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新内眞衣「強烈な“愛”をたっぷり浴びてください」 50周年『熱海殺人事件』で三度目の「水野」に挑む!

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つかこうへいの代表作で、彼の没後も紀伊國屋ホールを拠点に上演が続けられている『熱海殺人事件』。その誕生から50周年を記念した特別公演『熱海殺人事件 バトルロイヤル50's』の上演が決定、婦人警官水野朋子を元乃木坂46の新内眞衣が演じる。新内が水野を演じるのは、21年の『熱海殺人事件 ラストレジェンド』、22年の『新・熱海殺人事件 ラストスプリング』に続いて三度目。そこで『熱海殺人事件』という作品に寄せる想い、水野という役どころに感じる魅力など、新内にたっぷりと語ってもらった。

『熱海殺人事件』が長年支持され続ける理由は“普遍的な愛”

――『熱海殺人事件』の婦人警官水野朋子役への出演は、今回で3年連続、3度目になります。

正直、お受けしようかちょっと迷いました。50周年の節目というプレッシャーもありますし、前回の自分を超えないといけないというプレッシャーもありますから。やっぱり一回目は良くも悪くも粗削りでも許されますし、お客さんも微笑ましく観てくれる。でも二回目になると、その目が俄然鋭くなるというか。もともと私のファンだった方の中にも、一回目をきっかけに、『熱海殺人事件』のファンになった方もいて。そうなるとそれに見合う芝居をしなきゃいけない、という緊張感も出てくるんですよね。

――最終的に出演への背中を押したものとは?

50周年という節目の舞台に立たせていただける感謝と、やっぱり(演出の)岡村俊一さんにお声がけいただいたことが大きかったです。それで「よし、やってみよう!」と決心しました。

――50年愛される『熱海殺人事件』という作品の魅力は、どんなところにあると思いますか?

『熱海殺人事件 バトルロイヤル50's』ビジュアル

やっぱり“普遍的な愛”だと思います。たぶんこんなにも深く愛について考える作品って、ほかにそうないと思うんです。現代人って常に忙しくて、愛を直視できず、なんとなく後回しにしてしまいがち。そういう人たちが、これだけピュアで、粗削りで、等身大な愛を表現する登場人物たちを目の当たりにすることによって、否が応でも愛について考えるようになる。しかもほかのことなんて考える隙もないほど、圧倒的な台詞量が投げかけられるわけで。きっと初めて観た時は、戸惑いもあると思うんです。でもやっぱりまた観たい、またあの台詞を浴びたいと思わせる力があって。それは今までもそうだったし、私たちもそういうものにしていかなければいけないなと。そんな使命感はあります。

――そういった意味でつかこうへい作品というのは、演じる上でまた違う筋力が必要になってくるのではないでしょうか?

本当にそうですね。私は『熱海殺人事件』の水野朋子しか演じたことはないですが、おなかのところにグッと力を入れないと、負けちゃう気がして。なんかやっている最中も、つかさんから「お前はどう思ってんの?」と言われている感じがするんです。ずっと問いただされている感じというか。もちろん達成感はありますが、いつも「ちゃんとできていたのかな?」と思いながら千秋楽を迎えています(苦笑)。

心の距離が離れてきた今、本作が対話をするきっかけになれば

――水野朋子という女性を演じる上では、どんなところにやりがいを感じていますか?

実質(山口アイコとの)ふた役ではあるので、その演じ分けは大きなやりがいのひとつですね。ふたりの人に真剣に向き合わなければいけない大変さというか、それぞれに愛のかたちがまったく違いますから。そしてそれは同時に、すごく素敵な役である、ということでもあると思います。

――水野と木村伝兵衛部長刑事との関係性については、どのように捉えていますか?

私はすごく素敵な関係だと思います。というのも、その根底には愛がないと成立しない関係だと思うので。あんなにお世話をして、あんなに好き同士で、でもプラトニックってあり得るんですか!? みたいな(笑)。たとえほかの道を歩んでも……、やっぱり根底には愛があるんだと思います。

――今回水野はトリプルキャストで、「スタンダード公演」を新内さんが、「エキサイト公演」を佐々木ありささんが、「フレッシャーズ公演」を小日向ゆかさんが演じられます。

忘れていました! そうか、トリプルなんですよね。初参加のおふたりに見せられるような背中ではないですが……、それぐらい水野をやってこられたってことでもあるのかなと。ただ気持ち的には今でもフレッシャーズです!(笑)

――改めてこの作品を通して、お客様にどんな時間を届けられたらと思いますか?

ここ数年、人と人との心の距離が離れているなぁって感じる瞬間がたくさんあって。特にひとり暮らしなんてしていると、誰ともしゃべらない日があったりしますし。だからこそこの作品を観て、人との対話を増やして欲しいですね。時に傷つけてしまうことがあったとしても、それは対話をした結果。一番良くないのは、対話から逃げることだと思うので。そして『熱海殺人事件』を一度も観たことがない方には、騙されたと思ってぜひ来ていただきたい!(笑) 強烈な“愛”をたっぷり浴びてください!

取材・文:野上瑠美子

<公演情報>
50周年記念特別公演
『熱海殺人事件 バトルロイヤル50's』

2023年8月4日(金)~8月20日(日)
会場:東京・紀伊國屋ホール

作:つかこうへい
総合演出:河毛俊作
演出:岡村俊一

【出演】
木村伝兵衛部長刑事:
荒井敦史・池田純矢

婦人警官 水野朋子:
新内眞衣(スタンダード公演)
佐々木ありさ(エキサイト公演)
小日向ゆか(フレッシャーズ公演)

熊田留吉刑事:
高橋龍輝・三浦海里

犯人大山金太郎:
多和田任益
北野秀気(フレッシャーズ公演)

チケット情報
https://w.pia.jp/t/atami-2023/

公式サイト
http://www.rup.co.jp/atami_2023.html

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