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ぴあ 総合TOP > “複雑なものを複雑なまま”描く、成河・渡辺大知・門脇麦らの「ねじまき鳥クロニクル」開幕

“複雑なものを複雑なまま”描く、成河・渡辺大知・門脇麦らの「ねじまき鳥クロニクル」開幕

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左から門脇麦、成河、渡辺大知。

「ねじまき鳥クロニクル」が明日11月7日に東京・東京芸術劇場 プレイハウスで開幕。これに先駆け本日6日、同劇場で取材会が行われた。

本公演は、村上春樹の長編小説「ねじまき鳥クロニクル」を原作とした舞台作品。同作は2020年に初演されたが、新型コロナウイルスの影響を受けて一部公演中止となった。再演となる今回は、初演から引き続きイスラエルのインバル・ピントが演出・振付・美術、イスラエルを拠点に活動するアミール・クリガーと、マームとジプシーの藤田貴大が脚本・作詞を担当。また大友良英が音楽を手がける。

取材会には成河、渡辺大知、門脇麦が出席。成河は初演を「大変でした。生みの苦しみとはまさにあのこと」と振り返り、ピント、クリガーといったアーティストたちによる創作の過程を「良い意味でぶつかり合いがあり、誰一人妥協しなかった。その1つひとつが実って今に至っている」と感慨深げに語る。また成河は「世界や人間はとても複雑。単純化するのも大切だけど、この舞台は演出や美術を通じて、複雑なものを複雑なまま見せていると思うし、皆さんはその複雑性を体験することができる。『何かメッセージを受け取らなきゃ』と身構えてほしくはありません。僕らはただただ複雑なものをやっているので、楽しんでもらえたら」と話した。

渡辺は原作小説を読んだ感想を「魔法のように想像力をかき立てられた。脳みその知らない部分を旅するような気持ちだった」と述べ、「舞台も原作同様に、果てしない冒険が観られる作品になっています」と続ける。さらに渡辺は「この作品は『舞台とはこういうものだ』という固定概念を壊し、“安心安全”なところから離れるワクワク感を与えてくれます。日々刺激を求めている人はぜひ観てほしい」とコメント。

「自分が出ていないシーンを観られないのが残念なくらい、とても美しい舞台」と言うのは門脇。門脇は「村上春樹さんは長い長い文章を、その向こうの“何か”を描くためにつづっている気がします。この舞台はそういう村上さんのイズムと重なるのでは」と語り、「ビックリするほど素敵なシーンがあるので、ストーリーがわからなくても考え込まずに楽しんでもらえたら」と観客に呼びかけた。

取材会では、劇中で“ねじまき鳥”が世界の歪みを正そうとすることにちなみ、司会者から「正したいことはあるか?」という質問が飛ぶ。成河は「演劇の入場料金です。高すぎるので、安くしていきたい」「今回はU-25チケットが6500円。今若者が演劇を観なくなっていると思う。だから僕も含め大人がそそのかすことで(笑)、ぜひ劇場に若者を誘ってほしい」と言葉に力を込める。

渡辺は「骨盤の歪みを正す、ではないですけど(笑)。この舞台をやっていると、自分の身体をもっと思うように動かせたらなあ、と感じます。公演が終わったあとも、身体を面白がりたい」と話す。続く門脇は「睡眠時間です。最近、無限に眠れるので……今日も12時間くらい寝たので腰が痛い。睡眠時間6時間、とか決めたほうが健康に良いのかも」と言い、会見場を笑いで包んだ。

取材会のあとには、成河が舞台から記者に「皆さん、もちろんゲネプロを観ますよね」と呼びかけるひと幕も。渡辺が「これで観ないってことはないですよね!」と続くと、すでに舞台袖に向かって歩き始めていた門脇が「ほら、行くよー!」と2人に退場を促し、記者たちを和ませていた。

東京公演は明日11月7日から26日まで行われ、その後、12月1日から3日まで大阪の梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、16・17日に愛知・刈谷市総合文化センター アイリス 大ホールでも上演される。

「ねじまき鳥クロニクル」

2023年11月7日(火)~26日(日)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス

2023年12月1日(金)~3日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

2023年12月16日(土)・17日(日)
愛知県 刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール

原作:村上春樹
演出・振付・美術:インバル・ピント
脚本・演出:アミール・クリガー
脚本・作詞:藤田貴大
音楽:大友良英

出演

演じる・歌う・踊る:成河、渡辺大知 / 門脇麦 / 大貫勇輔、首藤康之 / 音くり寿、松岡広大、成田亜佑美、さとうこうじ / 吹越満、銀粉蝶
特に踊る(五十音順):加賀谷一肇、川合ロン、東海林靖志、鈴木美奈子、藤村港平、皆川まゆむ、陸、渡辺はるか
演奏:大友良英、イトケン、江川良子

※一部Wキャスト。