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「ホロコースト証言シリーズ」最終作『メンゲレと私』ティザービジュアル公開。91歳の生存者・ハノッホ氏招聘プロジェクトが発足

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『メンゲレと私』

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『ゲッベルスと私』と『ユダヤ人の私』の「ホロコースト証言シリーズ」の第3弾にして最終作となるドキュメンタリー『メンゲレと私』のティザービジュアルと場面写真が公開された。

「ホロコースト証言シリーズ」とは、オーストリア・ウィーンを拠点に活動している国際的な製作プロダクション、ブラックボックス・フィルムのクリスティアン・クレーネス監督とフロリアン・ヴァイゲンザマー監督が手がけるドキュメンタリー・シリーズ。3部作で構成されており、1本につき1名の証言者が登場し、異なる立場からそれぞれの戦争の記憶を証言する。

2018年6月に公開された1作目『ゲッベルスと私』では、ナチ宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書を3年間務めたブルンヒルデ・ポムゼル(撮影当時103歳・2017年没)が登場し、当時のナチ中枢部の日常を語った。また、2021年11月に公開された2作目『ユダヤ人の私』では、アウシュヴィッツを含む4つの強制収容所に送られるも、辛うじて生還したオーストリアの最後のホロコースト生存者であるマルコ・ファインゴルト(撮影当時104歳・2019没)が、自身の数奇な体験を語っている。

そして、シリーズ最終作となる『メンゲレと私』では、リトアニア出身のユダヤ人、ダニエル・ハノッホ(1932年生まれ・91歳)が登場。ダニエルはわずか9歳でカウナス郊外のゲットーに送られ、その後、12歳でアウシュヴィッツ強制収容所に連行された。金髪の美少年だった彼は、“死の天使”の異名を持つ、非人道的な人体実験を繰り返した、ヨーゼフ・メンゲレ医師の寵愛を受け特異な収容所生活を送る。しかし、ダニエルが見た真の地獄は暴力、伝染病、カニバリズムといった人類史の最暗部だった。

1作目と2作目ともに岩波ホールで公開され、大きな反響を呼んだ「ホロコースト証言シリーズ」。昨年、岩波ホールの閉館で、3作目の公開が宙に浮いた状態になっていたが、12月3日(日)から東京都写真美術館ホール、以降、大阪・第七藝術劇場、および沖縄・桜坂劇場で公開される。

また、公開に合わせ、クラウドファンド・プロジェクト「『ゲッベルスと私』の「ホロコースト証言シリーズ」3部作を社会に残したい」が発足。本プロジェクトでは、ホロコースト生存者のダニエル・ハノッホ氏を日本に招き、東京、大阪、沖縄のミニシアターで、自らの戦争体験を直接語る場が設けられる予定だ。

【ホロコースト証言シリーズ】ダニエル・ハノッホ Video Comment

なお、今回のダニエル・ハノッホ氏来日に向けて寄せられた各劇場担当者からのコメントは以下の通り。

■東京都写真美術館 中村浩美さんと遠山樹里さん
昨今美術界では、文字史料のみに依らず、当事者へのインタヴューを介した口述史料<オーラル・ヒストリー>が注目されています。その理由はふたつ。当事者の個人的な記憶を人類の記憶として共有する術となり得ること、そしてそれを次代へと継承する意義があること。微力ながら、当館での上映+トークがその一助となれば幸いです。

■第七藝術劇場・支配人 小坂誠さん
岩波ホールの閉館により日本での完結が危ぶまれた「ホロコースト証言シリーズ」ですが、サニーフィルムの有田さんから今回のプロジェクトを聞いた時、この映画にとって最善の未来が見えました。元・岩波ホールの矢本さんと共に新しい「日本公開」のかたちにチャレンジされます。本プロジェクトにより来日される証言者ダニエル・ハノッホ氏と監督は、大阪の観客にも戦争の圧倒的な現実を伝えてくれることでしょう。我々の映画館からその影響を日本の社会に波紋のように広げられるよう努力します。

■桜坂劇場 下地久美子さん
御歳91歳のダニエル・ハノッホ氏に、過酷な長旅をお願いしている状況には、正直「心苦しい」という思いが込み上げます。でもだからこそ、来日どころか来沖まで決断してくださったダニエルさんに、心からの感謝を込め、大切にお迎えさせていただきたいと思っています。78年ほど前、20万人以上の命が失われた戦争が終結した沖縄で、あるコメディアンが「命(ぬち)ぬ御祝儀(ぐすーじ) さびら」(命のお祝いをしましょう)と言って、芸を披露しては皆を笑わせていたという逸話があります。失った命を数えて泣き明かすのではなく、生き残った者同士で生き残った命を祝おう。沖縄はそうやって復興してきたんだよ、と我々は教わり育ってきました。ですから、ダニエルさんにお辛い体験をお話しいただいたその後は、感謝の意をこめ、一緒に「命ぬ御祝儀」ができたら嬉しいです。 ホロコーストという地獄を生き延びたダニエルさんと、地上戦という地獄を経験した沖縄とで発信する平和の祈りが、「生」への祝福に満ちていたらいいなと思っています。

『メンゲレと私』
12月3日(日)公開

クラウドファンド・プロジェクト「『ゲッベルスと私』の「ホロコースト証言シリーズ」3部作を社会に残したい」