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杉咲花に主人公を託した理由とは、「市子」監督・戸田彬弘が制作経緯を語る

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第36回東京国際映画祭にて、「市子」ジャパンプレミアのQ&Aに登壇した戸田彬弘。

杉咲花の主演映画「市子」のジャパンプレミア上映が、第36回東京国際映画祭で10月26日に開催され、東京・角川シネマ有楽町で行われたQ&Aに監督の戸田彬弘が登壇した。

恋人からのプロポーズ翌日に忽然と姿を消した女性・川辺市子に杉咲が扮した本作。抗えない境遇に翻弄された彼女の壮絶な過去と真実がつづられる。

原作は、戸田が主宰を務める劇団・チーズtheaterの旗揚げ公演「川辺市子のために」。サンモールスタジオ選定賞2015で最優秀脚本賞を受賞し、二度にわたって再演された舞台だ。戸田はオリジナル作品を手がけた経緯について、近しい人たちの死を振り返りながら「SNS上では誕生日の通知が届いて、そのページに行くと『誕生日おめでとう』という言葉が並んでいるんです。もういないのに、知らない方からすると生きている。そこから『存在しているのに存在しない』ものとして、市子の境遇のような人たちがいることを知り、この話を書こうと思いました」と明かす。

市子のキャラクターについても質問が。戸田は作品にリアリティを持たせるためのアイデアとして、「(主人公の設定である)1987年東大阪生まれの子供はバブル崩壊、地下鉄サリン事件、阪神淡路大震災、3.11や9.11も経験した世代。まず年表を作り、その中に市子の年表も作って、彼女の人生に現実味を与えていきました」と説明。そして「市子は多面的な視点で描かれていくキャラクターなので、幅のあるお芝居ができる人に託したいと思っていたところ、杉咲さんの過去作の演技を見て、市子を演じていただく可能性をとても感じました」とキャスティング理由に触れる。

さらに本作に込めた願いを聞かれると、「世の中にある正しさやモラルというものは簡単には処理できない。本作をご覧になった皆さんが市子という女性をどう捉えるのか。自分の人生をフィードバックするきっかけになればと思い作りました」と語った。

「市子」は12月8日より東京・テアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国でロードショー。

(c)2023 映画「市子」製作委員会