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魅力的な歌声と、あちこちに散りばめられた仕掛けを楽しんで ミュージカル『カラフル』開幕

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ミュージカル『カラフル』より、手前左から)鈴木福、川平慈英 撮影:NAITO

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ミュージカル『カラフル』が東京・世田谷パブリックシアターにて7月22日(土) に開幕した。

原作は累計発行部数120万部を超える、直木賞作家・森絵都のベストセラー小説「カラフル」(第46回産経児童出版文化賞受賞)。これまで日本、タイで3度の実写化、劇場アニメ公開、ラジオドラマでの展開など多くの人に愛され続ける傑作小説だ。

脚本・作詞・演出を担うのは世田谷パブリックシアター初登場となる小林香。出演は、人生を再挑戦する主人公<ぼく>役に、鈴木福。主人公を地上でガイドする天使・プラプラ役に、川平慈英。主人公の母と父は、彩乃かなみと川久保拓司、さらに主人公の兄やクラスメイトには加藤梨里香、百名ヒロキ、石橋陽彩、菊池和澄と、舞台・ミュージカル界を中心に注目される実力派キャスト陣が集結している。

左から)彩乃かなみ、鈴木福、百名ヒロキ、川久保拓司

<ストーリー>
「おめでとうございます!抽選にあたりました!」――
死んだはずの<ぼく>(鈴木福)の魂は、ガイド役の天使・プラプラ(川平慈英)に導かれ、自殺を図った小林真として人生の再挑戦をすることに。家族やクラスメイトとの関わりの中で、モノクロだった世界のイメージが少しずつカラフルな色に変わりはじめたとき、<ぼく>の生前の罪が明らかになる……。

開幕直前に行われた、ゲネプロ(通し舞台稽古)と取材会での様子をレポートする。

ミュージカル界を牽引する名手、小林香によるワクワクするような演出

様々なメディアミックスを展開してきた原作「カラフル」だが、舞台化は今回が初。死後の世界や天使・プラプラの存在、<ぼく>が抱える葛藤や秘密をどの様に舞台上で表現していくのか、原作や映画作品ファンとしては、期待が高まるミュージカルである。

脚本・作詞・演出を担う小林は、帝国劇場/シアタークリエにて演劇プロデューサーとして活動後、舞台演出家として独立。今年1・2月に上演されたミュージカル『MEAN GIRLS』日本初演(演出・上演台本・訳詞)ほか、オフ・ブロードウェイミュージカル『The Last 5 Years』(演出/2021年)、『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』(訳詞・演出/2021年)など数々の海外ミュージカルを手掛け、演出・脚本・作詞を一手に任う「オリジナルミュージカル」と、日本では数が少ない「ショー」の創作も得意としている演出家。2015年にはサンリオピューロランド25周年に「ミラクルギフトパレード」で脚本・演出を務め、多くのファンを獲得している、日本のミュージカル界を牽引する才能の持ち主だ。

中央)川平慈英

舞台上には、<ぼく>がその体に“ホームステイ”する小林真の自宅や、小林真が通う教室が白一色で構成され、広がってる。そこに、天使・プラプラが登場し、他の天使たちと共にカラフルな照明でステージを彩りながら、<ぼく>が置かれている状態を説明する。死後の世界だというのに、はちゃめちゃに明るい川平の歌とダンスに一気に惹き込まれる。

『ラッキーソウル・ショー』というひとつの楽曲を「ヘンな天使編」、「ルール説明編」、「ホストファミリー紹介編」と、歌詞や演出を変えながら表現する。とても楽しいプロローグだ。

そこからは、一見平凡で平和な生活を送っているように見えた小林真の“真実”が次々に紹介される。母親の不倫、人間的に信頼出来ない父親、意地悪な兄、初恋相手のパパ活などなど、まさに問題のオンパレード。真っ白な舞台上は、明るくなったり、暗くなったり、さまざまな色のライトが照らしたり、<ぼく>の翻弄される様子がこちらにまで伝わってくる演出だ。

左から)川久保拓司、鈴木福
左から)本田大河、彩乃かなみ

ミュージカル初主演の鈴木福らキャスト陣による魅力的な歌声

小林真が直面していた現実にうなだれ、人生の再チャレンジへのやる気が起きないぼく。そんなぼくをプラプラが不思議な歌とダンスで勇気づける(「ぷらぷらぷら」)。プラプラと<ぼく>の友情にも似た何かが生まれはじめる魅力的なシーンだ。

初恋相手のひろかにパパ活をやめさせようとするも失敗に終わったり、不良に襲われたり、ひどい悪夢を見たりするなどふんだりけったりなシーンだが、大嵜慶子による素晴らしい楽曲の数々と、鈴木福をはじめとするキャスト陣の見事な歌唱力によって、この展開が暗すぎないものになっている。

鈴木福
左から)鈴木福、加藤梨里香

「ひろか救出劇からのソーダの泡」は鈴木と川平の声の相性も抜群。『カラフル』というタイトルとは意味が真逆の楽曲「Colorless」では、クラスメイト・佐野唱子を演じる加藤梨里香の切実な想いが歌声となって響き渡る。

『カラフル』をミュージカル化すると聞いた時は、このストーリーをどのように展開していくのか想像が出来なかったのだが、実際に観て、とてもマッチしていると感じた。死後の世界から半ば無理やり連れ戻された<ぼく>の、俯瞰して周囲を見る様子と目まぐるしく展開する周囲の様子が歌とダンスによって見事に構築されているのだ。

鈴木によるみずみずしい歌声も合わさって、感情がストレートに伝わってくる。ミュージカル初挑戦でありながら、ほぼ全てのシーンに出演し、演じきった鈴木の才能と努力に誰しもが心からの拍手を贈るはずだ。どのキャスト陣もとても魅力的な歌声と演技を披露してくれたが、特に小林真のクラスメイト・早乙女くんを演じた石橋陽彩に注目したい。石橋は2018年、ディズニー/ピクサー映画『リメンバー・ミー』の主人公であるミゲル・リヴェラ役の吹き替えを担当し注目を集めた俳優。早乙女の出番自体はさほど多くはないものの、<ぼく>の気持ちを変える大切な存在として、石橋の歌声が大きなパワーを与えている。

手前・中央左から)鈴木福、川平慈英

最後には、驚くような仕掛けが用意されており、まさにネタバレ厳禁。ぜひその目で確かめていただきたい。

鈴木福「プレッシャーが心地良いものになっています」

ゲネプロ前に行われた取材会には、鈴木、川平、小林が登場し、本舞台への想いを語った。ミュージカル初主演となることへのプレッシャーについて聞かれた鈴木は、「今もヒシヒシと感じているのですが、稽古が進んで形になっていくごとに、僕がちゃんとしないとなりたたない作品だということを強く感じています。どんどん出来ることも増えていると感じるし、自分の中でも、そのプレッシャーが心地良いものになっています」と笑顔。

ミュージカル『カラフル』初日取材会より、左から)小林香、鈴木福、川平慈英

「ミュージカル中の9割9分に出演しているのですが、最初は体力が無くて皆さんにご迷惑をおかけすることもありました。だんだん音楽に体をゆだねられるようになり、舞台って良いな、と感じています」と話す。

ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』(2017)以来の共演となる川平は鈴木について、「お客さんも同じ気持ちになると思うのですが、(鈴木は)抱きしめたくなるくらいチャーミング。(『ビッグ・フィッシュ』での共演以来)福くんの“アンクル・ジェイ”だと思っているんですが、叔父としてこんな誇らしい共演者はいないです。この人を見ていると本当に心が揺さぶられます。福くんの愛らしさと、キャストみんなの感情豊かな芝居とミュージカルナンバーに期待して欲しいです」とコメント。

共演が7年ぶりになることについて、「7年前もプロの俳優同士の共演でしたが、福くんは良い意味で何も変わっていない。スタッフ、周りのキャストに対する真摯さが素晴らしく、すごく努力をしていると思うし、トップランナーで居続けるには相当の努力と学びがあるのだなと思います。リスペクト出来る男です」と太鼓判をおした。

また、「これをきっかけにミュージカルスターの道をたどって欲しい、ミュージカルに新しい風を吹き込んで欲しい」とラブコール。ゲネプロでの鈴木の歌声と芝居に対面した筆者としても、ぜひ新たなミュージカルで彼の姿を見たいと願うばかりだ。

脚本・作詞・演出を担当した小林は、「子供に見て欲しいという気持ちがとてもあり、子供たちに集中して食いついて見てもらえる仕掛けを、あちこち散りばめています。もちろん全年齢のかたに楽しんでいただける見応えのある作品ですが、特に若いかたに来ていただけるように、高校生以下はチケットが1,000円という気合いの入った料金形態でお待ちしています」と、若い世代へアピール。「今を生きる若い人たちの抱えている問題に切り込みながらも、重くなく、ユーモラスな作品となっています。ぜひ背中を押されに劇場に来てください」とメッセージ。

川平は「皆さんと一緒に幸せを分かち合えるミュージカルになっています。生きているだけでこんなに嬉しいことはないんだということをシェア出来る。日本のオリジナルミュージカルとしてエポックメイキングになる作品です」、鈴木は「劇場を出た時に大きな一歩を踏み出したくなるようなラストです。精一杯『カラフル』を皆さんの心の奥底まで届けられるように頑張ります」と気合いを見せた。

取材・文:中村梢 撮影:NAITO

【よくばり❣ぴあニスト】限定 ミュージカル『カラフル』ぴあ半館貸切公演限定、お得な「指定席引換券」を販売中!

対象公演:7月29日(土)13:00開演

受付期間:7月26日(水) 23:59まで ※予定枚数に達し次第、販売終了
この機会にぜひお申込みください!

詳細はこちらから

<公演情報>
せたがやこどもプロジェクト2023《ステージ編》
ミュージカル『カラフル』

2023年7月22日(土)~2023年8月6日(日)
会場:東京・世田谷パブリックシアター

【ツアー公演】
■兵庫公演
2023年8月12(土)・13日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

■茨城公演
2023年8月19日(土)・20日(日)
会場:水戸芸術館ACM劇場

■愛知公演
2023年8月26日(土)・27日(日)
会場:春日井市民会館

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2343480

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