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落語と音楽ライブの融合イベント『スペシャ寄席 其の四~フラカン 全開の噺 編~』出演者座談会

ステージ 音楽

インタビュー

ぴあ

左から)樋口大喜、桂 雀太、グレートマエカワ、鈴木圭介 Photo:HayachiN

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落語と音楽ライブを交互に披露するという今までにない斬新なスタイルで開催されてきたスペシャ寄席。これまで2021年大阪、2022年東京、そしてSWEET LOVE SHOWERとのコラボレーションと3回も開催されてきた。

今回は音楽ライブアクトに初のバンド編成としてフラワーカンパニーズが登場。噺家は桂雀太、そして落語以外の紙切りも期待される笑福亭 笑利が登場する事に。MCは発起人でもあるFM802DJの樋口大喜。

開催を前に、フラカンから鈴木圭介・グレートマエカワ、そして桂 雀太と樋口による座談会を催して、今の想いを話してもらった。思わぬ共通点から、サブタイトル「全開の噺」にちなんだ全開の気持ちなど、4人に熱く語ってもらっている。落語を生で観た事がない人も、ロックを生で観た事がない人も、この座談会記事を読み、是非とも10月2日(月)東京・北とぴあ つつじホールへ足を運んでほしい。

★座談会の模様を音声データでも公開中

――まずは「スペシャ寄席」についてMCの樋口君から成り立ちを教えてもらえますか?

樋口 コロナ禍でクラブハウスというアプリが一世風靡しまして、僕も何もわからない状態から始めたのですが、そこで落語家さんと知り合いになれたんです。で、クラブハウスで寄席をやったらおもしろいのではと「クラブハウス寄席」を始めて、そこから実際に生のお客さんの前で「生クラブハウス寄席」を東京・大阪で開催して。その時に、スペースシャワーの方々に観に来てもらったんですね。そしたら、「音楽とやったらおもしろいのでは?」と言ってもらえて。確かに落語も音楽も演者の魂と生き様が乗っかっていて、だから一緒にやったら新しいエンターテイメントになるなと。スペシャの方からフラワーカンパニーズの名前が挙がっていて、じゃあフラカンと合う落語家さんと考えた時に、一番最初に閃いたのが桂 雀太さんでした。泥臭い部分、人情的な部分がフラカン楽曲と合うと思いましたね。

樋口大喜

――フラカンおふたりはお話を聞いた時に、どう思われましたか?

鈴木 おもしろそう!だけど、どうなるんだろうなと。

マエカワ 対バンやフェスという音楽だけのイベントも普段なかなか交わらないジャンルの人たちと一緒になることもあったりしてもちろん楽しいし、さらに違うエンターテイメントの方達と一緒にやるのはずっと興味があった。これまでもNGKでの(プラン9との)企画やオハラブレイクというフェスで演劇の方達とコラボしたこともあったりして、あと夏祭り的なものとか、いつも最高だったから、今回も新しい景色が見える気がしたかな。

樋口 構えたりしましたか?

マエカワ どう?

鈴木 NGKでやった時はガチガチだったかな。

マエカワ あの時はコントに僕らもちょっと参加させてもらって、台詞があったからね。

鈴木 びっくりするくらいに噛み噛みだったなぁ。あんなに噛んだのは今までない。

マエカワ 今回は鈴木が落語するとか、雀太さんが1曲歌うとかはないよね?!

雀太 それはアカンで!(笑)。僕も最初に聴いた時はおもしろそうと思いましたね。落語って喋りなんですけど、めちゃくちゃメロディー、リズム、テンポがいるんです。そのバランスのせめぎ合いをどうするかというのがあって、そういうスタイルで僕はやっているんです。ミュージシャンの方も語るように歌うと言いますし、だから歌うように喋る落語とだと、予測不能な化学反応が味わえるのではと思っていますね。

桂 雀太

樋口 1回、雀太さんに落語の稽古をつけてもらった事があって、その時に「テンポとキーが大事」と言われた事を思い出しました、今の話を聞いていて。

雀太 低いキーでおもしろい事を言っても、あまり笑えないんですよ。お笑いのおもろい人って、ピッチを見たら、みんな高いんです。

鈴木 昔からですか?

雀太 ですね。師匠の誉め言葉に「上がりましたね」というのがあるんですけど、これはキーの事ですね。まぁ、腕とかかっているとは思いますけど。

マエカワ 「声が出ていた」とか言いますもんね。

雀太 がなるだけやなくて、声が通るという事ですね。「うるさい!」と言われるくらいで、ちょうどいいんですよ。師匠にもそれでいいと言われましたし、「100押せると100引ける」というんです。これ結構知らない噺家も多いですね。ウチの一門は理論的なんで。

鈴木 ちょっとした秘伝ですかね。

雀太 フラカンの1997年の野音ライブと2022年の野音ライブのBlu-ray(「二十五年後 〜フラカンの日比谷野音 2022と1997〜」)を観させてもらったんですけど、1997年の方がうるさかったんですよ。

マエカワ そうなんです! 若い時は、とにかく大きな声で勝負と思っていて、でも今は若い子には声の大きさでは勝てないと思っているから。

雀太 キャリア、ステージ数がそうさせはったんかな。あれおいくつの時ですか?

鈴木 28歳とかですかね。

雀太 僕も師匠から「押せ! 押せ!」と言われていたのは28歳くらいですね。

鈴木 今は抑えるというか、ギャアギャアうるさく押せなくなってきましたしね。

鈴木圭介(フラワーカンパニーズ)

雀太 でも最初はギャアギャア言うために始めたとこないですか? 僕もワーワー言ってウケたいと思っていたけど、いくら前に押してもウケないから、どうなってるのかなと思ってましたね。師匠には「とにかく押せ!」と言われていましたし、「必ず疲れてきて、自然に引くと。引こうと思って、引くもんじゃない」と言われました。今、僕が弟子にこの話をすると、力を抜く事に力を入れているんですね。師匠が言ってた事に、なるほどと思えました。これ以上押せない時に引けるんですよ。

鈴木 意識じゃなくて肉体的に引けるんですよね。

マエカワ 鈴木が言っている事と一緒かも。

――フラカンおふたりは雀太さんの落語を生で観られたと聞きましたが、いかがでしたか?

鈴木 実は初めて寄席を観まして。前座さんとか入れると数名出られていたんですが、雀太さんの第一声の「うぉーい!」みたいな声を聞いた時に、ちょっとヤベェのが出てきたなって。目の座り方と声の出し方というか、いわゆるロックバンドで言うところの狂気というか……。

マエカワ ひとりだけオーラが違って、出てき時の場の空気が「あっ……」となる感じというか……。ご一緒する時、覚悟してかからないとと思いましたね。出てきただけで場を変えられる人ってロックバンドでもなかなかいないですからね。

グレートマエカワ(フラワーカンパニーズ)

樋口 圭介さん今、寄席を観た事がないと言っていましたが、学生時代に落語研究クラブに入っていたと聞きましたけど?!

鈴木 高校生の時クラブ活動が必須で、選ぶ時にシャレで第五希望に書いたら入る事になっちゃって。1年間、週1回落語のカセットテープを聴いて、最終的には一席やらないといけないということで、僕は「時そば」をやりました。何遍もカセットテープを聴いて、字起こししたりしまたね。

雀太 苦行でしたか?

鈴木 辛かったです(笑)。でも落語には興味があって、それからも好きな江戸の落語家のテープを聴いたり、文献とかも読んだりはしていたんですよ。でも、行きたいなと思う落語家の独演会チケットは人気が凄くて絶対取れないし、寄席で退屈な人を観て、今までの落語への思いがおじゃんになるのも嫌だなって。

マエカワ 鈴木っぽい考え方だよな(笑)。

雀太 上方の落語家はあまりテープも聴いた事ないですか?

鈴木 桂枝雀さんは何本か聴きましたね。枝雀さんもイメージは“ヤベェ奴”なんですよ!

雀太 ヤバいっすね、あの人は……。僕の師匠の師匠なんです。

鈴木 受け継いでいるんだ(笑)。

雀太 僕はお会いできていなんですけどね。後、江戸と上方の違いも今はますますなくなってきていますよ。江戸は武家社会でお偉いさんが退屈な時に、誰かおもしろい事をとなって、屋根あるとこでやっているんです。でも、上方は「俺、おもろいから聴いてや!」と屋根の無い神社の境内とかで歩いている人を止めてやっているんです。だから、よりキャッチ―事を言わないといけない。だから滑稽話ですよね。江戸は屋根のあるとこやったから、じっくり人情噺ができる。昔は江戸の若い人はおさまっている人が多かったけど、今は押せ押せの人が多いですね。今は江戸上方行き来していますし、ジャンルレスで壁はなくなってきています。

マエカワ それは音楽も一緒で、さらに落語とか音楽とかのジャンルも関係なくなってきてるのかも。音楽フェスにアイドルや芸人さんたちがたくさん出ているのもそうだし、エンタテインメントすべてがいい意味で融合してきているように思いますね。

鈴木 僕ら名古屋で組んだ20代の時は、ライブハウスの人に「関ヶ原を超えられるんか?!」なんて言われたけどな。今は、もう違うよね。

樋口 雀太さんのさっきの話で言うと、上方は神社境内で始まったからダイナミックとも言われるけど、それはストリートカルチャーであって、だから、より泥臭い部分、人間臭い部分が出たんだと思うんです。その根性の感じはロックと繋がるかなって。

雀太 こないだ奈良の生駒のラッキーガーデンというスリランカ料理屋さんに客でいったら、レジのとこに「音楽や落語などライブ募集」と書いてあって、すぐ日を決めて、大きな木の下で羊や鶏や山羊がいるとこでやりましたけど、山やから声がこだまして、そこがめちゃくちゃウケるんですよ(笑)。もう色んな壁がなくなっていく時代なんでしょうね!

マエカワ 俺らもそこに行かないといけないかも! 生駒は鈴木が生まれた場所だし(笑)。

樋口 (笑)。「スペシャ寄席」でミュージシャンにバンドセットで出てもらうのは初めてなんですけど、もう落語と音楽の壁は無いと思いますし、落語から音楽へも流れる様に観せれたらなと思いますね。

雀太 落語で枕からネタのジョイントをキレイに魅せるように、落語と音楽もブチっと切れない様にしたいですね。落語ファンも来てくれるでしょうし、音楽ファンと混じりあったら良いですね。

マエカワ 初めて落語を観る人、逆に初めてロックバンドを観る人もいるでしょうから、そこがどう渦巻くか、ですよね。

鈴木 僕みたいな落語の情報だけは持っているけど、生で寄席を観た事がない人は割といると思うからね。最初の一歩がなかなか踏み出せない人もいるから。

雀太 いつか行ってみたいという人はたくさんいますから。こういうきっかけは本当に良いんですよ。

鈴木 素人からすると寄席は敷居が高い感じがする。頑固親父の店に行く、みたいな知らないルールがいっぱいあると思っているから。僕ら10代の時のライブハウスもそういう感覚がありましたしね。

雀太 実際はないんですけどね。

樋口 落語初めて、ロック初めて、そういう人たちに観てほしい気持ちですね。寄席にもライブハウスにも足を運んでほしいですから。なので、今回は2組だけでは無くて、笑福亭 笑利さんに出て頂く事になりました。テーマは寄席なので、普段の寄席みたいに紙切りも観れるし、三味線も聴けるしみたいな感じにしたくて、笑利さんに紙切りをして頂きたくて。また、笑利さんは創作落語の達人でもあるので、今回もしていただけたらなと思っていますね。

雀太 僕は当日演目を何するか、まだ決めていませんが、僕の前にフラカンさんの演奏があるから、そこをどう受けていくかですね。

――全開の噺編というサブタイトルも気になるので、そのあたりもお聞かせ願えますか?

樋口 今までサブタイトルは付けた事がなかったんです。今までは複数の方に出ていただいて、毎回終わる度に、樋口が出てくる感じだったんですが、今回はすべてを流れでいきたいので、何かテーマがあった方が良いかなと。フラカンの代表曲である「深夜高速」のラストの歌詞である〈全開の胸 全開の声 全開の素手で 感じることだけが全て 感じたことがが全て〉が印象的で、押せ押せじゃないですけど力強さを感じたし、そこが雀太さんと合っていると思えたんです。

雀太 いいと思います。パフォーマンスはもちろん全開でいきますけど、マインドもオープンマインドでぶつかっていけたらなと思っています。もうお互いにかっこつけて何かする歳とかじゃないでしょう?!

マエカワ いやかっこつけたいですけどね(笑)。

雀太 かっこつけていましたか?!

鈴木 かっこつけてアレです(笑)。あっ、この座談会が終わる段階で急に思い出したんですけど、寄席はこないだが初めてでしたけど、生の落語は上方落語で、それも外で観ていました! 小学校4、5年の頃、父親の田舎がある四日市の納涼祭で、桂福団治さんでした。めちゃくちゃおもしろくて、そのイントネーションをまんまパクって、その年の生徒会選挙演説でやって当選したんですよ(笑)。

雀太 落語でおいしい目にあった事あったんですね!?

鈴木 そうですね。流石にパクった事は今まで言ってなかったかも(笑)。

雀太 いやいや、それもオープンマインドでいきましょう! 全開でいきましょう。

Text:鈴木淳史 Photo:HayachiN

<イベント情報>
『スペシャ寄席 其の四~フラカン 全開の噺 編~』

10月2日(月) 北とぴあつつじホール
OPEN17:30 / START18:30

出演:フラワーカンパニーズ、桂 雀太、笑福亭 笑利
MC:樋口大喜(FM802 DJ)

【チケット料金】
前売指定席:6,000円(税込)
※配信視聴チケット販売あり、詳細は後日発表

★ぴあアプリ先行(抽選):7月26日(水) 23:59まで受付中! 詳細はこちら

フラワーカンパニーズ HP:
https://flowercompanyz.com/