【ライブレポート】Bialystocksが大阪で2ndツアーファイナル　濃密で美しい夏の宴に歓喜　9月に追加公演も

それは切なくてスリリングな、真夏の夜に見る夢のような一夜だった。

東京で幕を開けた、Bialystocks（ビアリストックス）の2nd全国ツアー『Bialystocks 2nd Tour 2023』。福岡、札幌、名古屋とめぐり、7月8日、大阪、梅田CLUB QUATTROにてファイナルを迎えた。

場内からの拍手が鳴り響く中、メンバーがステージに登場。波紋のような音色を奏でる菊池剛（Key）のピアノと、甫木元空（Vo、Gt）の柔らかな歌声が、切なく美しい情景を綴っていく。やがてそこにバンドサウンドが重なり、その軽快なリズムに合わせてオーディエンスが楽しそうに身体を揺らす。続けてエレクトロなソウルファンクなナンバーが鳴り響くと、満杯のフロアがたちまち静かな熱気に包まれていく。

映像作家でもある甫木元と、ジャズをバックグランドに持つ菊池。両者の才能が響き合い、オルタナティヴなロックやポップス、エレクトロやアンビエント、R＆Bやシティポップ、ニューミュージック、フォークなど、さまざまな要素を飲み込み、時に聞き手の魂を深いところまで誘いながら、Bialystocksの音楽は日常を美しく彩っていく。しかし今、目の前に広がっているのは、サポートメンバーが奏でるドラム、ベース、ギターの濃密なソロ演奏を随所に響かせながら、エモーショナルな歌声と演奏がせめぎ合う、スリリングな世界だ。

イントロが鳴り響いた瞬間、この日ひと際大きな歓声と拍手があがったのは、CM曲としても話題のナンバー「頬杖」だった。ジェンダーレスな魅力さえ感じる甫木元の歌声と、フォーキィなバンドサウンドでまったり……と思いきや、中盤のインスト部分に突入した途端、音源以上にロックな演奏とエモーショナルな歌声を響かせ、場内の熱気を一気に上昇させていく。

「我々はこんなに長いツアーをやるのは今回が初めてで。やっと（サポートメンバー）と仲良くなったなってくらいに終わっちゃう……」

2度目の全国ツアーを振り返り、甫木元が名残惜しそうに笑う。歌やメロディだけでなく、音と音の隙間や浮遊感、演奏の面白さなども魅力である自分たちの音楽やライブ・パフォーマンスに対して、「正直、どうノってもらえるかドキドキだったんです」と、甫木元。「でも（今回のツアーを通して）、意外なところで歓声が沸いたりして、驚きと喜びがありました」と、今回のツアーを通して大きな手応えを得たと話す。

本編終了後、アンコールで再びステージに登場したピアノの菊池が、圧倒的な演奏を披露した今回のツアーのサポートメンバーを紹介。続けて甫木元も、7月12日に新曲「Branches」を配信リリースすることを告知すると、フロアから歓喜の声があがる。2曲のアンコール・ナンバーが披露されるも、余韻が冷めやらぬフロアの声に応え、2度目のアンコールとしてまずは甫木元がひとり、ステージに登場する。

「今みんなアイス食べてまして。食べてからでもいいですか？」

そんなリラックスムードの中、メンバー全員が再びステージに現れた後、甫木元がサポート・ベースのAtoriに、「ツアーの思い出は？」とMCを振る。「ここではほぼ言えないことばかり」というAtoriの答えに会場は爆笑。ステージの上で楽しそうに笑うメンバーの表情からも、今回のツアーの充実感が伝わってくる。ツアー最終日ということで、この日はなんと、ピアノと歌だけで始まった3度目のアンコールも披露。真夏の夜をしっとりと彩る1曲を最後に、ツアーは幕を閉じた。

この夏、Bialystocksはいくつかの夏フェスに出演後、9月10日(日) には、東京・EX THEATER ROPPONGIでの追加公演を控えている。最高の真夏の余韻が楽しめそうだ。

Text：早川加奈子　Photo：原田昴

＜公演情報＞
『Bialystocks 2nd Tour 2023』大阪公演

7月8日(土) 梅田CLUB QUATTRO

＜リリース情報＞
Bialystocks 11thデジタルシングル「Branches」

配信中
https://bialystocks.lnk.to/Branches

＜ライブ情報＞
『Bialystocks Tour 2023』（追加公演）

9月10日(日) 東京・EX THEATER ROPPONGI
※SOLD OUT

Bialystocks 公式サイト：
https://lit.link/bialystocks