生田絵梨花が自作のオリジナル曲を3曲披露 ユーミン、椎名林檎、IVE、ミセスらの名曲もカバー
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生田絵梨花が10月5日に東京・東京国際フォーラム ホールA でライブツアー「Erika Ikuta Autumn Live Tour 2023」ファイナル公演を開催した。
戻ってきた東京国際フォーラムのステージ
9月10日からZepp Haneda(TOKYO)を皮切りに、Zepp Fukuoka、Zepp Osaka Bayside、Zepp Nagoyaとライブハウスを回ってきた生田。ファイナルではカバー曲と自身で作詞作曲を手がけたオリジナル曲の計17曲を披露した。
開演時間になると香取真人(G)、一本茂樹(B)、田中陽(Dr)、伊賀拓郎(Key)、今野均(Violin)がステージに登場。バンドメンバーがそれぞれの位置につくと、ピンクと黒のドレスを身にまとった生田が大きく手を振って舞台に姿を現し、ステージ中央に置かれたピアノの前に座った。生田が軽やかに鍵盤を奏で、歌い始めたのは濱家隆一(かまいたち)とのユニット・ハマいくのデビュー曲「ビートDEトーヒ」。間奏ではバンドメンバーを1人ずつ紹介したあと、バイオリンを受け取って楽しげに音色を紡いだ。
「私が作った曲です!」と生田は声を弾ませ、「I’m gonna beat you!!」を生き生きと演奏。そしてイスから立ち上がると笑顔で手を叩き、ハンドマイクで松任谷由実の「ルージュの伝言」を天真爛漫に歌い上げた。生田は国際フォーラムについて「とても思い入れがある場所でして。乃木坂46として、紅白でのラストステージがここだったんですよ。このホールでやらせていただいて。そのときもこうして真ん中に大きいピアノがあって、私はメンバーに囲まれながら弾き語りをさせてもらいました」と感慨深げに話す。生田が卒業した2021年のNHK紅白歌合戦は無観客での開催であったため、彼女は「皆さんテレビの前で観てくださってたのかなと思うんですが、ファンの皆さんの前でラストステージができなかったのはちょっと心残りがあって。今日この場所にこういう形でカムバックできたことを、とてもうれしく思っています」と喜びを語った。
その後も生田はさまざまな楽曲のカバーを披露。バラードコーナーと銘打って斉藤和義「歌うたいのバラッド」を届け、スピッツ「楓」では渡邉栞(Violin)、堀内優里(Viola)、稲本有彩(Cello)を交えたアンサンブルに乗せて、切なくも優しい歌声を響かせる。生田は「私は決めていることがあって。どれだけ物理的な距離が離れていても、たくさん人がいたとしても、1人ひとりに向けて、1対1で向き合っているように、心の距離を近く感じて歌いたいなと思っています」と話し、「今歌いながら、私だけじゃなくて皆さんも近い思いで見つめてくれてるんじゃないかなというのがすごく伝わってきて。そんな皆さんの前だからこそ、私はこうやって楽しく、自由に心のままに歌えているのかなって思います」と顔をほころばせた。
ここから生田はカバー曲を通して、さらに多彩な表情を見せていく。このツアーで生田は開催地に合わせた“ご当地ソング”をセットリストに入れてきたが、ファイナルの東京では椎名林檎の「丸の内サディスティック」をセレクト。ジャジーなバンドアンサンブルに乗せて、巻き舌を交えながら豪快に楽曲を歌い上げた。生田がカメラに艶やかな眼差しを向け、歌い始めたのはちゃんみなの「ハレンチ」。妖艶に体を揺らしながらクールな表情を見せたあと、生田は疾走感のあるバンドサウンドをバックにVaundyの「裸の勇者」をスタンドマイクで熱唱した。
挑戦的な3曲をカバーしたあと、生田は再びピアノの前に座り、これまで「FNS歌謡祭」でコラボしてきた思い入れのある楽曲を弾き語りで披露した。まずは森山直太朗の「愛し君へ」を自身のピアノと歌のみで優しく紡いだあと、アコースティックギターのたおやかな音色に乗せて山崎まさよしの「One more time, One more chance」を歌唱する。松田聖子の「SWEET MEMORIES」ではバイオリンとともに甘く切ない物語をゆったりと描き出した。
ライブも終盤を迎えると、生田はハンドクラップを浴びながら藤井風の「何なんw」を軽快に奏でる。IVEの「ELEVEN」では、大胆なピアノアレンジによってバンドメンバーとともに華やかなアンサンブルを届けた。ライブも残り1曲となり、生田はファンとの時間を名残り惜しみながらも「最後はそんな寂しい気持ちも吹っ飛ばすぐらい楽しく盛り上げていきたいと思うんですけど、皆さん準備はできてますか?」と元気いっぱいに呼びかけ、「そんなもんじゃないだろー!」「もっと聞かせて!」と何度も煽る。ラストナンバーは映画「ONE PIECE FILM RED」の劇中歌「私は最強」。生田がありったけのエネルギーを注ぐように生命力あふれる歌声を場内いっぱいに響かせると、最後にカラフルなテープが会場を鮮やかに舞った。
サプライズゲストの登場
アンコールを求める大きな拍手を受けて、会場に流れたのはライブのオープニングを飾った「ビートDEトーヒ」のイントロ。ステージを覆う紗幕に“2人”の影が浮かび上がると、会場は歓声に包まれた。紗幕が上がり、ステージに姿を現したのは生田と濱家のユニット・ハマいく。2人はキャッチーな振付とともに息ぴったりにデュエットを繰り広げ、間奏ではピアノで一緒に音を奏でる場面もあった。この日のライブを観ていたという濱家は「すごいね、いくちゃん。歌がうまいし、歌によっても感じが違って、いろんな表情を見せてくれる」と感想を述べ、「もちろんファンの皆さんのほうがいくちゃんを好きになって長いのはわかってます。だからあんまり“偉そうなことを言うなよ”的な目線では見ないでほしいんですけど、やっぱりモノが違いますね」と絶賛。そんな濱家の言葉に照れつつ、生田は「『ビートDEトーヒ』史上、一番盛り上がりましたね!」と声を弾ませた。
客席からは「もう1回!」とデュエットのアンコールを求める声が沸き起こる。濱家が「俺知らんのやけど、こういうのでもう1回同じ曲やることあるの?」と生田に尋ねると、生田は「ないですね。やるとしたらパターンを変えるとか。私が1人で歌うバージョンはオープニングでもう終わったから、濱家さんが1人で歌います!」と無茶振り。「意味わからんこと言うてる!」と慌てふためく濱家をよそに、生田は「私、ジャズ風に最初のゆっくりのところだけ弾きますね。すぐ終わりますから。一瞬です」とピアノの前に座った。「ちょっと待って! 今俺は何をする感じになってるの?」と状況を飲み込めない濱家に、生田は「ちょっとジャズシンガーみたいに歌っていただければ」と説明。腹をくくった濱家は、生田が紡ぐピアノの音色に乗せてゆったりと歌い、最後には心地のいいロングトーンを響かせた。見事に歌い終えた濱家は「めっちゃ気持ちよかった」と満足げの様子。生田は「素晴らしかった! 今度はボサノババージョンとかやりたいですね」と目を輝かせ、舞台を去る濱家を見送った。
オリジナル曲の披露
ここで生田は今回のツアーでもまだ披露していない自作の新曲「Laundry」を演奏した。この曲は生田が自宅で洗濯機を回しているときに生まれた鼻歌が元になっているという。生田はグルーヴィに鍵盤を鳴らしながら、ハミングするようにこの曲を歌い上げ、「洗濯機の前で鼻歌を歌ってたんですけど、素敵なバンドメンバーの皆さんに演奏してもらえて、こんな国際フォーラムのような会場でたくさんの皆さんに聴いてもらえることになるとはそのときは思ってなかったのですごくうれしいです! 皆さん聴いていただきありがとうございました!」と充実した表情で語った。ラストナンバーは生田が自身で初めて作り上げた楽曲「No one compares」。この曲はコロナ禍でエンタテインメントの活動ができなくなってしまったときに制作された楽曲で、「No one compares to you」というサビのフレーズには「誰もあなたと比べられるものはない。それぐらいあなたは特別な存在」という生田の思いが込められている。生田は「本当に皆さんが私にとっての“No one compares to you”なので、その気持ちを込めて最後に歌いたいと思います」と述べ、ピアノのみの弾き語りでこの曲を歌唱。飾り気のないまっすぐな言葉を美しい音色に乗せてオーディエンスに届けた。
最後に生田は「やっぱりこうしてみんなと同じ空気を吸って、同じ空間を共有できる場をこれからもずっと大切に続けていきたいなと改めて思いました。自分で作った曲も今日は3曲披露させてもらいましたけど、いずれ形にして皆さんに聴いてもらえるようなものになるといいなと思います」と会場を見渡す。そして「このライブ会場を去ったら、直接はなかなかみんなの姿を見ることはできなくて、画面越しになってしまったりもするけれど、でも私は何をしてるときだって皆さんと顔を合わせたこととか、この心の距離感をずっとずっと忘れないでいたいなと思っています。皆さんもそんなふうに今日のことを思い出して、近い存在に思ってくれていたらうれしいです」と真摯に思いを伝え、晴れやかな笑顔でツアーを締めくくった。
セットリスト
生田絵梨花「Erika Ikuta Autumn Live Tour 2023」2023年10月5日 東京国際フォーラム ホールA
01. ビートDEトーヒ
02. I’m gonna beat you!!(オリジナル楽曲)
03. ルージュの伝言(松任谷由実)
04. 歌うたいのバラッド(斉藤和義)
05. 楓(スピッツ)
06. 丸の内サディスティック(椎名林檎)
07. ハレンチ(ちゃんみな)
08. 裸の勇者(Vaundy)
09. 愛し君へ(森山直太朗)
10. One more time, One more chance(山崎まさよし)
11. SWEET MEMORIES(松田聖子)
12. 何なんw(藤井風)
13. ELEVEN(IVE)
14. 私は最強(Mrs. GREEN APPLE)
<アンコール>
15. ビートDEトーヒ
16. Laundry(オリジナル楽曲)
17. No one compares(オリジナル楽曲)