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『死霊館のシスター』製作者ジェームズ・ワンがホラー映画を成功させる“秘訣”を語る

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『死霊館のシスター 呪いの秘密』

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アメリカで3週連続チャート首位を獲得した『死霊館のシスター 呪いの秘密』がついに本日から日本での公開をスタートさせた。製作を務めたのは、本シリーズの生みの親でもある才人ジェームズ・ワン。これまでの数々のヒット作を生み出してきた彼はこう語る。「ホラー映画で重要なのは……」

マレーシアで生まれたジェームズ・ワンは、幼少期にオーストラリアに移住し、大学時代に知り合ったリー・ワネルとコンビを組んで、長編映画『ソウ』を企画し、実現させる。少ない予算を逆手にとり、限定された空間で観客を“ジグソウの計画”に巻き込むストーリーがウケて映画は大ヒット。一躍、注目を集めた彼は次作で「より古典的な物語をつくりたいと思った」と振り返る。

「古典的なお化け屋敷の話が大好きなので『インシディアス』をつくったんだ。その後も1960年代や70年代に僕らが観ていた“古典的なお化け屋敷の幽霊の物語”というスタイルを継続したいと考えた。それから、次の映画では実話をベースにしたものにすべきだと感じたんだ」

そこでワンは、悪霊退治業界を営むウォーレン夫妻の物語を思い出す。霊能力者のロレインと、その夫で悪魔研究家のエドのウォーレン夫妻が、怪現象に立ち向かうホラー作品『死霊館』の誕生だ。本作は全世界で3億ドルを超える興行収入を記録し、ここから続編と、『アナベル』『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』『死霊館のシスター』などのシリーズ作が生まれた。

本シリーズでは、単に恐怖をエスカレートさせるのではなく、ワンが得意とするストーリーテリングの工夫(彼は物語に緩急をつけることに長けている)、新鮮さを感じさせる舞台設定、そしてキャラクターの魅力に磨きをかけてきた。

「ホラー映画で重要なのは、観る人が気にかける登場人物だ。人々が気にかける登場人物は、あらゆるタイプの恐ろしい状況に起用可能だ。誰しもお気に入りの登場人物に危害が及んで欲しいとは思わないから、そのホラーな状況が反響を呼ぶ。

みんな怖いもの見たさで『死霊館』を観に行くけれど、リピーターになるのは(ウォーレン夫妻を演じた)パトリック・ウィルソンとベラ・ファーミガを観たいからだ、と常々言っている。みんなあのふたりを観たくて、続編を観に戻って来るんだよ。第1作でリリ・テイラーやロン・リビングストンなどが演じ、その後登場していない脇役たちでさえも、人々に愛されている。登場人物や家族の関係性に何か惹きつけられるものがあるということが、この映画がこれほどの反響を呼んだ理由だと思う」

“死霊館”シリーズの登場人物はみなシリアスなだけでなく、どこか面白みがあったり、愛らしさがあったり、不思議な個性を発揮している。さらにワンがすべてを監督するのではなく、若い才能を呼び込むことで、少しずつ“新たな要素”を加えていることも、シリーズが長続きしている秘訣だろう。

「すべてを僕が監督することは不可能だということは分かっていた。だから“死霊館”の世界を理解してくれる映画制作者が必要になったんだ。僕と一緒に作品に携わったことがあり、僕がつくり上げた世界観を心から理解して敬意をもっている映画制作者を引き込むことで、彼らがこの物語を伝えていけるようにしていったんだ」

最新作『死霊館のシスター 呪いの秘密』を手がけたマイケル・チャベス監督もそのひとりだ。

「マイケルはとても才能があり、この種の映画をつくるために必要なことを理解していると思う。なにより、私たちがつくり上げたこの世界をとても尊重してくれている。彼はこの世界の大ファンだから、作風を壊したりしない。

制作に参加し、自分の痕跡を残しながらも、作品に対しての愛と情熱をもって、この映画のレベルを高めたいと思っているんだ。私は彼の初監督作品から一緒に仕事をしてきた。彼は映画を撮るたびに成長している。僕は、こういう若い監督たちを誇らしく思う父親のような気分なんだ(笑)」

劇場での映画体験は、ほかの場所では再現できない

本作の舞台は、フランスの寄宿学校。特殊な能力を持つ主人公のシスター、アイリーンは、教会の要請を受けて、ある事件の調査に乗り出す。2018年公開の『死霊館のシスター』の続編で、アイリーンはまたもや悪の元凶シスター ヴァラクと向き合うことになるようだ。

「カトリック学校を経験した人なら誰でも、シスターは恐ろしい、もしくは恐ろしそうだと言うと思う。前作で彼らは悪魔を追い払った。そして、悪魔のシスター ヴァラクを倒したと思い込んでしまう。しかし、この悪魔がフレンチに取り憑いているかもしれないことが示唆される。だから本作の冒頭でフレンチがメインに出てくるとき、倒したと思っていた悪魔は彼のなかにゆっくりと浸透している。そして彼は自分がこの悪魔に取り憑かれていることに気づく。

だからアイリーンは、無意識かもしれないけど、友人のために戻ってくる。そこが僕の大好きなところだ。ふたりのキャラクターは本当に仲が良く、強い友情で結ばれているところが好きなんだ。それはプラトニックな友情で、彼女は彼のことをとても大切に思っていて、全力を尽くしてこの悪魔と再び戦う。そして彼女は、彼女の信仰への挑戦というこれまでの人生で最も困難なことに挑まなければならないんだ」

本作もワンの言う“観る人が気にかける主人公”アイリーンの物語だ。そして、彼女が本作で対峙するヴァラクは、ホラー映画史上最強にして最凶のキャラクターだ。観客は映画館で思わず悲鳴をあげることになるかもしれないが、ワンはそれこそが「ホラーが映画館で上映される理由」だと語る。

「劇場で体験を分かち合えるからこそ、僕は大スクリーンで上映されるホラー映画の大ファンなんだ。いつもファンにはこういう映画を暗い劇場の大きなスクリーンで、大勢とともに観ることを勧めている。大勢で観ると、楽しい体験ができて、それが人々に広がりやすいんだ。誰かひとりが叫ぶと、全員が叫ぶ。そして自分たちが叫んでしまったことが面白くて、全員が笑い出す。

ホラー映画が劇場で上映される理由はここにあると思っている。劇場での映画体験は、ほかの場所では再現できない。家で作品を観て、物語を追うことはできるけど、まったく異なる体験になってしまうよ」

『死霊館のシスター 呪いの秘密』
公開中

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