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時を越えて人々から愛される大津絵の魅力に迫る『めぐりあう大津絵』9月15日より開催

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「大津絵十種」《鬼の行水》、久保田米僊画、明治27年(1894)、神戸女子大学古典芸能研究センター蔵

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滋賀県大津市の大谷・追分周辺で、江戸時代初期から旅人向けのお土産や護符として流通していたという大津絵。素朴な魅力を放つこの大津絵に焦点をあてた展覧会が、東京の八王子市夢美術館で、9月15日(金)から11月5日(日)まで開催される。まとまって紹介される機会の少ない大津絵を、71点の作品と関連資料によって紐解く貴重な機会となっている。

起源は諸説あるというが、一説によると、安土桃山時代から江戸時代へと移行した慶長年間に京都の本願寺が東西に分立した際に、門前町から立ち退きを命じられた絵仏師たちが、追分の地に転居し、旅人相手に手頃な値段の仏画を販売したことが始まりだとか。やがて仏画のほかに、神社の絵馬に見られる図柄や風俗画などの幅広い画題が取り入れられ、庶民の間に浸透するなかで、人形浄瑠璃や歌舞伎、浮世草子などの文学作品、さらに道徳哲学の分野にも影響を与えるようになった。

近現代に入ると、大津絵の造形的な面白さに惹かれた文化人たちが美術コレクションとして蒐集を始める一方、大津絵と日本の文化史との関係について、学問的な研究も進められるようになる。今回の展覧会の特徴は、文化人の視点と、研究者としての視点から集められたふたつのコレクションを紹介することで、それぞれの個性を対比しつつ、大津絵の魅力を掘り下げることにある。

第1章で紹介されるのは、昭和の洋画家・小絲源太郎(こいと げんたろう/1887-1978)のコレクション。笠間日動美術館が所蔵するこの蒐集品は、様々な文化人たちに愛好され、めぐりめぐって小絲のもとに集結したという作品群で、初期の大津絵の逸品から全盛時代の作品、さらに文人画家として名高い富岡鉄斎の旧蔵品など、バラエティに富む。画家が選んだ、大津絵ならではのユーモアや大胆な造形感覚が感じられる作品ぞろいなのが特徴だ。

一方、第2章に登場するのは、演劇資料や仏教版画の蒐集をきっかけに大津絵を研究した国文学者の信多純一(しのだ じゅんいち/1931-2018)のコレクションと関連資料だ。こちらは、神戸女子大学古典芸能研究センターにある信多の旧蔵書「志水文庫」から、大津絵関連コレクションが関東地方で初めて展示される。神社の絵馬の画題と大津絵との関連性や、近世の演劇や舞踊との関わりから様々なメディアと融合していった大津絵の展開など、大津絵のもつ文化的な多様性が国文学者の視点から解き明かされる点も興味深い。

<開催情報>
『めぐりあう大津絵―笠間日動美術館・小絲源太郎コレクションと神戸女子大学古典芸能研究センター・志水文庫の大津絵』

会期:2023年9月15日(金)〜11月5日(日)
会場:八王子市夢美術館
時間:10:00〜19:00(入館は18:30まで)
休館日:月曜 (祝日の場合開館翌平日休)
観覧料:一般800円 大高・65歳以上400円
公式サイト:
https://www.yumebi.com

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