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世界中の若き才能が集う!  20周年を迎える《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023》が明日開幕

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SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023

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デジタルシネマにいち早くフォーカスし、これまで『孤狼の血』の白石和彌監督、『浅田家!』の中野量太監督、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督ら、数多くの若手映画作家を発掘してきた《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023》が15日(土)にいよいよ開幕する。

いまや「若手映像クリエイターの登竜門」と称されるほど多くの若き才能を見出してきた本映画祭のメイン・プログラムは、世界各国の新鋭監督たちが集結する国際コンペティションと、国内作品に焦点を当てた国内コンペティション(長編部門、短編部門)。今年は102の国と地域から、過去最多1246本の中から、国際コンペティションは10作品、国内コンペティションの長編部門は6作品、同短編部門は8作品がノミネートされた。

海外ゲストも来場予定! 
バラエティ豊かでハイクオリティな国際コンペティション

まず注目したいのは世界各国の映画監督たちの力作が集結する国際コンペティション部門だ。本映画祭の同部門は実にバラエティ豊かかつハイクオリティな作品が並ぶことで知られる。ここでの上映をきっかけに日本での劇場公開が決まった作品も多い。

今年のラインナップを見ても、障がいのあるエラ・グレンディニング監督が同じ障がいをもつ誰かを探す6年の旅路を記録したセルフ・ドキュメンタリー『あなたを探し求めて』、刑務所内で囚人の両親の間に生まれた男の生涯をユーモアたっぷりに描くハートフルコメディ『ジェイルバード』、時計修理店を営む盲目の女性と写真が趣味の男性の愛を描いた切ないラブロマンス『エフラートゥン』など多彩なジャンルの映画が並ぶ。

『ジェイルバード』(アンドレア・マニャーニ監督)

国でみても、アゼルバイジャンのターミラ・ラファエラ監督の『バーヌ』、トルコ出身のレーゲル・アサド・カヤ監督がシリアで制作した『この苗が育つ頃に』など、なかなかお目にかかれない国の作品も届けられる。また、2018年に本映画祭で観客賞に輝き、劇場公開もされた『家(うち)へ帰ろう』のパブロ・ソラルス監督の新作『僕が見た夢』もノミネート。外国の監督が本映画祭で2度目のノミネートは初めてのこととなった。

『僕が見た夢』(パブロ・ソラルス監督)

これらの強力な海外作品が並ぶ中、日本から唯一選出されたのは、串田壮史監督の『マイマザーズアイズ』。ご記憶にある方もいると思うが、串田監督は長編デビュー作『写真の女』に続いての本映画祭の国際コンペティション部門でのノミネート。同作は本映画祭のSKIPシティアワードのみならず、世界の国際映画祭で40冠に輝く快挙を成し遂げている。それに続く今回は、サイコホラーに挑戦。凄惨な悲劇に見舞われた母と娘の行方を独創的な映像表現で描き切った意欲作になる。

『マイマザーズアイズ』(串田壮史監督)

串田監督は「前回、『写真の女』で本映画祭に参加して実感したのは海外作品のクオリティの高さ。

強豪リーグに入ってしまったなというのが正直な感想です(苦笑)。ただ、ほかの世界の作品と何か肩を並べるものがあったから、ノミネートされたと思うので、そこは臆することなくどのような評価を得ることができるのか楽しみにしています」と語る。

『マイマザーズアイズ』串田壮史監督

なお、ここ数年、コロナ禍の影響で海外のゲストの来日がなかなか叶わないできたが、今年は監督をはじめ関係者が多数来場予定。ぜひ会場にかけつけて監督たちの生の声を聴きたい。

“新たな才能”を発掘! どの作品も世界初上映の国内コンペティション

国内コンペティション長編部門

一方、国内コンペティションの長編部門にノミネートされた6作品もまた国際コンペティション同様にタイプの異なった作品が顔を揃えた印象だ。

『地球星人(エイリアン)は空想する』は松本佳樹監督の初長編映画。「UFOのまち」である石川県羽咋市を舞台に、記者が不可解な事件の真相を追う謎解き形式のSF映画になっている。

『ヒエロファニー』は宗教を題材にした本格ホラー・ムービー。手掛けたマキタカズオミ監督は過去3度、本映画祭の短編部門で作品がノミネート。本映画祭ではおなじみの彼の待望の初長編映画になる。

『繕い合う・こと』は、家業を継いだ兄と自由気ままに生きる弟の関係を描いた物語。『カメラを止めるな!』などに出演している俳優の長屋和彰が初監督にチャレンジした1作になる。

『十年とちょっと+(たす) 1日』は、偶然の再会を果たした同級生の男女3人が過ごすちょっとした1日の物語。3人が繰り広げる何気ないが時に真意をつく絶妙な会話に魅せられる1作で、中田森也監督の言葉のセンスが光る。

『ブルーを笑えるその日まで』は、2020年に『そして私はパンダやシマウマに色を塗るのだ。』が本映画祭の短編部門に選出された武田かりん監督の初長編。自身の体験をもとに、生死のぎりぎりのところに踏みとどまっている10代の女の子の切実な心の叫びを描いている。

『泡沫(うたかた)』は、日本を拠点に活動するフランスのアドリアン・ラコステ監督による人間ドラマ。うつ病を患った自身の体験を基に、さまざまなプレッシャーを受け続ける若者の魂の行方を描く。中崎敏、津嘉山正種、野村宏伸ら実力ある俳優が揃うキャストも注目の一作になる。

いずれもの作品もワールドプレミアで、本映画祭が世界初お目見え。各監督は以下のようにメッセージを寄せる。

『地球星人(エイリアン)は空想する』松本佳樹監督

「まず、手塩にかけた作品がみなさんに観ていただく機会をいただけたことがうれしいです。考えに考えたストーリーの展開や、ドキュメンタリーとドラマを合わせたような構成など、自分なりの独自の表現がどうみなさんの目に映るのか楽しみでもあり、ちょっと怖くもあります」(『地球星人(エイリアン)は空想する』松本佳樹監督)

『ヒエロファニー』マキタカズオミ監督

「まずは2013年に発表した短編『アイノユクエ』がSKIPシティ映画祭に入選していなかったら僕は映画を作り続けていなかったかもしれない。それぐらい大きな存在の本映画祭に初長編で再び戻ってくることができてうれしい限りです。映画監督を目指したときからこれまでにないホラー映画を撮りたいと思ってきました。そして今回ついに挑戦することができました。とにかく観てほしいです!」(『ヒエロファニー』マキタカズオミ監督)

『繕い合う・こと』長屋和彰監督

「初めて監督にトライしてみて、いままで役者としてかかわらせていただいてきた監督たちのすごさを実感しました。いろいろな方の協力があって完成させた作品なので、やっと観ていただける機会のある場に立てたことに安堵しています。少しでもいい場にして、多くの方に観てもらえればと思っています」(『繕い合う・こと』長屋和彰監督)

『十年とちょっと+(たす)1日』中田森也監督

「初めての映画祭で、初めての人に観ていただく機会。どちらも初めてのことなので、どうなるのかまったく想像できないでいます。自主映画は観ていただく場をもつのもけっこう大変なこと。その中で、こういうチャンスをいただいたので、多くの方に観ていただけたらうれしいです」(『十年とちょっと+(たす)1日』中田森也監督)

『ブルーを笑えるその日まで』武田かりん監督

「わたしが10代だったころと同じような生きづらさを抱えた若い子たちに、この映画が届いてくれたらうれしいです。あと、前回の入選のときはオンラインでの開催。今回はリアルでの上映もあるので、みなさんから生の感想を聞けることを楽しみにしています」(『ブルーを笑えるその日まで』武田かりん監督)

『泡沫(うたかた)』アドリアン・ラコステ監督

「この映画は自身の体験を基に、うつ病を抱える男の心に焦点を当てた物語です。この作品を通して、精神疾患を抱える人々の日常を垣間見ることで、精神疾患に対する理解がより深まればとの願いを込めて作りました」(『泡沫(うたかた)』アドリアン・ラコステ監督)

そして、もうひとつの短編部門は、AIをテーマにしたSF作品『恵子さんと私』、役者としても活躍する永里健太朗監督の『野ざらされる人生へ』、俳優・プロデューサーとしても活躍する石原理衣と映画音楽家の小野川浩幸が共同監督で作り上げた『寓』など8作品がノミネートされている。

国内コンペティション短編部門

国内コンペティションの長編部門及び短編部門の審査は、『浅田家!』の中野量太監督、俳優の和田光沙、映画評論家のマーク・シリング氏の3名が担当。彼らがどんな新たな才能を見出すのか注目したい。

最後に、2004年に埼玉県川口市でスタートした本映画祭は今年で20回目。記念すべき開催ということで例年にも増して充実のプログラムが組まれている。中でも大きな話題を呼びそうなのが「SKIPシティ同窓会」だ。本映画祭をきっかけに大きく飛躍した中野量太監督、松本優作監督、片山慎三監督らが登場。最新作の上映後にここまでの歩みと作品について語り尽くす。どんなエピソードが飛び出すのか期待が高まる。

なお、今年も有観客でのスクリーン上映+オンライン配信のハイブリッド形式での開催となる。記念すべき20周年の映画祭を大いに楽しんでほしい。



取材・文・写真:水上賢治


■開催概要
《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023》
スクリーン上映:2023年7月15日(土)~7月23日(日)
オンライン配信:2023年7月22日(土)~7月26日(水)
会場:SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ映像ホール(埼玉県川口市)ほか
※オンライン配信は、オープニング上映、特別上映、関連企画の作品は視聴できません。



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