つきみ、ちゃくら、トンボコープの3バンドが登場 『FUTURE RESERVE vol.4』ライブレポート
音楽
ニュース
『FUTURE RESERVE vol.4』8月17日(木) 下北沢Shelter
続きを読むフォトギャラリー(16件)
すべて見る2023年8月17日(木)、下北沢Shelterにて『FUTURE RESERVE vol.4』が開催された。VINTAGE ROCKとぴあが共同で主催するこの企画には、現在快進撃を続けている、「今」目撃すべき3バンドが出演した。2020年から活動する「つきみ」、そして2022年から活動する「ちゃくら」と「トンボコープ」だ。10代から20代の若者を中心に、フロアがいっぱいになったライブハウスを見て、彼ら彼女らの支持の厚さを感じ取る。多くの観客がライブを心待ちにしていた。
つきみ
大きな拍手と真っ赤なストロボ照明に包まれて、つきみが登場する。ステージの真ん中、閃光の中に佇み、大きな歓声を浴びるにに(Vo/G)にスター性を感じる。1曲目は『ガールズバンド』。ハスキーで迫力のある声が響き渡った。マイクに声をぶつけるように歌うにには、2曲目の『うそロック』で既にマイクスタンドを斜めにしてしまうほどだった。途中起こってしまったギターのトラブルに目もくれず、真っ直ぐに歌う。ステージから溢れ出す熱量にフロアの歓声もますます大きくなっていった。
ライブは『ミッドナイトセブンス』へと続いていく。ステージ上のメンバーがどんどんと勢いに乗り、高く飛び跳ね、髪を振り乱す。興奮した観客も高く拳を上げた。強いロックを鳴らすつきみだが、『さよなら春』には少しの切なさと寂しさを感じ取る。今日一番のハイトーンを伸ばしきったににに曲中にも関わらず大歓声が上がる。「テンション上げていこうか」と呟くと、そのまま『寝込むくらい』に入る。しゅか(Ds)のバスドラムに合わせて手拍子が鳴り始める。テンションを上げた観客の中には飛び跳ねている人もいた。
MCでは今日がにににとって大事な日付であることを打ち明ける。自分のことを赤裸々に、等身大に話す姿がファンを惹きつけるのだろう。「みんなで歌います」と言って『消えないで天使』が始まった。メンバー全員でシンガロングする姿を見て、見ている方もつい一緒に歌ってしまう。『あいすること』では、ににがステージ前方に出て、笑顔で頷きながら今日彼女たちを見てくれた多くのファンをしっかりと眺めていた。
続くのは『ねー、ダーリン』。勢いの止まらないつきみの曲に最後まで拳が上がり続けた。最後に「かっこいい曲やって帰ります!」と宣言し、『微熱』が始まる。ゆっくりな曲調だからこそパワフルなドラムが目立った。つきみは何にも忖度しないストレートな言葉で歌詞を綴る。ライブではその真っ直ぐさがより強く胸に届くように感じた。
ちゃくら
静まった空間にベースの音が鳴り始める。『nei』というインスト曲だ。ワキタルル(B)が奏でるベースラインに沿って、まお(G)、そしてサクラ(Vo/G)と、2本のギターも続く。拍子の変化に置いていかれ、リバーブが深くかかった歌声に圧倒された。そのまま4カウントで始まるのは『あいつ』。彼女たちの演奏を待ち侘びた観客が大きな手拍子を起こす。「ちゃくらです!よろしくお願いします!」と息切れしつつもハツラツとした声で呼びかける。明るく元気な振る舞いがそのままライブの熱量に直結しているように思える。
続く『よだか』は少し切ない失恋ソング。芯のある歌声とアップテンポで駆け抜ける曲調に、強がりな女の子の姿が投影される。曲が終わり、静かな歌い出しからタイトル未定の新曲が始まった。先ほどとは一変して、フロアは暗い雰囲気で包まれる。寂しそうな怒りを含んだ叫びが入り混じる歌に、さくらの表現力の高さを感じ取る。トレモロピッキングのアツい演奏にも目が離せなかった。
一呼吸おいて、綺麗なアルペジオが流れ出す。各々の演奏が徐々に加わり迫力をあげていく。この『インスト』からそのまま『海月』。始まると同時に起こった大きな手拍子が曲の勢いを加速させていく。ちゃくらを語るには欠かせないこの一曲を演奏するメンバーたちは、曲に感情をのせるように首を振って全身でライブを楽しんでいた。それが伝わったのか、最後には観客から大きな歓声が上がっていた。
ワキタが歓声の止まないフロアに向けて大声で叫ぶと『もういいよ、おやすみ』が始まった。4人での大きな掛け声に合わせ、お互いを見合って、演奏を揃える様子からバンドの団結力も伝わってきた。多くの拳が上がり、ライブハウス全体のテンションが上がっていた。曲が終わると、メンバーと一緒に観客も声を揃え、間髪入れずに「せーの、19才!!!」と叫んだ。多様な音楽に挑戦し、どんどんと表現を広げていることがよくわかる彼女たちのライブだったが、最後はシンプルで一番ロックな、この『19才』という曲でライブを締めた。ちゃくらはステージ上だけでなく、フロアにも大きな一体感を生み出していた。
トンボコープ
一音目からフロアのテンションをぶち上げる。やはり1曲目は『ストーリーモンスター』。キャッチーなメロディーのサビから始まり、スピード感のある曲展開に興奮を掻き立てられる。雪村りん(Vo/G)が「みんな歌える?」と呼びかけ、観客はメンバーと一緒になって歌った。続く『過呼吸愛』、『むかしむかし』も出だしから爆発的に盛り上がる。思わず手拍子を始めてしまったり、笑顔になってしまったりと、トンボコープの曲に自然と体が反応する。疾走感のある3曲で、彼らはしっかりと観客の心を掴んだ。トンボコープのテリトリーに連れ込まれた観客は、ライブへの期待感を上げる。
MCでは、トリとして選んでもらえたことに感謝し、「トリに恥じないライブを」と気合いを入れる。『独裁者』は新曲にも関わらず、多くの人が手をあげて左右に振り、演奏を楽しんだ。リズムが変化し、歩くスピードに合いそうなテンポで『サンポリズム』が始まる。「下北の街を一緒に散歩している気分で楽しんでほしい」と雪村が声をかける。軽快で暖かみのある音楽に合わせたオレンジ色の照明が、夕方の太陽を連想させた。「夏の曲を」と言って続けたのは『信号花火』。淡くて少し苦い恋模様を描いている。最後のギターソロではそらサンダー(G)が表現力豊かな演奏で感情の揺らぎを表した。
次に披露した『Now is best!!!』はトンボコープを代表する一曲。大きな拍手で迎えられ、拳が高く上げられる様子が、この曲が愛されている証拠だ。繰り返される「最高じゃん!」の言葉に釣られて、気分が明るくなっていく。ステージの4人も笑顔いっぱいで演奏している姿を見て、今この瞬間が最高になっていることに気づく。今までアップテンポな曲を披露してきたトンボコープだが、最後の曲はバラード曲の『夢の10年後』を披露した。持ち味である勢いたっぷりの演奏とは一変して、心に沁みる曲調で淡い気持ちをじわじわと伝える。頷きながらライブを聴く観客に、丁寧に届けた。アンコールには再び『Now is best!!!』を演奏し、トンボコープのライブの楽しさを記憶に植え付けていってくれた。
Text:らいれいな
関連リンク
つきみ:
https://lit.link/tukimiinfo
ちゃくら:
https://lit.link/chakura617
トンボコープ:
https://tombocoop.lnk.to/Profile
フォトギャラリー(16件)
すべて見る