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中島健人が語る自身の変化「華やかさを求められてきたけれど、徐々に人間らしく骨太になっていっています」

映画

インタビュー

ぴあ

(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会

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本当の敵は、誘拐犯か、この国か。
政治家一族を襲った孫娘誘拐事件を描く、真保裕一の同名小説を水田伸生が実写化した映画『おまえの罪を自白しろ』が、2023年10月20日(金) より全国公開される。

主人公は、中島健人演じる政治家一族の宇田家の次男・宇田晄司。
晄司が秘書を務める国会議員の父・清治郎役を堤真一、宇田家の長女・麻由美役を池田エライザ、埼玉県警の刑事・平尾宣樹役を山崎育三郎が演じている。

麻由美の幼い娘が誘拐され、「明日午後5時までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ」という清治郎への脅迫から始まるストーリーは、息をのむ展開の連続で実にスリリング。
家族の命を救うため奮闘する晄司、そして罪を自白せざるを得ない清治郎。

中島健人と堤真一による初タッグとなったタイムリミットサスペンスである本作に、どのように挑んだのか? 主演の中島健人に、話を聞いた。

国会議事堂に行って秘書の役作りをした

(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会

――宇田晄司役を演じるにあたって、役へのアプローチはどのように形作っていかれましたか。

まず、国会議事堂に行きましたね。衆議院予算委員会を傍聴させていただいて、実際の空気を肌で感じてきました。議員の方はみなさん、疲れている様子も見えて、一般の会社で働く人たちと変わらず、やっぱり同じ人間なんだなと。ただ、国の責任を負っているわけですから、そのプレッシャーと日々戦い続けてくれているということも感じました。今回、僕は秘書としての役作りをしないといけないので、議員の方に対して、ポジティブな見方で見ていましたね。あとは、議員会館の食堂で食べたカレーが、おいしかったです(笑)。

――いいですね。そもそも政治にご興味はあったのですか。そして中島さんがアイドルとして多くの人を幸せにしている感覚と、政治家がみんなを守る感覚というのは、意外と近しいところもあるのでしょうか。

一時期、アメリカの大統領についてすごく勉強していた時期があるんですよね。そのときにロナルド・ウィルソン・レーガンを好きになりました。アイドルはもちろん政治家ではないですが、マニフェストを掲げているという点は同じ。一番政治の勉強をしていた頃に、「Luv Manifesto(ラブマニフェスト)」という曲も作っています。そして同年代の議員の友達もいるので、今回、彼の話を聞きました。「これから日本を微力ながら、でも微力を大きな力にすべく頑張っていきたいんです」というような話をしていて、頑張ってほしいなと。ちなみに、「映画『おまえの罪を自白しろ』が10月20日に公開されるから観てね!」と、ちゃんと告知もしておきました(笑)。

堤真一とは一緒に仕事ができると思っていなかった

(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会

――スリリングな展開ですが、晄司役を演じていて、やりきれたと爽快さを感じたような点や、逆に難しかった点はありましたか?

国交省のある人物に突っ込んでいくシーンでは、とても楽しかったです。このシーンでは、自分の感情をこの映画の中で一番自由に使えたんですよね。まるで相手を言葉で殴るようなイメージで、それぐらい晄司は危機感があった、今ここで自分がなんとかしなければいけないと。窮地に立たされた人間の行動力、迅速なアクションの取り方というものが、晄司を演じながらも、すごく刺激になりました。

そのシーンの地続きで、幹事長の木美塚壮助役をされた角野卓造さんとのシーンも楽しかったです。普段は、駅弁の話しかしないおじさんなんですけど(笑)、いざ芝居となるとものすごく怖いんですよ。怖すぎて、実は1、2回NGを出したんですが、「すみません!」と角野さんを見ると、とても優しい顔をしていて……。

――そういったなかで、一番印象的だったセリフはありますか?

その角野さんとのシーンで、「黙っていれば、いずれ黒も白になります」というセリフがあるんですが、すごい言葉ですよね。いろいろなことを背景に、今回、強烈に響いたセリフでした。

(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会

――堤真一さんとは初共演となりますが、初めてお会いした際はどう感じられましたか?

本読みの段階で初めてお会いしたのですが、やっぱり緊張しましたね。まさか一緒にお仕事ができると思っていなかったんです。なぜかというと、堤さんはドラマ『GOOD LUCK!!』では木村拓哉さんのバディでしたし、『SP 警視庁警備部警護課第四係』では岡田准一くんのバディでもありましたし、その次が僕かと思うとすごく緊張して。でも、お話してみたら、本当に普通のおじさんで話しやすかったです(笑)。堤さんは映画スターだから、一緒に写真を撮りたいなと、「写真撮りましょうよ!」と言うと「全然いいよ」と。自撮りで5枚ぐらい撮ったんですが、写真を見てみたら全部、変顔だったんですよ。もうちょっとかっこいい写真が撮りたかったのに、本当にふざけている方です(笑)。

――意外にもお茶目な面が……(笑)。

お茶目ですね! だけど、芝居になるとても怖いので、僕もそういう役者さんになりたいなと思いました。

――堤さんは父親役でもありましたが、親子関係を演じるにあたって、中島さんのお父様のことを思い出すようなこともありましたか?

清治郎は堅物ですが、うちの父はどちらかといえば、フランクに接してくれるタイプですね。とはいえ、本当に怒らせたら一番怖いのは父ですが、普段は友達のような存在でもあります。それこそ僕が学生時代に受験するときも、ずっと車で送り迎えしてくれて、受験が終わってから一緒に焼肉を食べに行った思い出もあって。何校か受けて落ちている高校もあったんですが、その合否を見たあとに、父は「落ちたけど焼肉行くか?」とか、「受かったから焼肉行くか?」とか。合格でも不合格でも、寛容に受け入れてくれる人です。父は頭が良くて数学ができるので、よく父に勉強を教えてもらっていました。

チャンスをいただけたことが本当に光栄

(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会

――ちなみに、今回、中島健人の新境地というのがひとつのキャッチとなっていますが、ご自身ではどのように解釈されていますか。

映画を観てみて、気づいたら、そうだなという感覚でした。映画『ラーゲリより愛を込めて』のときからそうなんですが、今回も撮影当時は、自分の新しい境地に取り組むというよりも役の幅が広がって、今まで華やかな世界に特化した自分が徐々に華やかさを薄めて人間らしく、骨太になっていったような感じです。普段の生活から地続きの作品に出演させていただけるようになったんだな、という感覚だったんですよ。

――状況がそういう流れになっているという受け止め方ですか。

年齢的にもそうなのだろうと。とはいえ、華やかな世界観の映画やドラマも楽しいので、今後もやらせていただきたいですね。そういった華やかな作品が脳に刺激を与えるとするなら、生活と地続きの映画やドラマは脳と連動するようにも感じていて、今回そんな作品に参加させていただけることに感謝しています。今の日本映画は、配信会社にしても、海外に飛び出すには日本ではアニメ作品が最有力ということから、実写の本数を減らしているという話もあって。そんななかで数少ない日本映画で中島健人にチャンスをいただけたことが本当に僕は光栄ですし、独自の道を突き進みながら、こういう万人性がある日本映画に飛び込ませていただけたことは、誇りです。

――地に足がついた役がまわってきたということにもなりますか。

そんな気がします。理想か現実かといえば、どちらかというと理想族といいますか。世間の見られ方としても理想の人間として見られることが多いようなのですが、それはアーティストとして、表現者として音楽を作るうえではいいと思うんです。でも映画に関しては、理想も現実も見せられるように、やっぱり両方できないといけない。そろそろ「お待たせしました、現実の中島健人です」というところを見せていいんじゃないかなと、年齢のフェーズとして、思っています。

映画俳優として通らないといけない作品は通れつつある

(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会

――俳優の中島健人からすると、満たされているとするなら、少し足りていなかったと感じていたものがあったのでしょうか。

今も満たされてはいないですが、Netflix映画『桜のような僕の恋人』に主演させていただいて、これがエピソード0だとすれば、今作はエピソード1なのかなと。そして0.5が『ラーゲリ」です。ただ、『ラーゲリ」は中心にいる立ち位置ではなかったので、貴重な経験をさせていただきました。こうして映画俳優として行きたい道に行くには、通らないといけない作品は通れつつあるなと思っています。

『桜のような」をやっているときは本当に楽しくて、人間の解放のような表現ができたあの作品から『ラーゲリ」ときて、昨年、外国でHuluオリジナルの海外ドラマ「Concordia(コンコルディア)」(2024年世界同時放送・配信)の撮影をしたんですよ。そして今回、『“おま罪”(おまえの罪を自白しろの略称)」の公開を控えて、とてもいい自分のフィルモグラフィーを作れているなと。ただ、自分だけが気持ちよくなってもしょうがないので、観ている方々にちゃんと成長を感じていただけるような作品になってくれたらと今回の作品に対しても思っています。

――今回、座長ということで引っ張っていく立場だと思いますが、年上の方がいる中で座長だという意識を持って臨まれたのでしょうか。

これまでたくさんの年上の方と共演する映画に出演したことがなかったんです。今作はレジェンド・キャリア・アクターズとでもいうような方々が集まっているので、もう座長だからどうということはなかったですね。今までの現場は「よっしゃ、行こう!」というような感じで同世代が多かったんですが、今回は僕から「これやりましょう」という感じではなかったです。それぞれ独立している方々がいるなかで、僕は主演としてしっかりそこに立っていれば、もう成り立つ映画だろうという感覚でした。

――ではスタッフの方への気配りというものはありましたか。

それはありましたね。話しいて楽しいメンバーが集まっていたんです。ただ、差し入れが出せなかったんですよ。いつもは現場にオムライスの差し入れを出すんですが、今回は撮影が夏場だったので控えて、差し入れできなかったのが心残りでした。でも、カフェカーが来て、ラテが出たんですよね。あれは堤さんからの差し入れで、先を越されましたね(笑)。

取材・文:かわむら あみり

<作品情報>
『おまえの罪を自白しろ』

10月20日(金) 全国公開

(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会

出演:中島健人 堤真一
池田エライザ 山崎育三郎 中島歩 美波
浅利陽介 三浦誠己 矢柴俊博 柏原収史 中村歌昇 佐藤恋和 アキラ100% 山崎一
尾美としのり 池田成志 橋本じゅん 春海四方 小林勝也 菅原大吉 升毅 平泉成
尾野真千子 金田明夫 角野卓造

監督:水田伸生
脚本:久松真一
原作:真保裕一『おまえの罪を自白しろ』(文春文庫刊)
主題歌:B’z「Dark Rainbow」(VERMILLION RECORDS)
配給:松竹

『おまえの罪を自白しろ』本予告

公式サイト:
https://movies.shochiku.co.jp/omaenotsumi/