「白鍵と黒鍵の間に」池松壮亮が冨永昌敬に感謝、植物好きの森田剛は水あげてニヤける
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「白鍵と黒鍵の間に」初日舞台挨拶の様子。左から冨永昌敬、森田剛、池松壮亮、仲里依紗、松丸契。
映画「白鍵と黒鍵の間に」の初日舞台挨拶が本日10月6日に東京・TOHOシネマズ 日本橋で行われ、キャストの池松壮亮、仲里依紗、森田剛、松丸契、監督の冨永昌敬が登壇した。
南博の回想録をもとにした本作では、彼をモデルにした主人公を「南」と「博」という2人の人物に分け、昭和63年の東京・銀座のキャバレーを舞台に、2人のピアニストの運命が交錯する一晩を描く。才能にあふれているが夜の世界のしがらみにとらわれて夢を見失っている南と、ジャズマンになる夢に向かって邁進する若きロマンチスト・博を池松が1人2役で演じ、ピアニストの千香子役で仲、南と博を翻弄する刑務所上がりの謎の男“あいつ”役で森田、博と互いの才能を認め合うK助役でサックス奏者の松丸が出演した。
冨永は「1988年の銀座という設定ではありますが、人物が持っている気持ちは、今に通じる生々しさがあると思っています」とコメント。池松は初日を迎えたことに触れ「胸いっぱいです。改めて、長い時間をかけて作品を世に送り出してくれた冨永さんに感謝しています」と真摯に話し、「ゴッドファーザー 愛のテーマ」を劇中で演奏していることに話題が及ぶと「指から血が出るぐらい練習しました……嘘です」と言ったそばから訂正し、会場を笑わせる。
印象に残っているシーンを問われた森田は「“あいつ”がすれ違うときに、その相手から見られていないという演出があって、印象に残っています。無視されるという悲しさを味わいました」と回想。池松が森田との共演を振り返り「(森田が)目にお花をつけているシーンは面白かったですね」と言うと、森田は「台本を読んで、どうやるのかな?って楽しみにしてたんです。お花の裏にセロハンテープが貼ってあって、ギューって押されるっていう(笑)」と続いた。
華やかな衣装を身にまとい登場した仲は「ピアニスト役ということで、シンプルな衣装で登場しました。いかがですか?」と問いかけて会場を温め、「にぎやかな役が多いので、こういうムーディな感じの作品に出演できてうれしかったです」と喜ぶ。池松は「(仲は)多面的な方で、役の解釈というかセンスが素晴らしい。最後にギロをシャカシャカやっているシーンが好きです」とたたえた。
イベント中には、作中に登場する「俺はいったい何をやっているんだ?」というセリフにちなみ、登壇者が「自分は何をやっているんだ」と思ったエピソードを語る場面も。池松は「この作品のためにピアノの練習を半年ぐらいやっていたんですが、ほかのものも準備することになって。なぜかフィギュアスケートとボクシング、3つ同時に習ってました。俺は何をやってんだって思いましたね」と思い返す。森田は「植物が好きで、お水をあげているときが好きなんです。水をあげていると、ニヤけてしまって、気持ちわりいな俺って。何をやってるんだっていう気持ちと、楽しいな、これはこれでという気持ちがあります(笑)」とはにかみ、「あんまり話すと大丈夫か?って思われちゃうんですけど(笑)。毎日見ていると喜んでいるのがわかるんですよね」と笑みをこぼした。
続く松丸は「ヨーロッパツアーのあと北海道で演奏して、2日間映画の撮影だったんです。ツアー中にもセリフをたたき込んでいたんですけど、撮影が始まる5分ぐらい前に監督が『台本ちょっと貸して』って赤い線を引き始めて、気付いたら完全に違う言葉が書かれていて。それを5分後にやらなきゃいけなくて、プレッシャーがすごかったんです。そのときに何やっているんだろう?と思いました(笑)」と打ち明け、横に並ぶキャストを笑わせた。
最後に池松は「主人公はままならない人生を送りながら、いったい何をやっているんだという連続の中、その隙間を音楽で埋めていました。そんなふうに、皆さんの心の隙間をこの映画が埋められたらと思っています」と願いを込め、冨永は「もう1回観てもらうと、違ったものが観えてくるかもしれません」と語りかけた。
「白鍵と黒鍵の間に」は全国で公開中。
(c)2023 南博/小学館/「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会