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【コラム】ワッツ・オン・ブロードウェイ?~B’wayミュージカル非公式ガイド<2023年秋号>

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当媒体「水先案内人」コーナーでもお馴染みのミュージカル文筆家・町田麻子さんのコラムが今月からスタート。町田さんが現地で観劇した公演のレポートと共に、最新のブロードウェイ情報をお届けします。

ブロードウェイに1週間~10日ほど滞在し、ミュージカルばかりをひたすらマチソワしては日本版を“妄想”する観劇旅行を、子どもの頃からもう30年ほど毎年のように敢行している。「今年も行ってきたよ」という話をすると訊ねてもらいがちな「今、何やってるの?」にお答えする季刊連載を、今号よりぴあ(アプリ&WEB)に場所を移してリニューアルスタート。現在上演されている、または間もなく上演が始まる全ミュージカルを簡単な概要と共にリストアップしつつ、直近で観てきた作品については少し詳しめに紹介していく。

とはいえ今現在の「直近」=今年4月の観劇旅行で観てきた9本のうち、『ダンシン』『バッド・シンデレラ』『ニューヨーク、ニューヨーク』は早くもクローズ済み。また『キンバリー・アキンボ』『パレード』については別媒体での連載最終回にて既に取り上げているため、今号は早速にもイレギュラーながら、今回最大の渡航目的であった『オペラ座の怪人』観納めレポートをお届けしようと思う。本連載はタイトルにもある通り、「非公式」のブロードウェイ・ミュージカル・ガイド。今後もこうしたイレギュラー展開が満載のユルっとしたスタンスでお送りしていくことになると予想されるが、「今これやってるんだー」と、ミュージカルの本場ブロードウェイになんとなく思いを馳せていただければ幸いだ。(記事内の写真は筆者撮影)

『オペラ座の怪人』チャリティ公演レポート

言うまでもないとは思うが念のため、『オペラ座の怪人』は1986年にロンドンで生まれて1988年にブロードウェイでも開幕した、天才作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーの代表作中の代表作である。パリ・オペラ座の地下に潜む天才だが少々幼稚なファントムと、彼が想いを寄せる少々魔性系の歌姫クリスティーヌ、その恋人で誠実だが少々間の抜けたラウル子爵の三角関係を、流麗な音楽とスペクタクルな演出によってロマンチックに描き出す。ブロードウェイ史上最長ロングラン記録を持つ作品で、私が初めてブロードウェイを訪れた時にはもうやっていて、その後いつ行っても同じ劇場でやっていて、数年前からはほかの作品の公演がない木曜の昼にもやっていたため、とにかく何度も何度も何度も観た。

実のところ作品の出来としては、やや“観光地化”されていたブロードウェイ版より、いつ観てもきちんと演劇然としているロンドン版のほうが好きだったりは、する。だが思い入れという点でブロードウェイ版に勝るものはなく、ゆえに35年の歴史についに幕と聞いたらいてもたってもいられず、大千穐楽のチケットこそほぼ関係者限定だったため入手できなかったが、その2日前のチャリティ公演のチケットについ、500ドルの大枚をはたいてしまったのだった。ちなみに1階席は1500ドルだったので、これでも一応ケチったほう。

『オペラ座』と言えばシャンデリア、シャンデリアと言えば『オペラ座』。1500ドル払って観納めに来たオタクがメインの客席はジンジンに熱く、開演前からほぼ全員が感慨深げに、まだ姿の見えないシャンデリアと記念撮影をしていた。幕が開き、シャンデリアが姿を現すともう拍手、吊り上がって定位置につけばさらなる大拍手。一幕終わりにファントムの落としたシャンデリアが休憩時間に再び上がっていくと、そのほぼ最後の“雄姿”を、これまたほぼ全員が感慨深げに動画に収めていた。もちろんシャンデリア以外のスター、つまりいつ聴いても極上すぎる楽曲とキャスト陣の入魂のパフォーマンスにも山場ごとに惜しみない拍手喝采が送られており、演者と観客の特別なエネルギーが交錯する空間に身を浸すという舞台オタク冥利に尽きる喜びに、500ドルはむしろ安すぎだなと思い続けた2時間強。

同じ客席から観劇した数々の思い出が蘇ったこともあり、重めの涙をたびたび流した果てにほとんど嗚咽しながら最後の場面を迎えた時、胸に込み上げてきたのは自分でも驚くほどピュアな「ありがとう」だった。敬愛する安室奈美恵の引退公演でも感じたことだが、人は自分の人生を彩るどころか、人格を形成するほど大きな影響を与えてくれたものとお別れする時には、寂しさ以上に感謝の念を抱くものなのだ――そんな尊い真実に改めて気付かせてもらえた上に、カーテンコールではオリジナルキャストのサラ・ブライトマンら歴代の名クリスティーヌ4人の揃い踏みまで拝むことができ、まさにプライスレスな夜だった。

2023-24シーズンの新作からロングラン作品までブロードウェイ公演情報をチェック!

【2023-24シーズンの新作】

※情報は2023年9月30日時点のもの

■既に始まっている作品

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

言わずと知れた大ヒット映画の舞台化。ロンドンでオリヴィエ賞を受賞してのBW入り。
https://www.backtothefuturemusical.com/new-york/

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』プレビュー中/10月12日開幕予定

日本でも上演歴のあるオフのコメディが『モルモン』の初代主演コンビを得てオン進出。
https://gutenbergbway.com/

『Here Lies Love』

『ムーラン・ルージュ!』の演出家による超参加型ミュージカル。劇場を改造して上演中。
https://herelieslovebroadway.com/

『メリリー・ウィー・ロール・アロング』プレビュー中/10月10日開幕予定

オフでチケットがプラチナ化した豪華キャスト版がオンへ。M・フリードマン演出。
https://merrilyonbroadway.com/

■これから始まる作品

『Harmony』10月18日プレビュー開始予定

ドイツの6人組エンターティナーの実話をB・マニロウの音楽で綴る。S・ボーゲスも出演。
https://harmonyanewmusical.com/

『スパマロット』10月31日プレビュー開始予定

福田雄一による日本版もお馴染み、2005年トニー賞受賞作が超豪華キャストでリバイバル。
http://spamalotthemusical.com/

『How to Dance in Ohio』11月15日プレビュー開始予定

自閉症の若者たちを追ったドキュメンタリーに着想を得た新作。自閉症俳優たちが出演。
https://howtodanceinohiomusical.com/

『きみに読む物語』2024年2月10日プレビュー開始予定

映画版も大ヒットしたベストセラー小説を『RENT』のM・グライフ演出でミュージカル化。
https://notebookmusical.com/

『Water For Elephants』2024年2月24日プレビュー開始予定

同名ベストセラー小説をスペクタクルにミュージカル化。『アキンボ』のJ・ストーン演出。
https://www.waterforelephantsthemusical.com/

『アウトサイダー』2024年3月16日プレビュー開始予定

原作は同名小説および巨匠コッポラ監督による映画版。「持つ者と持たざる者」の物語。
https://outsidersmusical.com/

『ウィズ』2024年3月29日プレビュー開始予定

1975年トニー賞受賞作のリバイバル。ブラックミュージックが炸裂する「オズの魔法使い」。
https://wizmusical.com/

【2022-23シーズンの準新作】

『&ジュリエット』

M・マーティンのヒット曲で綴るロミジュリの後日譚。トニー賞無冠なんて信じられない。
https://andjulietbroadway.com/

『ビューティフル・ノイズ』

N・ダイアモンドの伝記系ジュークボックス。主演のW・スウェンソンは10月29日で降板。
https://abeautifulnoisethemusical.com/

『キンバリー・アキンボ』

早老症の女子高生の物語をJ・テソーリの音楽で。トニー賞で作品賞含む5冠を達成。
https://kimberlyakimbothemusical.com/

『シャックト』

とうもろこしが題材の抱腹絶倒コメディ。ノンバイナリー俳優がトニー賞助演男優賞。
https://shuckedmusical.com/

『お熱いのがお好き』

名作映画を舞台化し、トニー賞振付賞など4冠に輝くも、12月30日でのクローズが決定。
https://somelikeithotmusical.com/

『スウィーニー・トッド』

ソンドハイムの傑作を『ハミルトン』の演出家がリバイバル。トニー賞照明&音響賞。
https://sweeneytoddbroadway.com/

【ロングラン作品】

■日本で既に上演された/されている作品

『アラジン』

ディズニーアニメが舞台ならではの手法で表現された秀作。魔法の絨毯は本当に魔法。
https://www.aladdinthemusical.com/

『シカゴ』

『オペラ座の怪人』の閉幕を受け、上演中の作品としては最長ロングランとなった名物作。
https://chicagothemusical.com/

『ライオンキング』

『シカゴ』に次ぐ2位を安定飛行中の大名作。ン十年ぶりに観たが相変わらず満席だった。
https://www.lionking.com/

『ムーラン・ルージュ!』

2021年のトニー賞受賞作。原作はB・ラーマン監督の映画。さあ日本版と観比べよう。
https://moulinrougemusical.com/

『ウィキッド』

定期的に観たい傑作。10月30日で祝!開幕20周年。久々の東京公演も間もなく開幕。
https://wickedthemusical.com/

■日本未上演の作品

『ブック・オブ・モルモン』

2011年のトニー賞を制した、もはや古典の領域の傑作。1周回って日本語版を妄想中。
https://bookofmormonbroadway.com/

『ヘイディズタウン』

『グレコメ』の演出家が現代的に描くギリシャ神話。2019年のトニー賞で8冠を達成。
https://www.hadestown.com/

『ハミルトン』

近年最大のモンスター級ヒット作。ディズニープラスで配信中(日本語字幕付き)。
https://hamiltonmusical.com/

『MJ The Musical』

M・ジャクソンの伝記系ジュークボックス。トニー賞受賞の主演俳優は降板しロンドンへ。
https://mjthemusical.com/

『SIX: The Musical』

ヘンリー8世の6人の妻がガールズパワーを炸裂させる痛快作!バンドまで全員女性。
https://sixonbroadway.com/

プロフィール

町田麻子(まちだ・あさこ)

1980年ロンドン生まれ、横浜育ちのミュージカル文筆家。2002年早大一文演劇専修、2022年東京藝大楽理科卒。公演パンフレット、演劇誌、WEB等で主にミュージカルの解説文、インタビューやレポート記事を執筆。10代からブロードウェイ観劇旅行を毎年続けるミュージカルおたく。趣味は翻訳版の妄想キャスティング。

町田麻子ウェブサイト:
https://www.rodsputs.com/