが、基本的には自分たちのベスト、「これがPERSONZでしょ」という曲は必ず入れるつもりです。さっき“メッセージ”と言いましたけど、それは政治色があるメッセージではなくて、普遍的なものだと思っていて。たとえば「7 COLORS(Over The Rainbow)」には”教室の片すみみ“という言葉が入っているし、聴いてくれる人は学生時代のことを思い出すと思うんです。すごくポップだし、まったく曇りがない、キラキラした感情が蘇るんじゃないかなって。もちろん「Dear Friends」もそう。すごく言葉数が少ないんだけど、私がずっと表現しているヒューマニズムが込められている曲なので。曲を作ったのはインディーズ時代だから、それこそ40年くらい前なんですけど、いまだにみなさんに受け止めてもらえているのは本当にうれしいですね。

――今年の夏は全国各地でPERSONZの名曲を体感できそうですね。

久しぶりに行くところもけっこうあるんですよ。高知のホールはインディーズ時代に初めてホールツアーをやった最初の場所で、函館はたぶん10年以上ぶりだし、私たちも楽しみです。

――ファンのみなさんもワクワクしていると思います! 来年の40周年に向けて、どんな思いを持っていますか?

6月21日が結成記念日なので、ツアー中に40周年イヤーに入っていくんですよ。35周年はやり切れなかったので、40周年はしっかり形にしたいなと思ってます。驚いちゃいますけどね、40年って(笑)。オリジナルメンバーでここまで続いてるバンドって、あまりないと思うんですよ。思いつくのはBUCK-TICKくらいかな。さっきも言ったように本田さんが抜けていた時期もあったんだけど、還暦になるまでやってるとは思ってなかったです。

――しかも女性ボーカルのバンドだと、本当に稀ですよね。

そうかもしれないですね。シーナ&ザ・ロケッツがずっとがんばってくれていたけど、おふたりともいなくなってしまって。喪失感もありますが、そうやって時代が変わっていくんだなと。メンバーともたまに話しているんですけど、今回のツアーもいい意味で「これが最後という気持ちでやろう」と言っていて。この先、何がどうなるかわからないし、メンバーがひとりでもいなくなったらPERSONZはできないですからね。大事なのは健康ですね(笑)。幸い、みんな元気なので。

――素晴らしい。4人の関係性も変わらないですか?

コロナのなかで少し変わった気がします。配信ライブでは演奏だけじゃなくてトークをしなくちゃいけないこともあって。そうやってお客さんと繋がれたのも大きかったし、「ひとりでやってるわけじゃない」と改めて感じられたんですよね。そう考えるとコロナも悪いことばかりじゃなかったと思うし、前向きに捉えながら進んでいきたいです。

Text:森朋之 Photo:吉田圭子(インタビューカット)

<ライブ情報>
『PERSONZ I AM THE BEST TOUR 2023』

6月18日(日) 開場16:00 / 開演16:30
会場:高知県立県民文化ホール グリーンホール(高知)

6月24日(土) 開場16:30 / 開演17:00
会場:cube garden(札幌)

7月2日(日) 開場16:00 / 開演16:30
会場:ヒューリックホール東京(東京)

7月22日(土) 開場16:30 / 開演17:00
会場:Rensa(仙台)

7月23日(日) 開場16:00 / 開演16:30
会場:金森ホール(函館)

8月4日(金) 開場18:30 / 開演19:00
会場:ダイアモンドホール(名古屋)

8月5日(土) 開場16:30 / 開演17:00
会場:クラブクアトロ(大阪)

8月11日(金・祝) 開場16:00 / 開演16:30
会場:NIIGATA LOTS(新潟)

8月12日(土) 開場16:00 / 開演16:30
会場:高崎芸術劇場スタジオシアター(高崎)

8月26日(土) 開場16:30 / 開演17:00
会場:電気ビルみらいホール(福岡)

【チケット料金】
一般7,800円 高校生以下1,000円(税込)
※全席指定
※入場時ドリンク代が必要な会場あり

チケット情報はこちら:
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=11011656

公式サイト:
https://personz.bitfan.id/

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