Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 神話、音楽、ダンス……インドのすべてがここにある『インド細密画』9月16日より開催

神話、音楽、ダンス……インドのすべてがここにある『インド細密画』9月16日より開催

アート

ニュース

ぴあ

《神の出現》 ラージプト絵画 18世紀中頃

続きを読む

フォトギャラリー(8件)

すべて見る

インド美術研究家でもある日本画家・畠中光享のコレクションから、インド細密画の優品約120点を紹介する展覧会が、9月16日(土)から11月26日(日)まで、東京の府中市美術館で開催される。日本ではまとまったかたちで見る機会の少なかったインド細密画の魅力をたっぷり味わえる貴重な機会だ。

インド絵画の精華とも呼ばれる細密画は、16世紀後半から19世紀半ばにかけて、ムガル帝国やラージプト諸国の宮廷で楽しまれた一辺20センチほどの小さな絵のこと。あえて小さな画面に描くのは、「見る人と絵が一対一で対話をする」という考え方があったからで、絵と対話を重ねることは魂を清める行為でもあったという。

同展は、そのインド細密画の独特の魅力と見方を教えてくれる展覧会だ。例えば、感情を直に揺さぶることを大きな目的とするインド芸術では、音楽が重要視されており、そのため、楽曲の旋律の型や音色そのものを絵画化した「ラーガマーラ」と呼ばれる楽曲絵が生まれている。日本にも西洋にも見られないインド独自の伝統である。

そのほかの重要な主題としては、古代から愛を描いてきたインド文学の伝統やヒンドゥー教の教えを反映し、人間や神々の「愛」のテーマが存在する。また、世界を維持するヴィシュヌや、破壊と再生を司るシヴァらヒンドゥー教の神々、あるいは古代の叙事詩『ラーマーヤーナ』に登場するラーマ王子やハヌマーンといった英雄たちも重要な存在だ。ちなみに、これらのモチーフは仏教を通じて日本にも伝来し、ヴィシュヌは馬頭観音、シヴァは大黒天となり、また『ラーマーヤーナ』も桃太郎の物語の起源だと言われているのだとか。

主題だけでなく、描き方にもインド固有の特色がある。色彩や線描といった造形の美しさが観る者の心に働きかける力を重視したインド絵画は、西洋絵画のようなリアルな描写は追求せず、あえて濃淡や陰影をつけず、色彩の美しさや輝きを生かそうとしたのだ。美しい線と色に彩られた宝石のような絵の中には、人々の自然を崇める心や感性、情熱的な信仰心が込められている。その細密画の美の世界を楽しむことで、インド文化への興味をより深めたい。

<開催情報>
『インド細密画』

会期:2023年9月16日(土)〜11月26日(日)
会場:府中市美術館
時間:10:00~17:00(入場16:30まで)
休館日:月曜(9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
料金:一般900円、大高450円、中小200円
公式サイト:
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/

フォトギャラリー(8件)

すべて見る