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植物分類学者・牧野富太郎の植物標本と植物図も公開『練馬区立美術館コレクション+ 植物と歩く』7月2日より開催

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牧野富太郎 「ホテイラン」(東京帝国大学理科大学植物学教室編 纂『大日本植物志』、第一巻第四集、第一六図版) 紙に多色石版印刷 1911年 個人蔵

ひとつの場所に留まりながらも、地面に根をはり、地上に茎や葉を伸ばし、花を咲かせてはしぼませ、再び種になって芽吹く、という動きに満ちた営みを繰り返す植物たち。練馬区立美術館では、7月2日(日)から8月25日(金)まで、同館のコレクションを中心に、植物の様々な表現に注目した展覧会が開催される。

同展タイトルの『植物と歩く』という言葉には、作品を通して、そうした植物が営む時間と空間に感覚を開き、植物とともに過ごすという意味が込められているという。植物を観察し、その特徴をとらえようとする作家たちは、普段は私たちが気づかずに通りすぎてしまうような意外な姿に迫ることもあれば、自身の思いを重ねて新たなイメージをつくりあげることもあるのだろう。様々な作家が、植物からどのように触発されてきたかを探るのが同展の試みだ。

今回の展覧会の魅力のひとつは、洋画、日本画、ガラス絵、版画、彫刻など、様々なジャンルの作品が見られること。画面をおおい尽くさんばかりに増殖する植物の生命力を描いた佐田勝の油彩画とガラス絵、花が散る瞬間を写実的かつ幻想的にとらえる須田悦弘の木彫、水芭蕉を生涯のモチーフとした佐藤多持の屏風、約3メートルの大画面に樹木を描いた竹原嘲風の日本画など、寄託作品を含め約7,000点を超えるコレクションのなかから、見応えのある作品が選ばれている。

そのほか、コレクション外の人物や作家の作品も登場する。ひとつは、NHKの朝の連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルである植物分類学者・牧野富太郎の植物標本と植物図。1926年に現在の練馬区に居を定めた牧野は地域ゆかりの人物であり、住居の跡地は練馬区立牧野記念庭園として公開されている。ふたりの現代作家の作品も印象深い。東日本大地震の津波浸水域に生えた植物を描いてきた倉科光子による、種と芽吹きの両方の時間を記録する絵画。また落ち葉などをミシンで縫い込み、つむぐ行為によって、人との対話やその時間を記憶に結びつける徳本萌子の作品である。

また、牧野富太郎の植物標本を題材に、須田悦弘が木彫で制作した新作にも注目したい。

1910年代から2020年代まで約100年にわたって、多様な表現によって生み出されてきた魅力あふれる植物とともに、展示室の散策を楽しみたい。

<開催情報>
『練馬区立美術館コレクション+ 植物と歩く』

会期:2023年7月2日(日)~8月25日(金)
会場:練馬区立美術館
休館日:月曜(7月17日は開館)、7月18日(火)
時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
料金:一般500円、大高・65~74歳300円
公式サイト:
https://www.neribun.or.jp/museum.html

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