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ミュージカルだからこそ伝わる、 のだめと千秋先輩の恋と音楽の真髄

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ミュージカル『のだめカンタービレ』より

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大人気のコミックを原作としたドラマ・アニメ・映画も大ヒット。クラシック音楽の世界を描いて話題沸騰となったあの『のだめカンタービレ』がミュージカルとなって帰ってきた。落ちこぼれながら天才的なピアノの才能を持つ音大生・“のだめ”こと野田恵を演じるのは、ドラマ・劇場版でも大好評を博した上野樹里。のだめが思いを寄せるエリート音大生で指揮者を目指している“千秋先輩”こと千秋真一に扮するのは、舞台『キングダム』で帝劇初主演を果たして注目を集める三浦宏規。このふたりを中心に、ドラマが全11話で描いた物語がギュッと凝縮して綴られる。それを可能したのはミュージカルの力だと言っていいだろう。それぞれの楽曲が人物を紹介し、気持ちを表現し、場面を転換していく。また、劇中で演奏されるクラシック音楽に今作の楽曲が溶け込んでいく場面もあり、音楽を学んでいる登場人物たちの思いに自然に寄り添っていけるのである。音楽を手掛けたのは、TRICERATOPSでボーカル・ギターを担当し、ソロ活動も始めている和田唱。ミュージカルへの楽曲提供は今回が初めてだが、登場人物の個性も表現したバラエティに富んだ曲を用意して楽しませた。

なかでも、「ぎゃぼーっ」と奇声を発したりするのだめのユニークさは、ミュージカルでも変わらず。初舞台にもかかわらず気負うことなくそこに立っている上野樹里を観れば、「あののだめが目の前にいる!」と多くが感動を覚えるはずだ。上野は取材で、「のだめが本当にカンタービレするとどんなふうに歌うんだろうと、それがちょっと面白そうだなと思って、挑戦してみたいと思ったんです」と語っていたが、セリフを語るように歌い、千秋を思う曲では本当に涙でぐしゃぐしゃになる。その歌にも心が動かされるだろう。

一方、三浦宏規は、エリートの自信と、それとは裏腹な繊細さを存分に感じさせるチャーミングな千秋先輩を作り上げている。“俺様”な不遜な態度の向こうに音楽への真摯さが見え、徐々にのだめがなくてはならない存在になっていくことも伝わる。取材で三浦は、「本物の“のだめ”とお芝居させていただくなんてものすごく緊張します」と語っていたが、堂々と上野の相手役を務めた。ちなみに、ピアノ演奏の場面には、阪田知樹、亀井聖矢、ぶどうといった名だたるアーティストが演奏した音源が使われていて、上野と三浦の指使いがそれにしっかり合っていることも追記しておきたい。

そして、忘れてはならないのが、世界的なドイツ人指揮者・フランツ・フォン・シュトレーゼマンを演じた竹中直人。ドラマと劇場版でもこの外国人役を演じて驚かせたが、舞台ではさらにパワーアップ。面白さも厳しさも自在に見せた。また、ヴァイオリンの峰龍太郎(有澤樟太郎)、三木清良(仙名彩世)、ティンパニーの奥山真澄(内藤大希)、オーボエの黒木泰則(竹内將人)ら、千秋が指揮を振るアマチュアオーケストラの個性的な面々がコミカルな中に努力する姿を見せて、クラシック音楽の道の困難さを届けてくれる。のだめと千秋先輩の結びつきに心が震えるのも、高いところを目指そうと互いを引き上げているふたりだからこそ。ミュージカルとなって凝縮された舞台には、『のだめカンタービレ』の真髄が抽出されていた。

取材・文:大内弓子

★上野樹里さん&三浦宏規さんの制作発表時のインタビューはコチラ

★10月29日(日)13:00東京千穐楽公演の配信が決定! 詳細はコチラ

<公演情報>
ミュージカル『のだめカンタービレ』

原作:二ノ宮知子『のだめカンタービレ』(講談社「Kiss」所蔵)
作詞・演出:上田一豪
脚本:上田一豪 笠浦静花
音楽:和田唱(TRICERATOPS)
クラシック音楽監修:茂木大輔

出演:
野田恵:上野樹里
千秋真一:三浦宏規
峰龍太郎:有澤樟太郎
三木清良:仙名彩世
奥山真澄:内藤大希
黒木泰則:竹内將人
江藤耕造:なだぎ武
フランツ・フォン・シュトレーゼマン:竹中直人

【東京公演】
2023年10月3日(火)~10月29日(日)
会場:シアタークリエ

【長野公演】
2023年11月3日(金・祝)・4日(土)
会場:サントミューゼ

公式サイト:
https://www.tohostage.com/nodame/

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