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映画『ミッション:インポッシブル』をつくる際の“ルール”とは? 監督が語る

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トム・クルーズ主演の最新作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』がついに明日から日本で公開になる。クリストファー・マッカリーは本シリーズ『ローグ・ネイション』『フォールアウト』に続いて脚本と監督を手がけたが、シリーズをつくる上で常に“あるルール”を設定しているという。(以下、公開を楽しみにしている人のために最新作の具体的な内容には触れていません)

『ミッション:インポッシブル』シリーズは往年の人気ドラマ『スパイ大作戦』をベースに、1996年にトムが初めて製作も手がけて映画化。政府が表立って動けない作戦を遂行するエキスパート集団の活躍を描くアクション作品で、シリーズ化され、全作品が大ヒットを記録しているが、シリーズの“転換点”がふたつある。

ひとつ目は2006年の『ミッション:インポッシブル3』だ。それまでは基本的な設定を残して新たな物語が語られたが、本作以降はすべてが同じ世界、同じ登場人物で物語が語られるようになった。さらに本作からアクションや作戦と同じか、それ以上にトムが演じる主人公イーサン・ハントの内面、生活、倫理観が深く描かれる。私たちはアクションや変装、スパイグッズなどを楽しみつつ、“なぜ、イーサンはここまで無謀なことをしても戦いを続けるのか?”に想いをはせるようになったのだ。

シリーズ4作目『ゴースト・プロトコル』でノンクレジットながら脚本づくりに参加したマッカリーは、トムの熱烈なオファーを受けて『ローグ・ネイション』で監督と脚本を担当。各国のスパイで構成される組織“ローグ・ネイション”にイーサンと仲間たちが立ち向かう物語が描かれた。

そして前作『フォールアウト』でふたつ目の転機が訪れる。前作公開時、マッカリ―監督は筆者のインタビューにこう答えている。

「私はトムに言ったのです。『ローグ・ネイション』は、その前の映画『ゴースト・プロトコル』が作り上げた定型を踏襲しているけど、同じ型でもうひとつ映画を作ってしまったら、きっと観客は“パターン化”を感じてしまうだろう。もちろん、成功しているシリーズのうまくいってる部分を変えてしまうのだからリスクはある。でも、シリーズを成長させたいのであれば、破壊する必要があるのではないか? とね」

彼らは『フォールアウト』で主要なスタッフをあえて変更し、映画のルック、語りのトーンを変えた。さらにこれまでは武器商人や元スパイなど明確に“倒すべき敵”がいたが、この映画から複数のプレイヤーの思惑が交差し、イーサンたちが誰かひとりを倒すか捕まえるだけでは終われない物語が描かれるようになった。世界を暗躍する武器仲介人、イーサンの動きをうとましく思う政府、世界に混沌をもたらそうとする勢力……イーサンが立ち向かうのは“悪いやつ”ではなく、悪が生まれてしまう、自分の思惑を真実だと思いこませたい者が生まれてしまう“世界の状況そのもの”だ。

さらにマッカリー監督は、イーサンの“倫理(モラル)”にフォーカスをあてることになった。彼はシリーズ1作目でイーサンがラングレーにあるCIA本部に潜入する場面に着目した。イーサンはフランツ・クリーガー(ジャン・レノ)と本部に忍び込むが、クリーガーが警備員をナイフで殺そうとすると、イーサンは全力でそれを阻止する。

「あのシーンでイーサンがクリーガーを制止して“Zero body count(日本語字幕では“殺すな”になっている)”と叫ぶのを見たとき、イーサンは大勢の命も、たったひとりの命も同じように扱っていると思ったんです。これこそがイーサン・ハントのモラル(倫理)で、新作では彼のモラルの問題を扱おうと思いました」(前作公開時のマッカリー監督の発言)

たったひとりの敵を倒しても問題が解決しない世界。“片方の陣営”を壊滅させるだけでは平和が訪れない世界。悪人を捕まえると、そのことでパワーバランスが変化して別の悪が出現する世界。そこでイーサン・ハントと仲間たちは誰を信じ、何と戦うのか? そして、大勢の命も、たったひとりの命も等しく守ろうとするイーサンは、どこまでの犠牲を払えるのか?

『フォールアウト』から始まったこれらのテーマはすべて『デッドレコニング PART ONE』に引き継がれている。最新作でイーサンたちは、それを手に入れれば世界の勢力図を塗り替え、真実のあり方を根本的に変えてしまうような“ある兵器”を破壊するべく、これまで以上に危険なミッションに挑むことになるが、目の前にいる敵やアイテムは“本質”ではない。最新作では前作からトムとマッカリー監督が追求しているテーマやキャラクター表現がさらに深く描かれる。

最新作が2部作になった理由

そのため、本作ではついにシリーズが2部作になった。

「『フォールアウト』を製作するにあたり、『ローグ・ネイション』から学んだ教訓をもとに、キャラクターのダイナミクスやストーリーを構築しました。イーサンとイルサの関係は非常にうまくいき、アクションと同じくらい、キャラクターから掘り起こすべきものがあることを発見したのです。『フォールアウト』では、それを推し進めた結果、より長い映画になりました」とマッカリー監督は語る。

「今回の映画では、“もしもう一度やるなら、さらにそれを押し広げたい。イーサンのキャラクターをもっと深く掘り下げたいし、彼の周りのキャラクターももっと深く掘り下げたい”と言いました。

そうなれば、もっと大きなストーリーになることはわかっていました。だから、“2時間20分にすべてを詰め込もうとするのはやめよう。それでは、よりコンパクトな映画を作らなければならないというプレッシャーをいつも抱えることになる。もっと大きな映画を作り、それを半分にカットして、きちんとしたものを作るための余裕を持とう”ということになったのです」

キャンバスが広がった。彼らはこれまで以上に大きなスケールでアクションやスタントを描き、キャラクターの内面に深く入り込み、前述したテーマを様々な角度から描いている。もちろん本作でも、複数のプレイヤーの思惑が交錯し、イーサンは大勢の命と、目の前のたったひとつの命を守るために極限状態に置かれる。

そこで登場するのが、トム・クルーズの全身全霊をかけたアクション&スタントだ。毎作、彼は長い時間をかけて準備し、観客がアッと驚くスタントを披露するが、それらはすべて物語のテーマとリンクしている。その証拠に、近年の本シリーズの大規模なアクションはすべて“敵を倒すため”ではなく“大勢の命と、目の前のたったひとつの命を守る”物語を描くために登場する。

そして、それらはすべて過去の映画におけるアクションやスタント、スクリーンで俳優が動くことの根源的な魅力と結びついている。単に“前作よりもさらに過激なものを”ではなく“映画の中で俳優が動くことの魅力”をさらに追及した結果なのだ。

「基本的に、僕とトムはデヴィッド・リーン、バスター・キートン、ジョン・フランケンハイマーが大好きなんです。彼らはみな、ある段階で、ある種の壮大な列車事故を撮影している。私は、本シリーズで学んだすべてのことを、列車を壊すことに応用したかったのです」

当然だが、彼らは過去の映画に敬意を払い、その輪に加わるが“その先”を行く。本作は劇中に列車のシーンが登場するが、マッカリー監督はこう宣言するのだ。

「他の映画では、列車の大破がクライマックスのイベントになります。しかし本作では列車の大破は、クライマックスの“きっかけ”に過ぎないのです」

ちなみに予告編に登場するイーサンがバイクで急斜面からダイブする場面は圧巻だが、これも“きっかけ”に過ぎない。

「バイクに関しては崖っぷちでした。未知の部分が多すぎて、トムが斜面から飛び降りて何が起こるか予想がつかなかった。しかし、それはすべて相対的なものです。本編を観ればわかりますが、その後、トムとはもっと恐ろしい体験をしました」

私たちが予告編や宣伝のために観た映像は“きっかけ”だ。映画館ではその先が描かれることになる。

「この作品で私たちは本当に“世界の果て”まで行ったのです」

なお、本作は過去作を観ていなくても楽しめるようになっている。それこそがマッカリー監督が本シリーズをつくる上で決めた“ルール”だ。

「私たちは『ミッション:インポッシブル』で自分たちのために書いたルールを守るだけでした。それは、どの映画も独立した作品でなければならない、というものです。観客に、ひとつの映画から精神的に離れて、別の映画を思い出してもらうなんてできません。私たちにとって、それは魔法を解いてしまうことなのです。だから、パート1は、それだけで完結し、満足のいく結末を迎える映画でなければなりませんでした。もしパート2がなかったとしても、大丈夫なように終わらせる必要があったのです。

同時に、その冒険の続きが欲しくなるような終わり方でなければならなかったのです。そして、パート2は、パート1を観たかどうかにかかわらず、単独で成立するものでなければなりませんでした。

ふたつの映画では、彼らの世界が常に広がっていくのを感じることができ、シリーズで登場したことのない場所に行き、見たことのない世界の一部に行くことができます。映画の制作も、物語も本当に冒険の連続だったのです。この作品で私たちは本当に“世界の果て”まで行ったのです」

トム・クルーズとクリストファー・マッカリー監督、そしてクルーたちはシリーズの“限界”を更新し続ける。常に前へ、もっと先へ。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
7月21日(金) 公開
(C)2023 PARAMOUNT PICTURES.

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