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『Grasshopper』初の新宿LOFT公演! 企画の歴史を彩る4組の対バン【レポート】

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『Grasshopper vol.17』Hammer Head Shark×Gill Snatch×SHIFT_CONTROL×くだらない一日 Photo by 清水舞

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10月23日(月)、新宿LOFTにて『Grasshopper vol.17』が開催された。Grasshopperの企画としては初めての新宿LOFT。いつもと違う会場での記念すべき1回目のライブにて音楽を鳴らすのは、Hammer Head Shark、Gill Snatch、SHIFT_CONTROL、そしてくだらない1日の4組だ。開演に近づくにつれて徐々に増えていく来場者が会場を埋めていった。

Hammer Head Shark

一発目の音のインパクトを受け、ライブが始まったことをその空間にいる人間皆で共有する。『魚座の痣』では、ミッドテンポの曲に、透明感を持ちながらも、力強く響く歌声が乗る。懐かしく、温かく響く音楽を、目を閉じて味わった。

会場に大きく轟く音は、なぜか体に染み渡り、心を落ち着かせる。続く『声』もゆったりとした曲で、不思議と深呼吸を促される。感情を整える、セラピーのような時間だった。

『echo』は静と動の緩急が、サビの力強さを引き立たせる。それを聴いていると力がみなぎってくるようで、確かな存在感のある音楽を奏でていた。曲が終わり、ながいひゆ(Gt/Vo)が弾き語りを始める。寂しげな歌声から始まった『りんごの駅』は、突然感情を変えて大きな音を奏でる音楽に変化した。ファズギターの力を最大限開放した迫力ある1曲だった。

最後の1曲は『たからもの』。オレンジ色の照明に照らされ、温もりあふれるステージで、最後に一番暖かい音楽を聴いた。下を向いて音楽と歌に集中して聴く人が多くいた。音を味わっているのか、それとも何か思い出しているのか。何にせよ、純粋にHammer Head Sharkの音楽を受け止めていた。

ライブは一貫してミッドテンポの曲で構成されていたが、それゆえに彼らの音楽の良さが真っ直ぐに伝わってきたように思う。

Gill Snatch

本日のライブで唯一の3ピースバンドだ。黒い服に身をつつみ、不穏な雰囲気を漂わせる。『W.I.P?』ではギターの棘のある歪みが体を突き刺してくる。攻撃的な音に対して、歌声は非常に滑らかで優しい。『Left』では音の輪郭が崩れるほど歪んだベースの音が鳴り響き、ステージが真っ赤に染まる。ノイズか音かの瀬戸際を攻めるスリリングな音楽に気分が高揚していく。ドラムの金物の音もザワザワと鳴り響き、バンドサウンドに彩りを加えた。

『Cry B Cry』は3人での演奏がバッチリと揃っており、その歯切れの良さが気持ち良い。息のあった演奏はロックの力強さとパンチを生み出していた。続く『サニーサイドブルース』は今までの曲と少し毛色を変えて、どちらかといえば爽やかな1曲だ。しかし、それでもベースは相変わらず太い音で、バンドの音楽の軸をぶらさない。前に立つ2人がシンガロングし、より叫び声に近い感情のこもった歌声を聴いた。

最後の2曲は『幽霊』と『yudegaeru』。深い青色の照明がステージを怪しくする。『幽霊』は今までの曲よりテンポを少し落としているが、ギターの刺々しい音、ベースの迫ってくる音ゆえに、心は静まることなく、アツさを保つ。

最後の1曲、『yudegaeru』に入る瞬間も大きなノイズに見舞われた。彼らは頭が割れそうなサウンドを爆発させた。熱量の大きさ、彼らの音楽の力強さを思い知るライブだった。

SHIHT_CONTROL

赤黒い照明に照らされ、4人のクールなシルエットが目に飛び込んでくる。アサノチャンジ(Gt/Vo)の振る舞いが圧倒的な主人公のように見える。『バーンアウト』は王道ギターロック。キメやサビの上がり方、ステージングまでも全てがアガる要素になっている。1列目で前のめりになるファンが並び、拳をあげた。

『ニヒル』ではアサノと岡村耕介(Gt)が向かい合って息のあったギターの掛け合いを披露する。アサノはハイトーンもキレよく歌いこなす。また叫びきる歌声に気分も引き上げられる。

『numb brain』ではくまおかりお(Ds)が爆発的なドラムを鳴らす。綺麗なコーラスがアサノのストレートな歌声に乗って、美しく響いた。くまおかの「1、2、3!」の掛け声から『ペトリコール』が始まる。途中で3拍子に変わったり、ドラムのパターンが変化したりと、1曲の中でも複数の変化を持たせている。

『Navy』は音源で聴くよりも迫力ある歌い出しで一気に引き込まれた。エモーショナルなメロディが頭にこびりついて離れなかった。

ライブは終盤戦に入り、『Override』が始まる。曲が始まった瞬間から観客が拳を高く上げた。岡村はステージの前に出てギターソロを魅せる。SHIHT_CONTROLらしい王道のロックだ。そして最後は『かまうな』。キラキラと光る照明が彼らの音楽を彩り、賑やかで楽しい最後の1曲を演出する。ステージングにまでこだわった、ひたすらにアガる30分を届けてくれた。

くだらない1日

「こんばんはー、くだらない1日でーす。やりまーす」。そんな、友達に話しかけるようなラフで気だるそうなスタンスがなんだか良くて、グッと引き込まれる。ゆったりと重厚感のある『heel』が始まった。コーラスと歌、ファズギターとベースドラムの低音の響き。何重にも音が重なるバンドサウンドが空間に広がっていく。まるで音で結界をはられているような気分だ。

『帰宅部』は翻ってクリーンな音が中心となる。純粋で清らかな音が響き渡っていた。高値ダイスケ(Gt/Vo)は地声とはイメージがまったく異なる、真っ直ぐなハイトーンボイスを魅せる。続く『アメフト部』でも一貫した発声で歌いきった。

普段は友達の企画するライブにしか出ないため、Grasshopperのような企画は新鮮なようだ。しかし、ブッキングライブにおいても彼らのパフォーマンスのスタンスは変わらない。『誕誕』という新曲は疾走感のある曲だ。荘厳な音楽に対照的に聞こえる少年のような歌声がアクセントになっていた。

『力水』は2本のギターでハモるリフが聴いていて非常に気持ち良い。爽やかでテンションが上がる2曲が続いた。一方で、続く『泣き虫』は悲壮感が漂う曲であり、ライブの雰囲気を一気に変える。演奏のキメやリフ、リズムが非常に頭に残る1曲だった。

『trust none』も頭や足でリズムをとる人が多くいた。高値の気だるそうな語りが音楽に乗る。アタック感の強いベースが体を揺らしてくる。不協和音がどんどん修正されて最終的にハマっていく感じが気持ちよかった。

「ラスト2曲です。激しいやつと激しいやつやって終わります、お疲れっした」と言って『レッドアイズオルタナティブドラゴン』が始まり、高値が叫びまくる。頭を振ってギターをかき鳴らし、激しいノイズ音でくだらない1日の別の顔を魅せる。『やるせない』でも昂る感情は止まらない。観客は手をあげ、飛び跳ねた。その熱量に魅了されていた。

Text by らいれいな Photo by 清水舞

『Grasshopper vol.19』 は12月18日(月) 下北沢DaisyBarにて開催!

イベント公式サイト
https://fan.pia.jp/grasshopper/

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