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五十嵐耕平による短編がサンセバスチャン国際映画祭で上映、長編の製作も明かす

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五十嵐耕平

「息を殺して」「泳ぎすぎた夜」で知られる五十嵐耕平の新作「水魚之交」が第71回サンセバスチャン国際映画祭のサバルテギ=タバカレラ部門にてプレミア上映。上映前に舞台挨拶、上映後には観客とのQ&Aが行われた。

本作は、海の見える古い観光ホテルへ旅行に来た幼なじみの佐野と宮田を描く20分の短編作品。陰謀論に傾倒する宮田と、そんな宮田の考えを否定する佐野は口論になるが、そんなとき認知症を患う宮田の父親から電話がかかってくる。佐野弘樹、宮田佳典が出演し、五十嵐と久保寺晃一が脚本を手がけた。「泳ぎすぎた夜」で共同監督を担ったダミアン・マニヴェルが共同プロデューサーに名を連ねる。サンセバスチャン国際映画祭の同部門へは「泳ぎすぎた夜」に続いて2度目の選出となった。

舞台挨拶で五十嵐は「ストーリーを考えていた時期がちょうどコロナ禍にあたり、その頃は、記憶や歴史に関して“私が正しいんだ”と陰謀論めいたことを言う人たちが出てきて混乱していた時期でした。ただ私としては、それよりも個人的な関係をどう築くかが大事だと思っていた。そういう話をやりたいと思ってできたのがこの映画です」と語る。さらに彼は「水魚之交」の設定や世界観を下地にした長編映画を製作中であることを明かした。

Q&Aでは、編集の進め方について質問が。五十嵐は「今回撮影期間が短く限られたショットを撮るスタイルだったため、編集で大きく変えることはしませんでしたが、編集していくうちにだんだんとファンタスティックなものになっていきました。それは編集しながら見つけていったものだと思います」と回答する。また、ショットの中にいない人物の声など、特徴的な音の使い方に関して彼は「僕が興味を持っているのは“映画には記憶がある”ということ。映画というのは、何かが映っていて、何かが記録されている装置だということがまず重要です。その上で、画面に映ってないもの、記録されてないかもしれないようなこと、それは忘れ去られたものかもしれないし、誰も見なかったものかもしれないけれど、その“何か”がいつしか画面の中に入ってくる、そういう映画を撮りたいと思っているからかもしれません」と口にした。

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