ももクロ「QUEEN OF STAGE」ツアー完遂、笑顔と歌声に15年間の感謝を込めて
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ももいろクローバーZ
ももいろクローバーZの結成15周年を記念したライブツアー「MOMOIRO CLOVER Z 15th Anniversary Tour『QUEEN OF STAGE』」が本日10月15日に東京・武蔵野の森総合スポーツプラザでファイナルを迎えた。
ライブの幕開けを飾った曲は
今年5月17日に結成15周年を迎え、アニバーサリーイヤーの真っ只中で精力的な活動を展開しているももクロは、7月から約3カ月間、計12公演のツアーを開催。その締めくくりとなる本日の武蔵野の森総合スポーツプラザ公演には大勢のモノノフ(ももクロファンの呼称)が詰めかけた。開演前にはBGMとして流れる壮大な映画音楽がライブへの期待感を盛り立て、開演時刻が近付くにつれてその音量が次第に大きくなる。いよいよライブの開始時刻を迎えると、ステージ上にスモークが漂い始め、ももクロの過去の写真をネガフィルムのようにつなぎ合わせた映像や4人の懐かしのアーティスト写真が上映されたのち、縦長の巨大なスクリーンが左右に開いてメンバーが姿を現した。
15年というももクロの歴史の重みを感じさせるオープニングに観客が圧倒される中、いつもはセットリストの終盤に組まれることが多い「走れ! -ZZ ver.-」でライブは幕開け。「走れ!」は初期から数えきれないほど披露されてきたライブの定番曲だが、冒頭ではまったく別の曲に感じられるほどのアレンジが加えられ、4人の歌い出しに観客は一気に引き込まれた。そして通常の曲調に戻ると同時に4人が乗るステージセットが前方へとせり出すと、会場全体のテンションが沸騰するように上昇。客席からは力強いコールが響きわたり、最後のサビでは照明が暗転して場内がペンライトの光だけで染まるおなじみの演出が展開された。続いてももクロはダンサーたちを従えて「DNA狂詩曲」などをパフォーマンス。黒のドレスに身を包んだメンバー、全身白の衣装のダンサーがシックなコントラストを生み出す。ライブで披露されることが珍しい2012年発表の「PUSH」もセットリストに組み込まれ、4人は客席を煽りながらハイテンションに歌とダンスを届けた。
観客を飽きさせない演出の数々
ここでももクロはBGMに乗せてモノノフへ挨拶。リーダー百田夏菜子の「15年間のたくさんの感謝を今日も最後まで皆さんにお届けしたいと思いますので、思いっきり楽しんでいってください。それでは『QUEEN OF STAGE』スタート!」という言葉で改めてライブの開幕が告げられた。ステージには玉井詩織が1人で登場し、12カ月連続でソロ曲を配信リリースするプロジェクト「SHIORI TAMAI 12 Colors」の第2弾楽曲として今年2月に配信リリースした「Another World」を歌唱。この曲はデートに向かう女性のスイートかつビターな心情を描いたポップチューンで、続いて披露された高城れにのソロ曲は「じゃないほう」はオフの姿である“もう1人の私”がテーマになっている。玉井がダンサーを率いて自身も踊りながら歌ったのに対し、高城は1人のダンサーがコンテンポラリーダンスを踊る横で階段に座ってしっとり歌うという、それぞれ別の表現方法でパフォーマンスが繰り広げられたが、2人とも大人びた歌声と表情でモノノフを魅了した。
その後は、これまたレアな選曲の「バイバイでさようなら」で4人そろってのライブが再開される。メンバーは箱型のセットの中で歌ったり、手に持ったハンカチを優美に左右へ振ったりと、趣向を凝らした演出で観る者の視線を釘付けに。さらに「Guns N' Diamond」ではマイクスタンド、「PLAY!」ではカラフルなパラソルをパフォーマンスに取り入れ、曲の世界観に合わせたステージングで一瞬たりともモノノフを飽きさせない。4人はゴンドラに乗り込むと、アリーナ内を巡りながら「ゴリラパンチ」を歌い、スタンド席の後方まで手を振って隅々に笑顔を振りまく。スタジアムロックナンバー「Nightmare Before Catharsis」の曲中には、テニスのラケットを使ってサインボールを客席に飛ばしてモノノフを喜ばせた。
アカペラによる鮮やかなハーモニー
次のブロックもこのツアーならではの特別な演出が満載。「HAND」ではスポットライトに照らされた4人の影がステージセットに浮かび上がり、「リバイバル」の冒頭ではアカペラによる鮮やかなハーモニーが場内に響きわたる。活動初期には歌唱面の苦手意識を口にすることが多かったメンバーだが、活動と年齡を重ねる中で大きな成長を遂げてきたことを堂々と証明した。玉井と高城に続いて、ライブ中盤には百田と佐々木彩夏もソロコーナーを展開。佐々木は「だってあーりんなんだもーん☆」「あーりんは反抗期!」「あーりんはあーりん♡」といった鉄板のソロ曲を贅沢に詰め込んだ「A-rin QOS REMIX MEDLEY」で会場をにぎやかに盛り上げる。百田は純白の神秘的な衣装を身にまとい、自身がヒロインを演じた映画「すくってごらん」の主題歌「赤い幻夜」をしっとりと歌い上げた。そしてこの曲が終わると、ほかのメンバーも百田と同じ白の衣装で登場。スモークに包まれながら「天国のでたらめ」を歌う4人の儚い表情に、観客はじっと見入っていた。
続く「GOUNN」が始まると、ももクロは白の衣装を脱いでメンバーカラーのカラフルなコスチュームに早着替えし、扇子を手にパフォーマンス。和傘を持って踊るダンサーとともに場内の空気を一瞬にして華やかに染め上げた。前山田健一(ヒャダイン)が作詞作曲し、布袋寅泰がギターで参加した「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」はツアーの初日公演で初披露された新曲で、観客のコールを誘う構成や思わず真似したくなるキャッチーな振りが人気を呼び、この3カ月を通してももクロの新たなキラーチューンへと成長。ファイナルでもモノノフの「うりゃおい」や「NIPPON! PO PON!」という声が盛大にこだました。
ももクロの歴史を振り返る感動のメドレー
百田が「皆さんに15年間の感謝の思いを伝えたいというテーマで今回のステージを作ってきました。今までの私たち、そして新しい私たちを見てほしいなって。皆さんとはそれぞれ出会った場所や時間が違うと思うんですけど、次の曲ではそのタイミングを思い出していただけたらうれしいです」と語ったのをきっかけに、ライブは「QUEEN HISTORY MEDLEY」と題したメドレーへ突入。このメドレーは今年4月にリリースされた結成15周年記念ソング「いちごいちえ」で始まったあと、ミュージックビデオや当時のライブ映像をバックに、2009年リリースのインディーズデビュー曲「ももいろパンチ」を筆頭にももクロの代表曲を振り返っていくというエモーショナルな構成。結成10周年のタイミングで発表された「クローバーとダイヤモンド」の間奏では、モノノフが「ありがとう」という言葉でももクロのアニバーサリーを祝福する。そしてメドレーは再び「いちごいちへ」へ。4人が人生におけるかけがえのない出会いや、応援してくれる人への感謝の思いを歌っている間、スクリーンにはももクロの結成日を表す「20080517」という数字が「20230517」へと近付いていく映像が映し出された。その数字は現在の日付も超え、ももクロの未来がこの先も広がっていることを指し示す。さらに過去のライブでのMCの音声が流れるなど、感動的な演出でメドレーは締めくくられた。
百田の「最初にこの曲をいただいたときはわけがわからなくて(笑)」「でも、たくさんの方に知っていただけるきっかけになった曲じゃないかな」という言葉を経て、ライブ本編の最後に披露されたのは、誰もが認めるももクロの代表曲「行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-」。歌い踊る4人のバックに映し出される過去のライブ映像が、ももクロの歩んできた道のりの大きさを感じさせた。
ゆず北川悠仁が提供した新曲
アンコールではおなじみのSE「overture ~ももいろクローバーZ参上!!~」が鳴り響く。このツアーでは「overture」が流れている間のみ動画の撮影が可能で、観客はツアー参戦の記念として場内の光景をスマートフォンに収めた。自身のバルーン人形を腕に付けて再登場したももクロは再びゴンドラに乗り、「DECORATION」を歌唱。さらに、北川悠仁(ゆず)が提供した未来への決意を描いた王道ポップソング「誓い未来」で温かい歌声を届けた。この曲は昨日10月14日の公演で初披露された新曲で、10月27日に配信リリースされる。
その後、4人は「続いてが最後の曲となります」「えー!」という観客との定番のやり取りをメンバーが順番にやる「続いてが最後の曲となります選手権」を突如開催。その緩い空気を引きずった百田がラストナンバー「吼えろ」の歌い出しを思わず失敗すると、場内は温かい笑いと平和な空気感で満ちる。「QUEEN OF STAGE」というタイトルに恥じない貫禄あふれるパフォーマンスが見どころとなった今回のツアーだが、初期から変わることのない、ももクロらしい天真爛漫な一面も随所に見られた。一度曲を中断して笑い合ったメンバーは、気を取り直して「吼えろ」を披露。ツアー完走を祝福するように金色のテープが盛大に放たれる中、ももクロは互いに視線を合わせ、その顔に充実感をにじませていた。
なお終演後には、ももクロの7thアルバムが2024年に制作されることを告げる特報映像が上映され、期待感に満ちた拍手が場内に充満した。
セットリスト
ももいろクローバーZ「MOMOIRO CLOVER Z 15th Anniversary Tour『QUEEN OF STAGE』」2023年10月15日 武蔵野の森総合スポーツプラザ
01. 走れ! -ZZ ver.-
02. DNA狂詩曲
03. PUSH
04. 笑ー笑 ~シャオイーシャオ!~
05. Another World / 玉井詩織
06. じゃないほう / 高城れに
07. バイバイでさようなら
08. Guns N' Diamond
09. PLAY!
10. ゴリラパンチ
11. Nightmare Before Catharsis
12. Re:volution
13. HAND
14. リバイバル
15. A-rin QOS REMIX MEDLEY(だってあーりんなんだもーん☆ / あーりんは反抗期! / あーりんはあーりん♡) / 佐々木彩夏
16. 赤い幻夜 / 百田夏菜子
17. 天国のでたらめ
18. GOUNN
19. MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰
20. QUEEN HISTORY MEDLEY(いちごいちえ / ももいろパンチ / ピンキージョーンズ / Z伝説 ~終わりなき革命~ / サラバ、愛しき悲しみたちよ / 灰とダイヤモンド / MOON PRIDE / 夢の浮世に咲いてみな / ザ・ゴールデン・ヒストリー / BLAST! / クローバーとダイヤモンド / The Diamond Four / 月色Chainon / 一味同心 / いちごいちえ)
21. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
<アンコール>
SE. overture ~ももいろクローバーZ参上!!~
22. DECORATION
23. 誓い未来
24. 吼えろ
撮影:上飯坂一、増田慶