Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 「巨大ロボットアニメ」のデザインと映像表現の歴史を紐解く! 展覧会『日本の巨大ロボット群像』記者発表レポート

「巨大ロボットアニメ」のデザインと映像表現の歴史を紐解く! 展覧会『日本の巨大ロボット群像』記者発表レポート

アート

ニュース

ぴあ

『日本の巨大ロボット群像』ティザービジュアル

続きを読む

フォトギャラリー(4件)

すべて見る

鉄人28号やマジンガーZ、機動戦士ガンダムに代表される巨大ロボットアニメ。その日本独自のアニメーション文化を徹底解剖する展覧会『日本の巨大ロボット群像』が、2023年9月より福岡市美術館、2024年2月より横須賀美術館で開催される。

「巨大ロボット」のデザインと映像表現の歴史を辿る本展では、ロボットアニメの元祖といわれる『鉄人28号』から近年のアニメーションに登場する巨大ロボットまで、その設定上の「メカニズム」と「大きさ」を軸に検証する。
巨大ロボットという空想上の存在にリアリティを与えるため、どのような創意工夫が凝らされ、いかにしてファンを魅了してきたか。
「巨大ロボットとは何か」を問いかける、かつてない展覧会だ。

6月27日、本展覧会の記者発表が東京都内で行われた。
登壇者は、本展監修者であり福岡アジア美術館学芸課長の山口洋三氏、ゲストキュレーターの廣田恵介氏、五十嵐浩司氏の3名。
また、ゲストとして、メカニックデザイナーの宮武一貴氏が登場した。
本展の見どころを情熱たっぷりに語った記者発表の様子をここで紹介したい。

左から山口洋三氏、宮武一貴氏、廣田恵介氏、五十嵐浩司氏

まず語られたのは、本展を作り上げる上で掲げたテーマだ。
・巨大ロボットの“本物”を見た人はいる?
・アニメの制作素材は、すべて2次元である。

廣田氏は、「本物の巨人ロボットを見た人はいますか?」と記者たちに問いかけた。
お台場の実物大ユニコーンガンダム立像をはじめ、数々の実物大の巨大ロボットが全国各地に存在するが、それらは立っているだけのモニュメントでしかない。
ではテレビや映画館で見た巨大ロボットはどうか。どんなに大きなスクリーンに映し出されても、設計上の寸法とは程遠い。
アニメの原画は?これもやはり本物のロボットとは言えないだろう。

要するに、「巨大ロボットの“本物”は、人々の頭の中にしか存在しない」のである。

「美術館という立体的な場所で、人の頭の中だけに存在する巨大ロボットの“本物”を展示するにはどうすればいいか、それを一番に考えた」と廣田氏は語る。

原画を並べるだけでは表現できない、我々の頭の中にいる“本物”のロボットを体感できる展示。
この前段を聞いただけで、誰もがワクワクするような内容だ。

続いて、本展の見どころ4点が解説された。一つずつ順を追って紹介したい。

① 巨大ロボットの「メカニズム」に注目!

「飛び出す絵本の中に入り込んだ感覚を味わってほしい」と廣田氏。
『勇者ライディーン』のゴッドバードを含む3種の形態を表現するため、三面の立体パネルを用意。アニメの制作資料を並べるだけでは伝えられないライディーンの変形の魅力を感じさせてくれるという。

勇者ライディーン (C)東北新社

ちなみに、本展で紹介するロボットは全て展示方法を変えているとのこと。それぞれのロボットに真摯に向き合う展覧会であることがわかる。

② 気分はパイロット? ロボットの「大きさ」を体感できる!

全国各地に存在する実物大のガンダム像は、足元から見上げることしかできない。
しかしこの展覧会では、ガンダムをなんと地面に展示。来場者がその上を歩ける革新的な展示方法だ。
「美術展に行くことの面白さは、自分の体を尺度にして展示物の大きさを体感できること。ぜひ自分の手や足とガンダムの大きさを比べてみてほしい」。そう廣田氏は語った。

また、『太陽の牙ダグラム』の顔(=コックピット)の実物大模型も展示。
アニメの設計寸法通りに制作中であるというその模型は、本展の関係者ですら、本当に人が入れるコックピットなのか、まだわからないという。
アニメーション用に設計した巨大ロボットが、実際に存在したら、乗り込めるのか、座れるのか。本展に訪れて確かめてほしい。

ほか、宮崎駿氏が生み出した『ルパン三世』に登場するロボット兵ラムダも実物大で展示される。

③ 「内部メカ」にもえる!

永野護氏が生み出したゴティックメード等、内部構造から逆算して考えられたロボットを、かなり大胆な展示方法で表現。

ほか、ロボットが合体するシーンで緻密に描かれる内部構造にも注目。その見どころを集めた映像作品の上映もあるようだ。

④ メカニックデザイナー・宮武一貴による圧巻の巨大絵画を展示!

本展のために、日本を代表するメカニックデザイナーの宮武一貴氏が縦259㎝・横582㎝におよぶ巨大絵画を描き下ろした。

宮武氏は「デザイナーとして巨大な絵を描くことは想定していない。描く姿に魂を与えられるかが課題だったが、描いているうちに宿るという自信があった。精神的にこたえるものもあったが、ペンを持つとからだが自然に動いた。皆さんにどう接してもらおうか思いながら描いた。完成した作品をぜひ会場で見てほしい」とコメント。

廣田氏は、巨大絵画の制作を宮武氏に依頼した理由として、「巨大ロボットという架空のものを扱うにあたり、お寺の仁王像や日本橋の麒麟像のように、神がかったものを会場内に置きたかった。宮武さんはイラストレーターではなくデザイナー。宮武さんの絵は構造を伝えるための絵であり、巨大ロボット制作の出発点である。今回の展示のコンセプトを表現できるのはデザイナーである宮武さんであると考えた」と話した。

また、宮武氏とイラストレーターの加藤直之氏が生み出した『宇宙の戦士』に登場する機動歩兵の展示も、加藤直之氏の全面監修で制作。
機動歩兵に入れるような工夫を施した疑似装着システムなる展示も、会場でぜひ目の当たりにしてほしい。

宇宙の戦士(1977年) 加藤直之・宮武一貴 (C)スタジオぬえ

以上が記者発表で語られた見どころである。本展で紹介される作品タイトル数は約45タイトル。これまでのロボットアニメ展とは全く違う展示になることは間違いない。我々の頭の中にしか存在しない巨大ロボットが、一体どのように目の前に現れるのか。9月9日の開幕が待ち遠しい。記者発表の最後に本展監修者の山口氏から伝えられたセリフを引用して、このレポートを締めたい。「刮目して待て!!」

<開催概要>
日本の巨大ロボット群像 -巨大ロボットアニメ、そのデザインと映像表現-
(英訳)Giant Robots: The Core of Japanese Mecha Anime

〇巡回会場・会期
福岡市美術館(2023年9月9日~11月12日)

※チケット購入はこちら
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2317701

※チケットぴあ限定のお得な図録付きチケットは6月30日(金) 10時~数量限定販売

横須賀美術館(2024年2月10日~4月7日)
以降、京都(2024年夏)など追加巡回を調整中。

●展覧会『日本の巨大ロボット群像』
WEB:
https://artne.jp/giant_robots/

Twitter:
https://twitter.com/giant_robotsten

フォトギャラリー(4件)

すべて見る