石丸幹二、井上芳雄、安蘭けいらが4曲を披露! 3つの家族の絆を描くミュージカル『ラグタイム』稽古場レポート
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ミュージカル『ラグタイム』稽古場より
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すべて見るミュージカル『ラグタイム』の公開稽古が8月23日に都内稽古場にて行われた。『ラグタイム』は1998年トニー賞で13部門にノミネートされ、最優秀脚本賞・最優秀オリジナル楽曲賞をはじめ4部門を受賞した傑作ミュージカル。20世紀初頭、多くの移民が渡ってきたニューヨークを舞台に、ユダヤ人、黒人、白人、それぞれのルーツを持つ3つの家族が固い絆で結ばれ、差別や偏見に満ちた世界を変えていこうとする物語である。日本初演となる今回の上演は藤田俊太郎が演出を手掛け、石丸幹二、井上芳雄、安蘭けい、遥海、川口竜也、東啓介、土井ケイト、綺咲愛里、舘形比呂一、畠中洋、EXILE NESMITHらが出演。この日の公開稽古では4つの場面が披露された。
まず演出の藤田が「こういう(稽古場披露という)時間を持つことができて幸せです。カンパニー一同、作品の深いテーマを追い求めて稽古をしています」と挨拶を述べたのち、楽曲披露へ。
最初に紹介されたのは、カンパニー全員が登場する幕開けの『Ragtime』。まさに“ラグタイム”なオシャレなリズムに乗せた壮大なナンバーだ。実際は10分ほどある楽曲の後半部分の披露だったが、石丸幹二らが演じるユダヤ人たち、井上芳雄らが演じる黒人たち、安蘭けいが演じるら白人たちという3つの人種があること、その人種が時にくっきりと分かれ、時に混ざり合うことがダンスフォーメーションから視覚的にも伝わってくる。異なる階級、人種が交差しタペストリーのように織りなされる物語が展開されていく予兆が、この一曲の中にギュッと濃縮されている。
2曲目は、井上演じる気鋭の若き黒人ピアニスト、コールハウス・ウォーカー・Jr.が、彼のもとから去っていってしまった恋人サラへの思いを歌い、同胞たちが彼を励ますダンスナンバー『The Getting’ Ready Rag』。
振付のエイマン・フォーリーからキャストたちへ「椅子を出す時は急がずにエレガントに」といったような気を付けるべきポイントが語られたのち、場面の披露へ……となったものの、井上が出だしの台詞を噛み「……もう一回行きましょう!」とやり直しを要求すると、共演者たちがドッと盛り上がるというひと幕も。カンパニーの和やかな雰囲気も垣間見れたところで改めて披露されたナンバーは、こちらもシンコペーションのリズムも心地良く、ブラックたちの躍動感あふれるダンスが魅力的なシーンとなっていた。
続いてもコールハウス役の井上と、サラを演じる遥海が登場。緊張のそぶりを見せる遥海に「何度でもやり直せるから!」と1曲前の自身の姿を例に(?)、優しく声をかける井上。そしてふたりの間に生まれた息子の輝く未来と幸せを願い「この子の時代は幸せで自由だ」「もう差別させない」と理想の世界を歌うデュエットソング『Wheels Of a Dream』を披露。力強いメッセージとロマンチックさが同居する珠玉のナンバーを、抜群の歌唱力を持つふたりが美しく響かせた。
最後は石丸幹二が演じるターテと安蘭けいが演じるマザーが運命的な出会いから数年後に再会し、それぞれの子どもたちが仲良く遊ぶ姿を見ながら歌う『Our Children』。
3拍子の優雅なメロディの中、子どもの姿に未来を見るような感動的なナンバーを、石丸と安蘭が柔らかな笑顔で情感豊かに歌い上げる。場面の披露が終わると「4人でお辞儀をしよう」と石丸が子役たちを呼び寄せ、報道陣に向かって礼をする姿まで、作品世界が続いているような美しい光景だった。
30分弱の短い時間ではあったが、実力派揃いのキャストと、物語の時代背景と丁寧に向き合っていく藤田俊太郎の演出が光り、『ラグタイム』という珠玉のミュージカルの日本初演に大いに期待感が高まった公開稽古であった。
公演は9月9日(土) から30日(土) まで東京・日生劇場、10月5日(木) から8日(日) まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、10月14日(土)・15日(日) に愛知県芸術劇場 大ホールで行われる。チケットは発売中。
取材・文・撮影:平野祥恵
<公演情報>
ミュージカル『ラグタイム』
脚本:テレンス・マクナリー
歌詞:リン・アレンズ
音楽:スティーヴン・フラハティ
演出:藤田俊太郎
【キャスト】
石丸幹二:ターテ
井上芳雄:コールハウス・ウォーカー・Jr
安蘭けい:マザー
遥海:サラ
川口竜也:ファーザー
東啓介:ヤンガーブラザー
土井ケイト:エマ・ゴールドマン
綺咲愛里:イヴリン・ネズビット
舘形比呂一:ハリー・フーディーニ
畠中洋:ヘンリー・フォード&グランドファーザー
EXILE NESMITH:ブッカー・T・ワシントン
新川將人、塚本直
井上一馬、井上真由子、尾関晃輔、小西のりゆき、斎藤准一郎、Sarry、中嶋紗希、原田真絢、般若愛実、藤咲みどり、古川隼大、水島 渓、水野貴以、宮島朋宏、山野靖博
【上演日程】
2023年9月9日(土)~30日(土) 東京・日生劇場
2023年10月5日(木)~8日(日) 大阪・梅田芸術劇場 メインホール
2023年10月14日(土)~15日(日) 愛知・愛知芸術劇場 大ホール
チケット情報
https://w.pia.jp/t/ragtime/
公演公式サイト
http://tohostage.com/ragtime
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