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冤罪に直面する男を熱演! 町田啓太が語る逆境への立ち向かい方とは

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町田啓太 撮影:川野結李歌

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政界や財界を裏で操る黒幕“フィクサー”を主人公に、人気脚本家・井上由美子(『白い巨塔』『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』など)が世の中を操る“黒幕”を主人公に描くノンストップサスペンス『連続ドラマW フィクサー』。4月から放送・配信されたSeason1では、現役総理大臣の自動車転落事故を軸に、唐沢寿明演じるフィクサー・設楽拳一の暗躍で、次期総理大臣争いが決着し幕を閉じた。そして、先日よりついにSeason2の放送・配信がスタート。

Season2では、政界に加えて法廷が舞台に。Season1で、設楽からのリークを得て総理転落事故の闇に切り込んだ若き新聞記者・渡辺達哉が今回、都知事の汚職事件を追及する中で、都知事の妻の傷害事件の犯人に仕立て上げられてしまう。達哉はこの苦境にどう立ち向かい、設楽はフィクサーとしてどう動くのか? そしてこの事件の裏には何が……? 達哉を演じる町田啓太に話を聞いた。

設楽拳一は魅惑的だけど、実際に近くにいたら怖い(笑)

――渡辺達哉は権謀術数が渦巻く本作においては、確実に少数派の非常に正義感の強い男ですね。

町田 そこは大事にしていかないといけないポイントだなと思っています。正義感から来る行動力――それが時にちょっと行き過ぎちゃうところもありますが(苦笑)。

Season2では、まさにその正義感をきっかけに、いろんなことに巻き込まれていくんですが、こんなに大きなことに巻き込まれて、こんなに大きな圧力がかかってきたとき、果たしてどうなるのか? もちろん、自分は正しいと信じていますが、その正義がねじられてしまうのか? 演じていて楽しいこともありますが、しんどいという思いもありました。そこはSeason2のポイントでもあると思います。

――斉藤由貴さんが演じる母との関係性も、達哉という人物像の大切な要素ですね。

町田 今回も(つらい状況の中で)ついつい見失ってしまうところもありますが、親子というところはすごく大事な部分ですし、家族のつながりはスペシャルだなと思いました。

――斉藤由貴さんとの共演で印象に残っていることはありますか?

町田 斉藤さんとは(Season1で)「はじめまして」から始まったんですが、ふいに斉藤さんが携帯を持つのを忘れてその場から去ってしまったことがあったんです。単に忘れただけなんですが、役を通して見たときに「それ、いいですね!」となりました。

ちょっとおっちょこちょいで「大丈夫? 母ちゃん……」となるような母ちゃん像が生まれた瞬間がありました。そういうお母さんだからこそ、達哉も「守らなきゃ」、「母さんのために強くあらねば」と思えたと思いますし、斉藤さんが演じたからこそ、いろいろと役を膨らませてもらったシーンがたくさんありました。毎回、思わぬやりとりがありましたね。

――記者から容疑者へとSeasonをまたいでガラッと立場が変わりますが、そうした中でも一貫して持ち続けている、達哉という人物の軸となるような部分はどんなところですか?

町田 先ほどもお話しした正義感はもちろんですが、真相、真実を明らかにしたいという強い気持ちはブレずに持っていなくてはと思っていました。それはSeason1、2もそうですし、Season3でもそうですね。

――設楽拳一という男は町田さんから見て魅力的ですか?

町田 視聴者として言わせていただくと魅力的ですが、実際に近くにいたら怖いですよね(笑)。それでもどこか魅惑的だなと思いますね。

――Season2ではそんな設楽という人間の本質や苦悩、葛藤が少し見え隠れするようなシーンもありますね。

町田 そうなんですよね。Season1ではスーパーマンみたいなところがありましたが、Season2ではだんだんと人間味が出てくるというか……。それが本当なのか? それすらも嘘じゃないか? というところもあるんですが(笑)、そんな設楽の本音みたいな部分が見え隠れするのも今回の見どころだなと思っています。

食事に連れて行ってくれた唐沢、とにかく話術がすごい

――設楽を演じる唐沢さんの印象についてもお聞かせください。

町田 (設楽と唐沢の)共通点はたくさんありますが、特に話術のすごさは本当に共通する部分で、設楽が口にする言葉を唐沢さんも言いそうだなってドキッとしちゃうような部分もあって、すごいなと。どういう思考回路なのか……頭の中をのぞいてみたいですね。

――撮影外でも唐沢さんと接していかがですか?

町田 普段からすごいですよ。一度、「おぉっ…!!」と思ったことがありました。Season1が放送になる時期に一度、みなさんと一緒に舞台挨拶に登壇させていただいたんですが、それまでは僕の中で、唐沢さんが冗談を言ったりするようには見受けられなかったんですよね。それは膨大なセリフを抱え、なおかつ、いろんなことを考えていかないといけないキャラクターということもあったんでしょうけど、僕にとっては、それが唐沢さんのパーソナリティだと思ってたんです。それが舞台挨拶で「え、そんなにも……!?」というくらい、話術でみなさんを楽しませていらっしゃって、どこまで本気でどこまで冗談なのか分からないくらいで、降壇して、僕はびっくりし過ぎて変な汗をかいていました(笑)。

それで「すごかったですね」という話をさせていただいたら、唐沢さんが「だってさ、せっかく有観客で来ていただいて、楽しんでもらえなかったら意味ないじゃん。楽しんでもらいたいんだよね」と言いつつ、「あ、でも全員がすごい真面目なことを同じ顔してやっててもそれはそれで面白いね。あははは」って笑っていて、なんてユーモアに長けている人なんだろうと度肝を抜かれました。

そこから、また何度かお会いする機会があって、人柄が本当に素敵なんですよね。一緒にいさせていただくと人間として勉強になりますね。

――ご飯やお酒をご一緒する機会はあったんですか?

町田 させていただきました。藤木(直人)さんが舞台挨拶で「お寿司に連れて行ってもらって」という話をされていて「いいなぁ……」と心の中で思っていたんですけど、僕も連れて行ってくださいました。最高でした。

本当にユーモアたっぷりで、でもハッとさせられるようなことをサラッとおっしゃって、少しだけ頭の中をのぞかせていただけた気がして嬉しかったですね。ずーっとしゃべられているんですよ(笑)。食べてないときはずっと! これだけで配信できそうだなと。絶対に公にはできないですが(笑)、至高の時間でした。

――あらためて井上由美子さんによる脚本のどんな部分に面白さ、魅力を感じてらっしゃいますか?

町田 とにかくセリフが本当に素晴らしいな、面白いなと毎回思いますね。何でこんな会話が生まれるんだろうと思いますね。

それから唐沢さんもおっしゃっていましたが、キャラクターが魅力的ですよね。全キャラクターが魅力的です。バックボーンなどを細かく説明するわけではないんですが、スーっと入ってくるし、誰が出てきても面白くて見入ってしまうところがすごいですね。

このドラマは、欲深い人たちを描いている作品であり、様々な欲望がキャラクターに反映されていて、彼らがバトルさせられるわけですけど、どうやってこんなやりとりが生まれてくるのか不思議でならないです。

――達哉以外の登場人物も含めて、このセリフの応酬、やりとりに震えたりしびれたというシーンがあれば教えてください。

町田 Season2で言うと、やはり唐沢さん演じる設楽と西田敏行さんが演じる(大物フィクサー)本郷のやりとりですね。唐沢さんと西田さんのおふたりが演じてるからこその部分もあると思いますが。

あとは設楽と小林薫さんが演じる民自党の須崎(Season2では幹事長)とのシーンも好きですね。お互いに引かないし、怖っ!って思いますよね(笑)。Season1での、昏睡状態だった総理が目覚めたと聞いて病院で繰り広げるふたりのやりとりも「すげぇ……」と思いながら見てました。

戦う? 折れる? 自分だったらと置き換えて観てほしい

――先ほど、本作を人々の“欲望”を描く物語とおっしゃっていましたが、町田さん自身は欲望や野心といったものについてどう考えていますか? どちらも必要なものかもしれませんが、身を滅ぼすきっかけにもなりうることはこの作品を見ると強く感じます。

町田 善悪の判断を自分でちゃんとするしかないですよね、そこは。自分がそれをやって恥ずかしくないか? 後ろめたくないか? それだけじゃないかと思います。良心がきちんとあれば、欲望があろうが全然かまわないと思いますね。

――では、今回、達哉が陥るような危機的な状況や「もうダメかもしれない」という絶望にぶち当たったとき、町田さんはどのようにして自らを奮い立たせ、逆境に立ち向かうのでしょうか?

町田 「なんとかなる」と思うしかないですよね(笑)。実際、生きてりゃ何とかなります! もちろん、目の前で命にかかわるような、本当にどうしようもないことが起きたら、あきらめるしかないかもしれませんが、そういう状況でない限りは、どうにかなるんじゃないかと思います。

――絶望に陥ったとき、わりとネガティブな思いをひきずるタイプですか? それともすぐ切り替えるタイプですか?

町田 どっちもありますね。ことの大きさ、状況、自分のコンディションや年齢にもよると思いますので、一概には言えないですが、そういうものも、過ぎ去って、後になってふり返ってみたら、だいたい美談か笑い話になってるものなんですよね。そうしていかないと人間って前に進めないからかもしれませんが……。だから大丈夫ですよ。僕もそうやってきたし、そうしないといけない。何とかなるんです(笑)。

――あらためてSeason2の見どころを教えてください。

町田 渡辺達哉の立場で言わせてもらうと、こういう不条理な状況に置かれたとき、「自分だったらどうする?」と考えてもらえたらと思いますね。戦えるのか? それとも折れてしまうのか? 自分に置き換えて楽しんでいただければと思います。

――Season2の終盤には、さらに驚きの展開が待っていますね。

町田 おそらく、みなさんの想像は超えてきますので、ただただお楽しみに(笑)! 何が起きてどうなるのか?  僕自身、台本が上がってくるのをすごく楽しみにしていたし、読みながら「ウソだろ!」と思うこともあり、楽しかったです。何がどうなっていくか全く予想できないストーリーで、まだまだこのキャラクターたちの魅力が増していきます。

――達哉にもさらに大きな変化が訪れますね。

町田 僕は達哉のこと自体は、わりと早い段階で聞いていたのですが、観た方はびっくりするでしょうね(笑)。「早く次を見せてくれ!」となると思いますが、ぜひSeason1からもう一度、観返して楽しみにしてもらえたらと思います。

さかのぼって観てみると、見え方がだいぶ変わってくると思います「だからこのカットがあったのか!」、「だからこんな表情をしてたのね」という部分も多いので、余すところなく楽しんでいただければと思います。

取材・文:黒豆直樹
撮影:川野結李歌
ヘアメイク:Kohey
スタイリング:石川英治(tablerockstudio)

<番組情報>
WOWOW『連続ドラマW フィクサー Season2』

Season2:日曜午後10時 放送・配信<全5話>

【無料配信中】
・『フィクサー Season1』
WOWOWオンデマンドにて全5話配信

・『フィクサー Season2』
無料配信:8月10日(木)午後4:59まで WOWOWオンデマンドにて第1話配信

出演:唐沢寿明
町田啓太、江口のりこ、小泉孝太郎、要潤、真飛聖、斉藤由貴
西田敏行(特別出演)/石黒賢、富田靖子、内田有紀、鈴木保奈美、小林薫
脚本:井上由美子
企画・プロデュース:青木泰憲
監督:西浦正記、池辺安智
音楽:得田真裕
プロデューサー:村松亜樹、髙田良平、黒沢淳
制作協力:リオネス

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