“全世界”の家族に通じる家族劇「これだけはわかってる」開幕、南果歩「怖いが、挑みがいがある」
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左から入江甚儀、市川知宏、栗原英雄、南果歩、山下リオ、山口まゆ。
tsp NextStage「これだけはわかってる~Things I know to be true~」が、本日6月30日に東京・東京芸術劇場 シアターウエストで開幕。これに先駆け同日昼、公開ゲネプロと囲み取材会が実施された。
これは、アンドリュー・ボヴェルの戯曲を広田敦郎の翻訳、荒井遼の演出で立ち上げる公演。劇中では、オーストラリアの地方都市に暮らすプライス家が、互いにぶつかり合いながら成長していく1年間が、季節の移ろいと共に描かれる。母親のフラン役を南果歩、父親のボブ役を栗原英雄、教育局で働くキャリアウーマンの長女ピップ役を山下リオが務め、IT系エンジニアの長男マーク役に市川知宏、金融関係に勤める次男ベン役に入江甚儀、ヨーロッパへ一人旅に出ていた末娘ロージー役に山口まゆがキャスティングされた。
「とても小心者なので、いつまで経っても初日前は緊張してしまう」と明かす南は、「本作は特に怖くて、袖では震えていますが(笑)、そのぶん挑みがいがある作品」とおちゃめに話す。栗原は本作を「プライス一家の物語ではありますが、全世界の家族に通ずる物語でもある」と紹介し、「素晴らしい戯曲なので、早くご覧いただきたい」と言葉に力を込める。
山下は「せっかくプライス家の一員になれたので、その絆から生まれる自分の感情や、心の動きを演技で伝えられれば。プライス一家のように、少しずつ形を変えながら進化していく本作の素晴らしさを、お客様に体感していただきたい」と期待を口にした。
市川は「戯曲を読んだときに衝撃を受け、家族との関係を見直したくなった」と振り返り、「お客様には、それ以上の衝撃を受け取っていただけるように、精一杯がんばります」と意気込む。また市川は「劇中、マークには親を超えなければならない瞬間があります。一歩踏み出したいけれど親に遠慮して足踏みしている方は、ぜひご覧いただきたいです」と呼びかける。
入江は「“家族だから言えなかったこと、でも言わなくてはならないこと”が作品のテーマであり、お客さんに届けないといけないことだと思っています」とよどみなく語り、栗原から「素晴らしいねえ」と感心される。「ありがとう、お父さん!」と笑顔で返した入江は「本当は危なっかしい役なんですけどね(笑)」とベンと自身のギャップに言及した。
本作が初舞台となる山口は「重要な役なのでプレッシャーがあり、緊張していますが、この作品、座組が初めての舞台経験で良かったです」と胸中を明かし、「とは言え、自分のことで精一杯(笑)。自分の役をまっとうできれば良いなと思います」と正直に述べてはにかんだ。
取材会では、入江が「絶対観たほうが良い舞台です。“それだけはわかってます”」とタイトルにかけて本作をアピールし、南が「偉い! それが言いたかったんだね(笑)」と家族のように盛り上がる場面も。最後に南が「誰しも家族の中で育まれ、旅立っていく経験をしていると思いますので、老若男女の皆さんに観ていただきたい作品です」と魅力を訴え、取材会を締めくくった。
上演時間は約2時間20分。公演は7月9日まで。
tsp NextStage「これだけはわかってる~Things I know to be true~」
2023年6月30日(金)~7月9日(日)
東京都 東京芸術劇場 シアターウエスト
作:アンドリュー・ボヴェル
翻訳:広田敦郎
演出:荒井遼
出演:南果歩、栗原英雄、山下リオ、市川知宏、入江甚儀、山口まゆ
tsp NextStage「これだけはわかってる~Things I know to be true~」より。(撮影:阿部章仁)