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再演版『銀河鉄道の父』開幕 賢治役の福田悠太、的場浩司を「父親のように思っています」

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舞台『銀河鉄道の父』より、左から)賢治役の福田悠太(ふぉ~ゆ~)と父・政次郎役の的場浩司

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舞台『銀河鉄道の父』が、9月9日(土) に東京・自由劇場にて開幕した。これに先立ち、前日に行われたゲネプロと取材会の様子をレポートする。

宮沢賢治を支え続けた父・政次郎と家族の深い愛を描いた門井慶喜の直木賞受賞小説を原作にした本作は、詩森ろばの脚本、青木豪による演出で2020年に初めて舞台化された。5月に封切られた映画版も記憶に新しい中で、再演となる今回も初演に続いて的場浩司が主演を務め、その妻・イチ役として大空ゆうひが続投。賢治役は福田悠太(ふぉ~ゆ~)、妹・トシ役は駒井蓮、弟・清六役は三浦拓真が務めている。

ゲネプロは、岩手県花巻市の名士として人生を終えた政次郎の葬式シーンから始まった。生真面目に家業の質屋を継ぎ、地元の民生委員を務め上げた政次郎は、死後の世界で早くに亡くした我が子・賢治に再会して──。そこから政次郎の人生を回想する形で、物語は進んでいく。家長や地元の名士として威厳を保つ反面、過保護なまでに息子へ愛情を注ぐ子煩悩な一面を持つ政次郎。厳格な父親たろうとするも、つい賢治を甘やかしてしまう“明治の男”らしくないこの二面性を、的場は素朴な岩手弁を駆使しながらコミカルに造形する。一方で、賢治を亡くし「苦労させられても、とろけるようにめごかった(かわいかった)」と悲しみに暮れる様子は観客の涙を大いに誘い、客席からすすり泣く声が漏れ聞こえてきた。

質屋の跡取り息子として大事に育てられるも、家業を拒み農業や人造宝石に夢中になる賢治。適当な理由をつけては実家に金の無心をするようになり、挙げ句の果てに東京へ家出してしまう。後年に法華経信仰と農民生活に根差した創作活動を行い、“清貧”のイメージで知られる賢治だったが、福田は終始飄々としたたたずまいで若き日における彼の葛藤を体現した。特に、死にゆく妹への愛と死別の悲しみを詠んだ「永訣の朝」の一節を用いて嘆き崩れる様子は必見だろう。

舞台『銀河鉄道の父』取材会より、左から)駒井蓮、的場浩司、福田悠太(ふぉ〜ゆ〜)

ゲネプロ前に行われた取材会で、誰よりも早く稽古場へ来て集中しているという目撃情報を寄せられた的場は「人物を自分の体の中に取り込みたい」「セリフを言うのではなく、体の中から自然と出てくるようにしたい」と芝居に向き合う際の信念を口にする。その姿に触れた福田は「この現場では的場さんから“悠太”と呼ばれていて、本当に父親のように思っています」と笑顔を見せる。駒井も「稽古場ではお父さん(的場)とお兄ちゃん(福田)が明るく楽しく盛り上げてくれて、本当の家族みたいでした」と続き、和やかな雰囲気の舞台裏を覗かせた。

上演時間は約120分(休憩なし)。公演は9月16日(日) まで。チケット販売中。

取材・文:岡山朋代

<公演情報>
舞台『銀河鉄道の父』

原作:門井慶喜『銀河鉄道の父』(講談社文庫)
脚本:詩森ろば
演出:青木豪

出演:
的場浩司

福田悠太(ふぉ~ゆ~)
三浦拓真
駒井蓮

田鍋謙一郎
しゅはまはるみ
桑田亜紀

大空ゆうひ

2023年9月9日(土)〜9月16日(土)
会場:東京・自由劇場

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/ginchichi/

公式サイト
https://www.mmj-pro.co.jp/ginchichi/

(C)門井慶喜/講談社 (C)舞台「銀河鉄道の父」製作委員会

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