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【ライブレポート】ルサンチマン自主企画ツーマン『TWO SHOT “TIGHT”』 CRYAMYをゲストに迎え、圧巻のステージを展開

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『TWO SHOT “TIGHT”』より 撮影:中山涼平

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ルサンチマンが6月15日、新代田LIVE HOUSE FEVERで自主企画ツーマン『TWO SHOT “TIGHT”』を開催した。昨年10月に行われた『TWO SHOT』には崎山蒼志(新代田LIVE HOUSE FEVER)、mudy on the 昨晩(愛知・CLUB ROCK'N'ROLL)が出演。今回はCRYAMYをゲストに迎え、爆発的なバンドサウンド、感情をむき出しに歌が飛び交う、圧巻のステージが繰り広げられた。

最初に登場したのはCRYAMY(クリーミー)。2017年、弾き語りで活動していたカワノ(Vo / Gt)を中心に結成された4人組バンドだ。ライブの幕開けは「GOOD LUCK HUMAN」。最新シングル「FCKE」に収録されたこの曲は、〈君が飾った夕方を窓から覗くことが好き/ちゃんと選んだ人間を愛せるような世界がいい〉というフレーズからはじまる。音源は“鋭い透明感”と称したくなるサウンドが印象的だったが、ライブでは生の感情がたっぷりと注ぎ込まれ、高揚感が倍増。暴力的な言動が蔓延する世界において、それでも愛を信じるーー冒頭からCRYAMYの“今”の表現が立ち上がり、強く惹きつけられた。

CRYAMY

機材トラブルをカワノが「結婚しようよ」(吉田拓郎)の独唱でつないだ後は、ほとんど止まることなく楽曲を披露し続ける。グランジ直系のギターサウンドを現代的なロックチューンへと昇華した「Sonic Pop」、金属的な響きをたたえた鋭利なギターリフを軸にした「鼻で笑うぜ」、解放感のあるメロディとともに他者への不信と怒りをぶちまける「スカマ」。ライブが進むにつれてバンド全体のテンションが上がり、観客は拳を突き上げて応える。

ノイジーで爆発的なフジタレイのギタープレイ、ラウドにして骨太なオオモリユウトのドラム、楽曲のボトムを支えるタカハシコウキのベースライン、そして、どんなに激しく叫んでも“歌”として成立しているカワノのボーカル。4つの音が激しくぶつかり合いながら、観客を巻き込んでいく。CRYAMYの演奏を聴いていると、様々なバンド──ニルヴァーナ、ダイナソーJr.、サウンドガーデン、ザ・クリブス──が頭をよぎるが、現代の社会を反映しながら、超個人的な感情を解き放つ歌によって、他のどこにもない独創性へとつながっていた。

CRYAMY

母親をモチーフにした楽曲「ALISA」を披露した後、カワノ「知性とか才能とか、お金とか見た目の良さとか。そんなの何もなくていい。それはいつか埋まるから」と話しかけた。ラストは鋭い疾走感をたたえたサウンドと〈「君のためだけに生きる」と言う〉というラインが突き刺さる「WASTAR」、音楽そのものへの愛憎を叩きつける「マリア」。鬱屈とした想い、どうにもならない現実から目を逸らさず、すべてを抱えたまま尖りまくったロックミュージックへと昇華させる強烈なステージだった。7月10(月) 恵比寿LIQUIDROOMで行われる自主企画「脱皮」(ゲスト:SPARK!! SOUND!! SHOW!!/tacica)にも大いに期待したい。

CRYAMY

そしてルサンチマンのステージへ。穏やかな表情で登場した北(Vo / Gt)、クーラーNAKANO(Gt)、清水(Ba)、もぎ(Ds)インスト曲「not wrong」からライブをスタートさせる。緻密に構築されたアンサンブル、独創的なアイデアを取り入れた展開、ヒリヒリとした緊張感に貫かれた演奏によって、フロアのテンションは瞬く間に上がっていく。

ステージの前方では観客同士が楽しそうに体をぶつけ合い、拳を上げ、歓声を響かせている。ルサンチマンはいつものように楽曲を途切れることなく繋げ、徐々に興奮の度合いを上げる。「いやいやいやいや」「滅茶苦茶怒鳴られた」「tsuki ochi」と様々な時期の楽曲を結びつけることによって、自分たちの“現在地”を体現してみせた。

ルサンチマン

印象的だったのは、演奏の精度が明らかに向上していたこと。マスロック、オルタナをはじめとする多種多様な要素を取り入れた彼らの楽曲は、スタジオでのセッションによってアレンジが練り上げられ、ライブで演奏することでさらに研ぎ澄まされていく。この日のパフォーマンスは筆者が見たルサンチマンのステージのなかでももっとも質が高く、原曲のポテンシャルがしっかりと引き出されていたと思う。今年3月には名古屋、仙台、大阪、渋谷でライブDVD『ONE SHOT GAME』のリリースツアーを行った彼ら。ライブの経験値も確実に上がっているようだ。

北(Vo / Gt)

また、セットリストに4曲の新曲(未発表曲)が入っていたのも大きなポイントだった。なかでも強烈なインパクトを放っていたのが、「ダークな新曲をやります。6月なので」(北)と紹介された「六月某日」。ずっしりとしたヘビィネスを備えたバンドサウンドを軸にしたこの曲は、ルサンチマンの新機軸と言っていい。メンバー自身の音楽的な興味の広がりとともにバンド自体も進化を続けている──それを確認できたことも、この日のライブの大きな意義だった。

クーラーNAKANO(Gt)

最初のMCで「楽しいな」と笑顔で話した北。クーラーNAKANO、清水、もぎを含めて、“このメンバーで演奏するのが楽しい”という雰囲気が伝わってきたのも印象的だった。

ライブ後半の始まりを告げたのは、「このときを忘れないように」(北)という言葉で導かれた「忘れそう」。10代の頃の嫌な記憶を手繰り寄せながら、「幸いだ 僕は だってこの先は 想いも 記憶も 全部歌える」というラインに結び付けるこの曲から、北のソングライティングの才能を強く感じ取ることができた。前半はバラード調だが、楽後半でテンポが上がり、ライブアンセムとして機能するところも「忘れそう」の魅力だ。

清水(Ba)

そして「lares」では観客のシンガロングが発生。この楽曲のテーマは“ライブハウス”。インタビューで北は「(ライブハウスは)“いるべきところにいる”という感じがあって。ちょっと神秘的な雰囲気もあるんですよね」とコメントしていたが、サビのフレーズを合唱するシーンはまさにライブハウスの素晴らしさに直結していたと思う。

「ラル」「心配事」でもオーディエンスはガッツリと歌っていた。“声出しOK”になり、感情を露わにしてルサンチマンの歌を共有する観客の姿こそが、この日のライブの最大のポイントだったのかもしれない。

もぎ(Ds)

メンバーのホームタウンを歌った「荻窪」、未発表曲「十九」で本編は終了。アンコールはライブアンセム「nihil」「ニヒリズム」を放ち、熱狂が渦巻くなかライブはエンディングを迎えた。

2023年8月11日(金・祝) には『TWO SHOT "STRAIN"』(Shibuya Spotify O-Crest)の開催を決定(対バン相手は時速36km)。この夏、ルサンチマンはさらなる飛躍を果たすことになるはずだ。

ルサンチマン

Text=森朋之
Photo=中山涼平

<公演情報>
ルサンチマン『TWO SHOT “TIGHT”』

6月15日(木) 新代田FEVER

【CRYAMY セットリスト】
01. GOOD LUCK HUMAN
02. sonic pop
03. 鼻で笑うぜ
04. crybaby
05. 戦争
06. スカマ
07. 普通
08. やってらんねー
09. pink
10. 待月
11. ALISA
12. WASTAR
13. マリア

【ルサンチマン セットリスト】
01. not wrong
02. いやいやいやいや
03. 滅茶苦茶怒鳴られた
04. tsuki ochi
05. 収束する未明
06. 俗生活の行方
07. 六月某日
08. 忘れそう
09. lares
10. ラル
11. 心配事
12. なさけないうた
13. 荻窪
14. 十九
EN1. nihil
EN2. ニヒリズム

<関連情報>
ルサンチマン『TWO SHOT “STRAIN”』

8月11日(金・祝) Spotify O-Crest
18:30 OPEN / 19:00 START
出演:ルサンチマン、時速36km
チケット料金:前売3,500円(税込・ドリンク代別途必要)

■オフィシャル2次先行受付
6月27日(火) 18:00~7月5日(水) 23:59
https://w.pia.jp/t/rusantiman-strain/

■一般発売日
7月15日(土)

ルサンチマン 公式サイト:
http://rusantiman.com/

CRYAMY 『脱皮』

7月10日(月) 恵比寿LIQUID ROOM
18:00 OPEN / 19:00 START
出演:CRYAMY、SPARK!! SOUND!! SHOW!!、tacica
チケット料金:前売 3,500円/当日 4,000円
https://w.pia.jp/t/cryamy-t/

CRYAMY公式サイト:
http://cryamy.tokyo/

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