Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > 山下智久の原動力「応援してくれているファンの皆様と夢を見続けていきたい」

山下智久の原動力「応援してくれているファンの皆様と夢を見続けていきたい」

映画

インタビュー

ぴあ

山下智久 (撮影:奥田耕平)

続きを読む

フォトギャラリー(7件)

すべて見る

歳月を経て熟成されていくワインのように、人も年齢を重ねるごとに深みを帯びていく。山下智久もまたあらゆるボーダーを打ち破り、常に自己ベストを更新し続ける存在のひとりだ。

そんな挑戦者・山下智久のキャリアにおいて大きなマイルストーンとなったのが、自身初の海外主演ドラマHuluオリジナル『神の雫/Drops of God』。総額160億円にも及ぶ遺産をめぐり、熾烈なワインテスト対決に挑むワイン評論家・遠峰一青を演じている。

日仏米共同製作というグローバルな環境に身を置き、常に新たな可能性を切り開き続ける山下にとって、遠峰一青として生きた日々はどんな時間となったのだろうか。

一青は普通の人間。だから、やりすぎてしまうんです

世界的ワインの権威アレクサンドル・レジェが遺した至高のワイン。その相続権を懸けて火花を散らすのが、彼の実娘カミーユと弟子の一青だ。長く絶縁状態にあった父に複雑な感情を抱き、喜怒哀楽をはっきりと見せるカミーユに対し、一青は寡黙で胸の内が読みきれない。その対照的なキャラクターが、ドラマに奥行きをもたらしている。

2人の主人公の対照性を山下はどのように捉えて演じていたのだろうか。

「一青のライバルでもあるカミーユは味覚、嗅覚、センスが常人離れしています。そんなカミーユと比べると、一青は普通の人間。僕は彼のことを“ワインのことしか考えられず、やりすぎてしまう人間”と考えていました。カミーユのような特殊な能力を持っていない代わりに、一青は味覚や嗅覚を最大限に研ぎ澄ます必要性があるという話になりました」

天才ではなく、凡人。大企業の御曹司という誰もが羨む出自にある一青を、恵まれたエリートではなく、努力の人とした。『神の雫/Drops of God』は、カミーユが父との因縁を乗り越える物語であると同時に、一青が定められたレールから脱し、自らの生き方を掴む物語でもあった。

「そのため、監督と話し合って、役づくりのために身体をかなり絞りました。普段の食事はほぼ同じ食材で自炊して、カロリー制限をする生活を送ったことで6〜7キロ痩せました。痩せると飢餓状態になり、味や香りにとても敏感になり、一青の状態を擬似体験できました。勉強のために週に1度はフランスの本場のワインを飲みにレストランに行っていたのですが、そのときの食事は驚くほどの美味しさでした」

みんなで“遠峰一青”像をつくっていきました

着々と国際派の道を歩む山下にとって、初の海外ドラマ出演となったのがHuluオリジナル『THE HEAD』。山下は一青の内面を表現するため、様々なパターンを演じてみて、時にはアメリカ人のアクティングコーチの意見も参考にしながら演技を作り上げていった。

「アクティングコーチとのシーンの解析においては、まず『いまどういう環境にあるか』『一青の頭の中に何があるのか』を紐解いていき、それを幅を持たせて表現に落とし込んでいきます。たとえば『愛してる』というセリフがあったとして、心からそう思っているパターンと、本当は『殺したい』と思いながら言ってみるパターンといったように、いろいろとトライしながら調整していきました」

日本でもアクティングコーチの存在はあるが、あまりスポットを当てられることはない。だが、素晴らしいアスリートの陰に必ず素晴らしいコーチの存在があるように、優れた演技の下支えに指導者がいるのもまた必然のこと。

芝居は決してひとりでつくり上げるものではない。共同作業によってキャラクターに広がりが増すことを山下も実感している。

「他にも、一青のキャラクターづくりには一緒に取り組みましたよ。一青は見る人によって、アングルによって見え方がいろいろと変わってくる、複雑な人間だと考えていて。僕自身も演じながら、ワインのような彼の複雑さを表現していきました。アクティングコーチだけではなく、監督や脚本家とも話し合いながら、みんなで“遠峰一青”像をつくっていきました。撮影中にもセリフがよく変わっていったので、一青は生きていたなぁと思います」

本作への出演がきっかけで、すっかりワインにハマったという山下。果てのない俳優業と同様、どうやらワインの道もまた相当な“沼”のようだ。

「有難いことに友人にワイン好きがいたので、ワイン仲間を紹介してもらったり、いいワインを一緒に飲ませてもらったりと、本当にこの作品を通して得るものが大きかったです。勉強のために、フランスはもちろん、カリフォルニアのワイナリーのものも飲みました。僕はあまり物欲がなくて、お金を使うところがないので、この機会に『これは自分への投資だから』と思い切りました。一体いくら使ったのかは自分でもわかりません(笑)」

独立したことで、人と人との繋がりの大事さを感じられた

祖父や母親の敷くレールに反発するように自分の道を探る一青。安全な道が用意されているのに、あえて孤高の道を行くその生き方に山下はどのような想いを抱いたのだろうか。

「どちらかというと僕も、一青のように社交的なタイプではないところは似ている気がしました。今回のドラマには、“いい湿度と環境で保存することでワインの味が変わるように、人も変われる”というメッセージも実は込められています。一青の生き方を通じて、自分の心と外の世界を隔てているものを削ぎ落としていく作業の大切さというのも感じてもらえたら嬉しいです」

山下もまた長いキャリアの中で、いくつもの人生の決断を下してきた。

「大きな決断をしたことで言うと、まずは大学受験を決めたとき。このまま仕事がいつまでできるかわからない将来の不安もありましたし、挑戦せずにやらないで後悔することが一番怖かったんです。後で後悔しないためにも、進学しようと決めて受験しました。そのおかげで、芸能界以外の友人たちとも出会えたのもよかったです」

もうひとつの決断は、2020年。独立を果たし、未知なるフィールドへ飛び出した。

「独立して初めてわかる大変なことの方が多かった気もしますが、それでも手探りながらもスタッフや応援してくれている方々のおかげで進めています。改めて、人と人との繋がりの大事さを感じることができました」

挑戦は、リスクを伴う。だが、一歩踏み出したからこそ得るものもあれば、見えるものも変わる。“人も変われる”が『神の雫/Drops of God』のメッセージであるならば、それを最も体現しているのが山下智久の生き方なのかもしれない。

一方、変わり続ける山下智久の中で、どんなに時間が流れても、どんなに環境が変わっても、ずっと変わらない想いがある。

「僕がいつも思っていることは、新しい景色が見たいということ。応援してくれているファンの皆様と夢を見続けていきたいということだけなんです。そのために、無限の可能性を求めています」

山下智久を挑戦へと駆り立てるのは、彼を信じ、ずっと支え続けるファンの存在。これまで一緒に見てきたいくつもの夢が、自分の心と外の世界を隔てているものを削ぎ落とし、新たな道へ突き進む原動力となってきた。

だから、山下智久はこれからも止まらない。熱い声援を背中で感じながら、次なるチャプターへと突き進んでいく。

取材・文:横川良明 撮影:奥田耕平
ヘアメイク:竹山直実 スタイリング:櫻井賢之[casico]

オールインワン¥59,400、 ニット¥53,900/ギャルリー・ヴィー(ギャルリー・ヴィー 丸の内店☎03-5224-8677) ネックレス¥83,600/ノブイケグチ(ノブイケグチ☎03-6438-9036)、その他スタイリスト私物

<作品情報>
Huluオリジナル 「神の雫/Drops of God」

Huluで全8話独占配信中

原作:亜樹直 オキモト・シュウ「神の雫」(モーニングKC/講談社)
製作総指揮:クラウス・ジマーマン
監督:オデット・ラスキン
脚本:コック・ダン・トラン
出演:山下智久、フルール・ジェフリエ 他
制作:ダイナミック・テレビジョン
制作協力:アドライン・エンターテイメント

(C)Hulu Japan

フォトギャラリー(7件)

すべて見る