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【ライブレポート】結成34年のフラカンと、結成36年のピーズが、設立100年の日比谷野音に響きわたらせた、11年ぶりの「ヨサホイ」!

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『帰ってきたぞぉぉ、っちゅうか死ぬまでヨサホイ〜YOSAHOI IN HIBIYA〜』9月2日(土) 日比谷野外大音楽堂 Photo:新保勇樹

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2023年9月2日土曜日、日比谷野外大音楽堂にて、ピーズとフラワーカンパニーズ(以下フラカン)によるイベント『帰ってきたぞぉぉ、っちゅうか死ぬまでヨサホイ〜YOSAHOI IN HIBIYA〜』が、行われた。

フラカンとピーズは、2008年から2012年まで、毎年『ヨサホイツアー』を行っていて、その模様は『ヨサホイフォーエバー』という映像作品にもなっている(ピーズ公式サイトの通販コーナーで、現在も購入可能)。

それ以降も、2022年10月29日名古屋ダイアモンドホールでのフラカンのイベント『DRAGON DELUXE』などで、この2バンドが共演する機会は何度もあったが、こうして『ヨサホイ』というタイトルでイベントを打ったのは、11年ぶり。

なお、『ヨサホイ』というタイトルは、フラワーカンパニーズ「真冬の盆踊り」の中の「ヨサホイヨサホイヨサホイのホイ」というコールから付けられている。もともとは、2007年に、ライブでフラカンがこの曲をやっているところに、ピーズの面々が乱入したのがきっかけで、翌年からカップリング・ツアーが始まったのだった。

というこの2バンドが、このたびなぜ、ここ日比谷野音で、11年ぶりに『ヨサホイ』を再現することになったのか。それについては、この日、ボーカル鈴木圭介が説明した。

曰く。1年前の2022年9月23日、フラワーカンパニーズは、ここ日比谷野音でワンマンを行った。フラカンは結成33年で、日比谷野音は99年、野音は来年の100周年を終えたら改装工事のためクローズする、だから今の日比谷野音でフラカンがやる最後のライブ──という趣旨で、開催した。のだが。

なんと、2023年9月2日の野音が抑えられたという知らせが急遽届いたのだ、と。
「今の日比谷野音での最後のワンマン」は、もう、やっちゃったし。どうしよう。そうだ、ピーズ先輩を誘って「ヨサホイ復活」やるのが楽しいんじゃないか。というわけで、実現したのだった。

大木温之(ピーズ/Vo、Gt)

なお、フラカンがピーズを誘ってよかったことが、もうひとつあった。

晴れたのだ。そう、フラカンの日比谷野音、ものすごく高い確率で、雨が降るのである。この日、関係者受付業務を行っていたイベンターは、僕の顔を見るなりこう言った。「初めて、晴れた気がします」。

いやいや、「初めて」は言い過ぎだけど、そうですね、少なくとも……えーと、2015年4月18日の野音ぐらいだったと思います、降らなかったのは。あとは、だいたい、降ったか、降らなかったけど大寒波だったか、の、どっちかだと思います、私も。

では、ようやく本来のライブレポに入ります。

ピーズ

バックドロップ等が何もない、照明も必要最小限で、2バンド分の機材が、最初からベタ置きにしてあるステージに、まずピーズが登場する。SEはキャロル「夏の終りに」である。

はる(大木温之)、「いえー! やったー! 今日は大成功、こんないい天気で!」と、オーディエンスに喜びを伝えてから、「いい日になれー!」と、「プリリヤン」でライブをスタート。

2曲目に入る前に、ベースのみったん(岡田光史)は、野音でライブをやるのは今日が初めてで、ドラムの茂木左は二回目であることを、はる、メンバー紹介しながら告げる。

茂木左(ピーズ/Ds)

「自分ら(はるとアビさん)は、何度もやらさせてもらって、なんちゅうの、ここが自分らにとっての人生みたいなもんだね」と、めずらしくちょっとマジなことを言う。

そして、「なんか、来年あたりなくなっちゃうそうで、まあ、ちょうどいいかなっていう、そういう気がしないでもない。今年の夏、死ぬかと思ったもん、クソ暑くて。来年の夏もまた暑いとしたら、もういらないから、この先の人生なんか」と、ロクでもないことも言う。で、「何を言うんだ!」と自分につっこむ。

岡田光史(ピーズ/Ba)

「今日、1時間ぐらいやっていいっちゅうんで。適当に、体力を温存しとくように。全然あおらないんで、僕らは。そっちもあおらないでくださいよ、倒れちゃいますからね」と伝えてからの3曲目は「ドロ舟」。オーディエンス、当然ながら大歓喜。さらに、「さらばボディ」

「実験4号」「体にやさしいパンク」と、連打していく。

次のMCではる、自分がしゃべっている間に、アビさんがTシャツをまくり上げているのに気がつき、「負けず嫌いだから」と、自分の方が先に脱ぐ。続いてアビさんも脱ぎ、今年58歳のふたりで、上半身裸同士でMC。と、途中ではる、ふと我に返り、「野音てさ、服、脱いでもいいの?」。オーディエンス、大笑い。

中盤は、1年前からライブにかけているが、音源化はまだの「アビリフ」で始まり、「初夏レゲ」と「3度目のキネマ」を経て、同じく未音源化の「ドサクサ」と、4曲をプレイ。はる、「ドサクサ」に入るところで、「えーのう、えーのう!」と、現在の気分を言葉にする。

後半は、アビさんがなぜか「♪でーお!」とオーディエンスに呼びかけてコール&レスポンスをはじめ、みんな「♪でーお」と返す。そのさまに、はるが「なんだこの集会は」とあきれてから、アビさんが歌う(ことがすっかり定例化したが、ファーストアルバムでは普通にはるが歌っている)「デブジャージ」へ。

ラストは、「サバーイ」「サイナラ」「生きのばし」「焼めし」「ブラボー」と畳み掛け、ピーズは出番を終える。全部で15曲。対バンなのに。あ、でもピーズ、ワンマンだと平気で30曲以上やるので、まあこれで順当、とも言える。

なお、「ブラボー」では、はる、「サンキューフラカン、サンキューグレート、サンキューピープル、サンキュー野音!」と、何度もシャウトした。

安孫子義一(ピーズ/Gt)

そしてフラカン。一回目のメジャードロップアウト後、最初にリリースしたアルバム『吐きたくなるほど愛されたい』(2002年)の1曲目だった「白眼充血絶叫楽団」を1曲目に持ってきて、ドロップアウト前の売出し中だった時期にリリースした「モンキー」(1998年)を経て、最新アルバムからの「行ってきまーす」につなげる、という始まり方。「白眼〜」でいきなり鈴木圭介、「明日もライブあるのに大丈夫!?」と心配になるほど、絶叫しまくる。

フラワーカンパニーズ

「なんで俺、カーディガン着てきたんだ?」と鈴木圭介が自問自答し、グレートマエカワが「もう1枚脱がなくて大丈夫?」とピーズのふたりに続くことを勧めるMCをはさみ、「とりあえず今の気持ちをひとことで言うと、ピーズと一緒に野音でやれて、うれしくて、うれしくて、うれしくて、たまらないぜー!」という圭介の叫びからの4曲目は、「たまらないZE」。

鈴木圭介(フラワーカンパニーズ/Vo)

ライブで聴けるのはかなりレア。2006年、トラッシュレコードからの最後のアルバム『脳内百景』収録曲である。

リリース以来、ライブの鉄板曲であり続ける「はぐれ者讃歌」から、「気持ちいい顔でお願いします」と「セミ・ロング」と出たばかりのニューシングルの2曲へなだれこむフラカン。

ミスター小西(フラワーカンパニーズ/Ds)
竹安堅一(フラワーカンパニーズ/Gt)

虫の声がすごい、暑い、これはもう残暑じゃない、今日の最高気温は34℃だ、と、圭介と愚痴を言い合ってから、野音は来年改修に入って、再オープンするのは5年後くらいらしい、という話をするベース&リーダー、グレートマエカワ。「俺たちがちょうど40周年、60歳の時に、また新しい野音でできるんじゃないの? もちろんピーズ呼ぶからね!」。

グレートマエカワ(フラワーカンパニーズ/Ba)

そして、「大人の子守唄」を経ての9曲目で、「深夜高速」が投下される。曲終わりで、虫の声をかき消すほどの拍手が、野音を包んだ。

「日比谷の空を見上げてる 野音の空を見上げてる ピーズと一緒にヨサホイ日比谷、これ以上きいたことがないってぐらい、でかいでかい歓声を浴びている」

いつもその場に応じて歌い出しを変える「発熱の男」を、今日はこんなふうに歌った鈴木圭介は、その曲に続いて、「俺たちハタチ族」「右脳と左脳」「NUDE CORE ROCK’N’ ROLL」と、新旧のファスト&ラウドな楽曲を、続けて熱唱。

そして最後は、ピーズの4人が乱入し、全員で「真冬の盆踊り」。高知の「よさこい祭り」に倣って販売された、イベントグッスの鳴子が(開演中も野球場のビールみたいにスタッフが通路を回って売り歩いていた)、客席中で打ち鳴らされる中、10分以上にわたって「ヨサホイ」が続く、幸福な時間と化した。去年まではコロナでできなかったり、25%しか声を出せなかった「ヨサホイ」コールも、全開で響き続けた。

なお、ついさっきまで、客席後方でライブを観ていたYO-KINGも(偶然、私のふたつ隣の席でした)、両手に鳴子を持って、ステージに登場。

しかし、グレートは即座に彼を紹介したものの、鈴木圭介はなかなか気づかず、しばらく経ってからようやく「あっ、もしかして!」。「遅いよ! もうステージに5分ぐらいいるから!」と、抗議されていた。あっはっは。

さっき演奏した、「発熱の男」が出たのが、ちょうど20年前、2003年。2003年は、ピーズの再始動アルバム『Theピーズ』が出た年で(それまで4年半活動休止していた。アビさんはその前に脱退しており、再始動でバンドに戻った)、その頃に俺たちはピーズと知り合いになった。

当時は、自分たちがまさかまた野音の舞台に立てるとは思っていなかったし、ピーズと一緒にやれるとも思っていなかった。それが実現するっていうのは、ほんとに、(バンドをずっと)やってると、いろいろいいことあるな、と思いました。

だから、野音は改修になるけど、もしかしたらまた新しい野音で「ヨサホイ」ができるかもしれないし、もっと言うと、また「ヨサホイ」で全国行けるといいなと思っている──。

本編最後のMCで、グレートマエカワはそんな話をした。

この2バンドでの共演は、今のところ未定だが、「この2バンドも出る」共演なら、既に1本、決まっている。

10月14日(土)大阪城音楽堂、清水音泉プレゼンツの恒例イベント『OYZ NO YAON! Re:6〜朱夏の逆襲〜』。フラカンとピーズ、YO-KINGの真心ブラザーズも出る上に、怒髪天、そしてなんと錦鯉も出演する。
誰にも呼ばれていないし、なんの仕事もないが、行くつもりです、私。

Text:兵庫慎司 Photo:新保勇樹

<公演情報>
『帰ってきたぞぉぉ、っちゅうか死ぬまでヨサホイ〜YOSAHOI IN HIBIYA〜』

2023年9月2日(土) 日比谷野外大音楽堂

セットリスト

■ピーズ
1. プリリヤン
2. ドロ舟
3. さらばボディ
4. 実験4号
5. 体にやさしいパンク
6. アビリフ
7. 初夏レゲ
8. 3度目のキネマ
9. ドサクサ
10. デブ・ジャージ
11. サバーイ
12. サイナラ
13. 生きのばし
14. 焼めし
15. ブラボー

■フラワーカンパニーズ
1. 白眼充血絶叫楽団
2. モンキー
3. 行ってきまーす
4. たまらないZE
5. はぐれ者讃歌
6. 気持ちいい顔でお願いします
7. セミ・ロング
8. 大人の子守唄
9. 深夜高速
10. 発熱の男
11. 俺たちハタチ族
12. 右脳と左脳
13. NUDE CORE ROCK’N’ ROLL
14. 真冬の盆踊り(withピーズ、YO-KING)

※イベント限定グッズ、各バンドの通販サイトにて販売開始!

ピーズ「たまぶくロカビリー倶楽部」
http://thepees.shop-pro.jp/

フラワーカンパニーズ「ニワトリ堂」
https://shop.flowercompanyz.com/

<イベント情報>
『スペシャ寄席 其の四~フラカン 全開の噺 編~』

2023年10月2日(月) 北とぴあつつじホール
OPEN17:30 / START18:30

出演:フラワーカンパニーズ、桂 雀太、笑福亭 笑利
MC:樋口大喜(FM802 DJ)

【チケット料金】
前売指定席:6,000円(税込)
※配信視聴チケット販売あり、詳細は後日発表

★チケット発売中! 詳細はこちら


『「OYZ NO YAON!Re:6 ~朱夏の逆襲~」』

2023年10月14日(土) 大阪城音楽堂
OPEN 14:00 / START 14:30

出演:怒髪天 / 錦鯉 / ピーズ / フラワーカンパニーズ / 真心ブラザーズ

【チケット料金】
一般: 5,800円/U30チケット:3,500円(税込)
※U30チケットは来場日程時点で「15歳 (高校生)以上~30歳以下」対象、要身分証明書。

★チケット発売中! 詳細はこちら

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