Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ラグビー日本代表、充実の浦安合宿を打ち上げ! 地獄の特訓で準備期間の少なさの不安を払拭!!

ラグビー日本代表、充実の浦安合宿を打ち上げ! 地獄の特訓で準備期間の少なさの不安を払拭!!

スポーツ

ニュース

ぴあ

稲垣啓太 (C)スエイシナオヨシ

続きを読む

フォトギャラリー(5件)

すべて見る

『ラグビーワールドカップ(RWC)2023』に挑む日本代表に対して、拭い切れない不安があった。過去2大会のラグビー日本代表はRWCイヤーの長期合宿で急速に力を付けてきた。南アフリカから歴史的金星を獲得した『ラグビーワールドカップ(RWC)2015』では160日にも及ぶ合宿、そして1日3部練習という常軌を逸したメニューを乗り越えることで自信を手にしたのだった。開催国としてベスト8進出を果たした『RWC2019』では8か月近い準備期間と『スーパーラグビー』を戦うサンウルブズとその下部組織のウルフパックを駆使して著しい進歩を遂げたのだった。

過去2大会の前年である2014年、2018年はホームの蒸し暑さというアドバンテージを受けてイタリアに勝つのがやっとであった。そこから長い準備期間で選手たちを鍛えに鍛え上げて南アフリカやアイルランドといった優勝候補を撃破するだけの力を蓄えてきたのだ。

今大会はどうだろう。9月8日(金) に開幕する『RWC2023』に向けた合宿は6月12日にスタート。確かに選手たちは『トップリーグ』から『リーグワン』へ戦いの場が変わり、よりレベルが高いリーグで日々研鑽を積んでいる。それでも、2015年、2019年の長期合宿がもたらす成長曲線に比べると、不安を拭い切れなかった。地獄の浦安合宿を見るまでは……。

合宿に先んじて行われたフィットネステストでは90%以上の選手が目標をクリアしたが、トニー・ブラウンACは「満足することなんて決してない。ちょっと足りなかった選手もいたので、若い選手が年長の選手の尻を叩いてくれるんじゃないか」とキッパリ。

堀江翔太 (C)スエイシナオヨシ

合宿初日、4度目の『RWC』へ挑むチーム最年長の堀江翔太は「2019年のチームと比べても、去年の春チームになるのが早かった、みんなの理解度も高かった。年々早くなっている。すぐ集まってすぐメニューをできるのは年々よくなっている証拠。チームになるのは早いんじゃないですか」と手応えを語っていた。

特設テント内では凄まじいタックル特訓が行われていた。オーストラリア13人制の『ラグビーリーグ』で指導経験を持つ柔術家ジョン・ドネヒュースポットコーチのもと、空調施設のない特設テントの中で水を飲む間もない1時間ぶっ通しのタックル練習が課せられたのだ。相手に力を最も伝える膝の曲げ方や足の運び、上体の角度を徹底。相撲やレスリングの要素も取り入れたメニューで体を苛め抜いた。選手の顔や身体にはあざや生傷は絶えない。極限まで体力を削るメニューながら、手を腰や膝に付くなど休憩の姿勢を取るとペナルティとなる。容赦なく馬跳びや腕立てなど、罰則が科せられるのだ。

稲垣啓太曰く「一般の方にお見せできないトレーニング」で苦しい時間帯でもハイタックルにならないようなスキルとフィジカル、メンタルを植え付けていたのである。稲垣の解説は続く。
「日々の積み重ねが大事。時間がない中、どれだけ濃いものを積み重ねられるか。苦しい環境の中でも持ち得るすべてのスキルを出せるか、2週間ジョンとやってきた。疲れて悪い習慣が出ないよう直してきた。
1時間のトレーニングで休むことはない。手を腰に当てただけで休憩とみなされてペナルティが与えられる。ひとつのペナルティで馬跳びと股を潜るのを10~20回。試合で苦しい時間帯になぜペナルティを重ねるのか考えないといけない。それは疲れた時に悪い習慣が出ているから。試合で手を付いていたら、相手に弱い部分が悟られてしまう。プロになれば相手の弱点を突くのは当たり前。15人の中で弱っている選手、手を付いて疲れている選手がいれば、そこを突くのは当たり前の話。弱みを見せないのは非常に大切な話。
実際(タックル特訓で)ペナルティの数は減っている。いい習慣が出来上がってきている。本当に苦しい時は人をヘルプするのは難しいし、自分が楽になりたいと本能的に思ってしまうが、この2週間で選手のマインドとか立ち振る舞いは変わったと思う」

姫野和樹 (C)スエイシナオヨシ

コンディションの影響で別メニューでの調整が続いていた姫野和樹は今週からフルメニューに合流、「タックル特訓」の効果を実感していた。
「めちゃくちゃハード。あの練習をするだけでタックル、ディフェンスが強化されると肌で感じられた。タックルの技術も教えてもらったが、一番変わったのはメンタリティ。タックルに関する考え方、やり方、タックルの前に相手を出させない強い意志も感じられた。タックルとメンタリティは明らかに変わってきている。試合ではそこを見てもらえば、『ああハードな練習をやってきたんだな』とわかってもらえるとも思う」

さらに姫野は2019年の長期合宿以上の過酷さを口にした。
「2019年の合宿もタフだったが、それと同じもしくはそれ以上のキャンプを行えているので、チームとしていい状態を迎えられている。
(2019年の合宿よりも何が過酷か問われると)タックル練習。以上。それしかない」

ノンキャップの福井翔大のコメントはもっとストレートだった。
「びっくりするぐらい疲れている。身体ってこんなに疲れるんだと思うくらい疲れている。日に日に疲れが溜まってくるし、ピリピリしているが、チームワークも深まっているのでポジティブな面もある。(身体は)本当に痛い。試合よりも痛い。身体が痛くて眠れないという人もいるくらい。夜寝る時に『絶対明日の朝はできない』と思うし、朝起きてもすごい痛くて無理だと思うが、ここ(練習場)に来たらできてしまう。人間ってすごいなって思う」

福井翔大 (C)F.SANO

浦安合宿を見れば、長期合宿が組めない不安は杞憂に終わることだろう。2015年大会、2019年大会に比べて、2023年大会の準備は量では及ばないが、過去2大会の時よりも選手たちには高いベースが備わっている。さらに量を凌駕するトレーニングの質があるのだ。合宿の質、選手の成長具合に満足したからこそ、ジェイミー・ジョセフHCは6月30日まで実施予定だった浦安合宿を1日早く切り上げた。

6月29日、藤井雄一郎ナショナルチームディレクターは浦安合宿をこのように総括した。
「初日からかなりきついトレーニングをしてきた。ディフェンスでかなり成果が出ているので、疲れが取れてきたらいい試合をするのでは。
(タックル練習は)僕も長いこと見ているが、かなり過酷だった。あの練習をすべてこなした選手とそうでない選手ではグラウンドの中でのパフォーマンが少し違うほど成長できている。
(来週からの宮崎合宿では)土台がしっかりできたと思うので、そこに戦術や戦略を組み込む。ピッチに立っている選手が体現できるようにコーチングしていきたい」

(写真左より)藤井雄一郎ナショナルチームディレクター、ジェイミー・ジョセフHC

ラグビー日本代表36名

【PR】
稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)45
クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)9
シオネ・ハラシリ(横浜キヤノンイーグルス)0
具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)21
垣永真之介(東京サントリーサンゴリアス)11
ヴァル アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ)23

【HO】
堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)68
坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)33
堀越康介(東京サントリーサンゴリアス)7

【LO】
ジェームス・ムーア(浦安D-Rocks)13
ヘル ウヴェ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)16
サウマキ アマナキ(コベルコ神戸スティーラーズ)0
ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)7

【LO/FL】
アマト・ファカタヴァ(リコーブラックラムズ東京)0
ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)12

【FL】
福井翔大(埼玉パナソニックワイルドナイツ)0
姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)25
リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)78

【No.8】
ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)5

【SH】
齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)11
流大(東京サントリーサンゴリアス)30
福田健太(トヨタヴェルブリッツ)0

【SO】
李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)6
松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)29

【CTB】
ニコラス・マクカラン(東芝ブレイブルーパス東京)0
中村亮土(東京サントリーサンゴリアス)33
長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)0
中野将伍(東京サントリーサンゴリアス)6
ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)10

【WTB】
シオサイア・フィフィタ(花園近鉄ライナーズ)12
木田晴斗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)0
セミシ・マシレワ(花園近鉄ライナーズ)2
ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)0

【FB/WTB】
松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)47

【FB/SO】
山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)27
小倉順平(横浜キヤノンイーグルス)4

日本代表候補10名

【PR】
小林賢太(東京サントリーサンゴリアス)0
伊藤平一郎(静岡ブルーレヴズ)6

【HO】
中村駿太(東京サントリーサンゴリアス)0

【FL】
ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)15
下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)1
ベン・ガンター(埼玉パナソニックワイルドナイツ)5
テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス)15

【SH】
茂野海人(トヨタヴェルブリッツ)16

【WTB】
高橋汰地(トヨタヴェルブリッツ)1
レメキ ロマノ ラヴァ(NECグリーンロケッツ東葛)16
※所属チームの後の数字は代表キャップ数。

日本代表はさらに人数を絞って7月3日(月)~8月3日(木)・宮崎合宿に突入する。ジャパンXV として7月8日(土)・秩父宮ラグビー場にて『リポビタンDチャレンジカップ2023』オールブラックスXV戦を戦い、日本代表として7月15日(土)・えがお健康スタジアムにてオールブラックスXV戦、 7月22日(土)・札幌ドームにて『リポビタンDチャレンジカップ2023 パシフィックネーションズシリーズ』サモア代表戦、7月29日(土)・東大阪市花園ラグビー場にてトンガ代表戦、 8月5日(土)・秩父宮にてフィジー代表戦に臨む。秩父宮開催のチケットは2試合とも予定枚数終了、その他の会場のチケットは発売中。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

リポビタンDチャレンジカップ2023/リポビタンDチャレンジカップ2023 パシフィックネーションズシリーズのチケット情報
https://t.pia.jp/pia/search_all.do?kw=%E3%83%AA%E3%83%9D%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%B3D%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%972023

フォトギャラリー(5件)

すべて見る