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ドキュメンタリー映画『アアルト』隈研吾ら9人のコメント&アアルトの肉声を切り取った本編映像公開

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映画『アアルト』 (C)Aalto Family (C)FI 2020 - Euphoria Film

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フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アアルトの人生と作品に迫るドキュメンタリー映画『アアルト』が、10月13日(金) に公開される。このたび、建築家の隈研吾ら総勢9人の著名人のコメントと、本編映像が公開となった。

アアルトが2023年に生誕125年を迎えたことを記念して公開される本作。不朽の名作として名高い「スツール 60」、アイコン的アイテムと言える「アアルトベース」、そして自然との調和が見事な「ルイ・カレ邸」など、優れたデザインと数々の名建築を生み出した彼のデザイナーとしての人生を突き動かしたのは、一人の女性だった――。アルヴァと同じ建築家であった妻のアイノとの濃密な愛の物語であるとともに、アアルト夫妻が世界中を股にかけながら物を創造していく過程とその伝説をどのように作り上げていったかを、まるで観客が映像ツアーに参加しているかのようにみせていく、独創的な作品となっている。

建築家4名からのコメントはいずれもアアルトへの想いあふれるもの。『多摩美術大学図書館』などの代表作を持つ伊東豊雄は「二人の妻との生活を通して浮かび上がってくるアルヴァの人間としての優しさや温かさが、彼の作品を生む源泉であることをこの映画は美しく描いている」、木材をふんだんに使用し、和のイメージが強く打ち出されたデザインが特徴的な隈研吾は「アアルトのその妻アイノに対する尊敬、やさしさを、この映画で思い知った。それが、彼のデザインのやさしさとつながっているのである」とコメント。

また『エストニア国立博物館』『弘前れんが倉庫美術館』などで知られる田根剛は「この映画では、深い森のフィンランドからアメリカで脚光を浴び、好奇心、才能、挑戦、理想、信仰、苦悩までのアアルトの旅路を描き、アアルトとアイノとの深い愛と情と慈しみの言葉は、冬の温かな暖炉のように心の奥に大切な火を灯してくれる」、全体のデザイン監修や複合施設の設計を担った『延岡駅周辺整備プロジェクト』などで知られる乾久美子は「パイミオのサナトリウム、ムーラッツァロの実験住宅など、フィンランドの美しい環境との調和が素晴らしい。有名なタイルを使ったプレキャストコンクリート板の製造シーンなども貴重!」とそれぞれ述べた。

併せて公開された本編映像は、本作のメガホンを取ったヴィルピ・スータリ監督も子ども時代多くの時間を過ごしたというフィンランドのロヴァニエミ図書館や、ドイツのヴォルフスブルグの文化センターなど、アアルトが生前手がけた建築物とともに、生前受けたラジオインタビューでの肉声を切り取ったもの。「今身の回りにあるものの90%は機能主義が生んだ粗悪品だ」「機能は大事だがまずは発想から始める。機能と連携して考えるわけだ」と、未だ現在へも影響を与え続けるアアルトの考える“デザイン”について言及するシーンとなっている。

映画『アアルト』著名人コメント全文

■伊東豊雄(建築家)
私は56年前、初めての海外旅行でアルヴァ・アアルトの建築を見るためにヘルシンキやユヴァスキュラを訪れた。美しい森林の中から出現するアアルトの作品は、雲のように私を柔らかく包み込んでくれた。
二人の妻との生活を通して浮かび上がってくるアルヴァの人間としての優しさや温かさが、彼の作品を生む源泉であることをこの映画は美しく描いている。

■石井佳苗(インテリアスタイリスト)
アアルトデザインのパイミオを初めてみた時の衝撃は忘れない。唯一無二の有機的な曲線、合板で作られ、病を癒す患者の為と知り感動を覚えた記憶がある。この映画は、空撮によるダイナミックな建築の姿、それを取り巻く森も映し出し、建築とは人と自然の間で育まれるものと教えてくれる。家具も同じアプローチだ。妻アイノとの手紙のやり取りは、アルテックのアートディレクターである前に妻という人間味溢れる感情のほとばしりを垣間見ることができる。

■乾久美子(建築家)
なにより最近の建築ドキュメンタリーがいいのは、ドローンをつかった空撮で、思わぬ角度から名作を味わうことができる点だろう。パイミオのサナトリウム、ムーラッツァロの実験住宅など、フィンランドの美しい環境との調和が素晴らしい。有名なタイルを使ったプレキャストコンクリート板の製造シーンなども貴重!

■織田憲嗣(椅子研究家、東海大学名誉教授)
アルヴァ・アアルトの椅子の想い出

私が初めてアアルトの椅子を目の当たりにしたのは18歳の時。高知県の片田舎から都会に出てきて、父親を輸入家具店〈湯川ヨーロッパランド〉に案内した際でした。バーゲンセールをしていたコーナーでアアルトの肘に籐を巻いたアームチェア、そしてジョージ・ナカシマのコノイドチェアが、それぞれ3万円の札が付いていたのです。当時、両親からの毎月の仕送りが7千円か1万円だったことを考えれば、その価格は信じられない高額でした。アアルトやナカシマの名前は全く知らなかったものの、そのプロポーションの美しさに感動したことは昨日の様に鮮明に覚えています。

■隈研吾(建築家)
モダニズム建築の巨匠と呼ばれるコルビュジエ、ミース、ライトと、アアルトの一番の違いは女性に対するスタンスではないかと、僕はうすうすと感じていた。コルビュジエ達は、一言でいえばマッチョであり、女性に対して抑圧的である。それが原因になって様々のトラブルもかかえた。しかしアアルトのその妻アイノに対する尊敬、やさしさを、この映画で思い知った。それが、彼のデザインのやさしさとつながっているのである。

■島塚絵里(テキスタイルデザイナー)
小さな人間という視点から設計し、それが街になり、社会の発展につながるという哲学に触れ、アアルト建築の魅力がすとんと腑に落ちました。また、生涯をかけた仕事は、時を超えて語り継がれる壮大なプロジェクトであり、アイノとエリッサの存在が必要不可欠でした。アアルト建築が今までと少し違って見えるような気がします。

■下田結花(モダンリビング・ブランドディレクター)
朝食にアイノの器を使い、庭の花をアアルトベースに生ける、今の自分の暮らしの中で、デザインから伝わってくるこの「優しさ」はなんだろうといつも思っていた。
映画の中にその答えがあった。アルヴァとアイノとエリッサと。「アアルト」というブランドは、誰が欠けては成り立たなかった。 仕事への愛、家族への愛、相手への愛――これは、3人の3つの愛の物語だ。

■田根剛(建築家)
建築家もひとりの人間であり、ある時代を生き抜いた人間としてのアアルト。この映画では、深い森のフィンランドからアメリカで脚光を浴び、好奇心、才能、挑戦、理想、信仰、苦悩までのアアルトの旅路を描き、アアルトとアイノとの深い愛と情と慈しみの言葉は、冬の温かな暖炉のように心の奥に大切な火を灯してくれる。

■平井千里馬(SCOPE代表)
映画『アアルト』が、頭のなかにあった情報に沢山の背景を加えて物語のようにつなげてくれた。アアルトのいた時代を覗き見しているようで楽しかったし、いくつか謎も解けたし、いくつか僕のなかに残っている言葉がある。でもそれは少しぼんやりしているから、もう一度見直して正しく覚えておきたい。

映画『アアルト』本編映像

<作品情報>
映画『アアルト』

10月13日(金) 公開

公式サイト:
https://aaltofilm.com/

(C)Aalto Family (C)FI 2020 - Euphoria Film