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【「PSYCHIC FES」同世代座談会 第一弾】ヤマトパンクス×藤澤信次郎×仲川慎之介「みんな音楽をちゃんと頑張ってる」

音楽

インタビュー

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左から)ヤマトパンクス(PK shampoo)、仲川慎之介(時速36km)、藤澤信次郎(浪漫革命) Photo:佐藤瑞起

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PK shampoo(ピーケーシャンプー)のボーカル・ヤマトパンクスがプロデュースする初のサーキットイベント「PSYCHIC FES」(サイキックフェス)が2023年11月18日(土)、新宿歌舞伎町のライブハウス4会場で開催される。もともとフェスへの出演を積極的に行ってこなかったヤマトは、なぜフェスを手がけることにしたのか? どのような哲学の元、開催されるのか? 同イベントに出演する同期バンドである浪漫革命の藤澤信次郎(じろー)、時速36kmの仲川慎之介を迎え、3人でフェスについてたっぷりと語ってもらった。

――同期の定義はいろいろあると思うんですけど、3組はいつからの付き合いなのでしょうか?

ヤマト 出会いとしては、じろーちゃんも慎ちゃんも4~5年前くらいやったから、2017年頃かな。じろーちゃんと俺は、歳も同じなら、バンドを始めた年も同じやんな?

藤澤 あと、顔もそっくりやし(笑)。

――あははは。ふたりは同じ関西出身ですが、それぞれ違う大学に通っていたわけで、どのように出会ったのでしょう?

藤澤 京都の加速するラブズってバンドの先輩・カーミ(タカアキ)さんが「今日一番おもろいやつ連れてくるわ!」って飲み会に連れてきたのがヤマちゃんやったんです。正直、最初は苦手で、理解するまでに結構時間がかかったんですけど、飲み会で会うたびに仲良くなっていって。浪漫革命初のツーマンは一緒にやりたいと思って、PK shampooを誘いました。

――時速36kmは関東出身ですが、仲川くんとはどのように接点が生まれたんでしょう?

ヤマト バンドをはじめて、下北沢にライブで来たりするようになったんですけど、そのとき俺は嫌いやったんですよ。東京とか、下北とか、あとやたら一緒にブッキングされる時速36kmとかCRYAMYみたいなバンドたちが。

藤澤 ちょっとごめんな。俺、ほぼ会ったこともないんやけど、CRYAMYのカワノさんから「フェイク野郎!」って言われてるらしいな(笑)。なんか分からんけど否定できひんし(笑)。

一同 (笑)。

ヤマト 昔カワノが酔っぱらってそう言ってたのを面白がってじろーに伝えたのは俺やけどな(笑)。とはいえ俺も当時、さっき言った2バンド含めて周りのバンドのことを全然よくない!みたいに思っていて。

仲川 最初のきっかけは、TOKYO CALLINGだった気がするんですよね。打ち上げが終わった後に、ベロベロになったヤマトさんとカワノがもう一軒行くってなって。お前も来い!って誘われたんですけど、「いや、いいっす」って言ったら、なんやねん!って、火のついたタバコをぶん投げられて。紙一重で避けたんですけど(笑)。

ヤマト こっちから見たらAKIRAのバイクのブレーキランプみたいになってました。すみません。

仲川 それが最初だったので、第一印象は最悪ですよね(笑)。

――音楽の嗜好性はそれぞれバラバラだと思うんですけど、ヤマトくんから見て、2組の音楽性はどのように感じていますか?

ヤマト さっきみたいなギャグのやつじゃなくて、当時の俺は時速もCRYMAYも全員、マジでフェイク野郎やと思ってたんです。同世代も、先輩も、全員のことが嫌いだったんです。勿論、そんな俺は俺でネットとか含めて色んな人に叩かれたり、フェイク野郎扱いされていて。そうやって叩かれて、バカにされて、俺だって必死にやってるんじゃこの野郎!と思ったときに、「あれ? もしかしてみんなもそうなんかな?」と思い始めたというか。そこからコロナ禍になって、バンドが解散したり休止したり、そんな中からも新しく結成したりするのを近い距離でずっと見ていると、ジャンルや年代やバックボーンの差はあれどみんな音楽を愛して本気でやっているんやなと思うようになっていって。数年前までは、あんなやつらクソダサいよとか、居酒屋で酔っ払って平気で言い合っていたけど、最近はもう、そこに感動してきてるダサい自分もいて。みんな未だに続けてくれている奇跡じゃないけど、そういう風に考えると誰もフェイク野郎じゃない……少なくともじろー以外は誰もフェイク野郎じゃないなって(笑)。

藤澤 おい! でもそこまで来たら、俺だけがリアルなんかもしれんな(笑)。

――あははは。じろーさんは、そうしたヤマトくんの意見に対してどう感じますか?

藤澤 めっちゃ分かるというか。音楽って人間性がめちゃめちゃ出るじゃないですか? 大学の同期と飲みながら、「なんでこんなにPKの音楽ってええんやろうな」って話してたんですけど、人間性が音楽より先に来るからなんじゃないかって話になったことがあって。音楽がいいからよく見えるのか、人間がいいからよく見えるのか分からないんですけどね。実際、気がついたら、ヤマトパンクスとかPK shampooの音楽にハマっている自分がいて。こう見えて、僕は友達が全然おらんくて、大学の外で初めてできた友達がヤマちゃんやったんです。個人的にパンクとかオルタナという音楽を通ってこなかったので、PKを知ってオルタナを聴いて、初めて音楽にハマったときくらいゾクゾクしたというか、こんな世界があるんやって刺激的で。ライブを観るのも楽しみだったし、いろいろな音楽を聴いていこうってきっかけになったんです。

――音楽と人間性という話が出ましたけど、仲川くんはどう思われますか?

仲川 最終的にどっちがよくていいと思っているのか分からなくなるのは、すごく分かりますね。でも、傾向として言うなら、俺は音楽を好きになって、その音楽を作っている人と接したときに人間性まで良いように見えてくることが多いかも。そういう意味では、ヤマトさんは特にそうというか。俺は別に大酒を飲むタイプでもないし、最初の印象で仲良くできないだろうなと思っていたんですけど、曲を好きになってからは、気づいたら、これぐらいめちゃくちゃやらないとこの歌詞は書けないよなとか、こんなメロディーは出てこないんだろうなと思っている自分がいて。逆に、じろーさんは最初から音楽性が高くて大好きなんですよ。

藤澤 うわ、うれしい! めっちゃうれしいけど、大丈夫? フェイク野郎やけど(笑)。

仲川 (笑)。フェイク野郎かどうかは置いておいて、とにかく音楽の精度が高い。じろーさんと初めてしゃべったとき、ジャズの話をめちゃくちゃして。さっき、オルタナを通ってこなかったって話がありましたけど、そこをシャットアウトしてきたからこそできる音楽なんだなって、いい見方しかできなくなっちゃうというか。

ヤマト 俺は慎ちゃんとは逆やな。どっちかと言うと人間が好きだから、そいつが歌っている曲も好きになるというか。だからこそ、今回PSYCHIC FESに出てくれる人たちのジャンルも年代もバラバラになってしまったし、そういう風に、雑多って言うと悪い意味になるけど多様なバンドを集めるイベントをどこでやるかと考えたら、やっぱり新宿しかないなと思ったんです。イケてなくても、家がなくても、親がいなくても、クズでも、カスでも、逆に言えばイケメンでもエリートでも金持ちでも誰でも全員ここにいていいよって空気感を新宿という街全体からヒシヒシと感じるんで。それは、自分の生まれ育った大阪という街が教えてくれたことでもあります。バンドマンと、ラッパーとスケーターと、外人とオタクと浮浪者がやっぱり同じアメ村にいるあの感覚が好きで。そういう多様性の総体というか集積というか自分ひとりじゃ理解が追いつかないくらいの全体性に一応の名前がついてひとつのイベントになっていく過程そのものがおもしろいなと思ってたんだなって、こうして喋りながら自分でもわかってきたようなわかってきてないような気がします。

――じろーさんは昔からヤマトくんの人間性を知っているわけじゃないですか。今回のラインナップを見てどういうことを感じますか?

藤澤 そもそも僕が音楽にハマったきっかけって、自分がつらいときに今のバンドメンバーや大学で出会った友達に音楽を教えてもらったことで助けられたからで。一緒に演奏したり、歌ったり、酒を飲んだりするのが楽しくて、そこが自分の音楽の原点で根幹なんです。ヤマちゃんも、多分その感覚に近くて。誰も俺から離れるな、俺は誰も見捨てないから、誰も離れないでくれって感じがある。浪漫革命がメジャーから自主になった期間があったんですけど、「どうしたらいいか分からない」って言ったら、ヤマちゃん含めPK のスタッフ陣が、じろー困ってるし助けたろうやぐらいの感じでツアーの組み方とかをイチから教えてくれて。彼らに何のメリットもないのに、いろいろなことにぶち当たりながら突っ走ってきた海賊船みたいなPK shampooのチームを紹介してくれたりとか含めてメリット・デメリットで生きてないのが音楽性にも表れているし、おもしろい。だからかもしれんけど、PK shampooのファンってどうしようもないやつら多いし(笑)。

ヤマト じろーちゃんにアンチリプライ送ってくるもんな(笑)。

藤澤 たぶん先輩、後輩、同期含め、ヤマちゃんに何かしら救われたであろうメンツというか。むかし俺が彼女に振られてひとりでいられないときも、記憶を失うまで一緒に飲んでくれて。そこがPK shampooの音楽性にも全部出てるし、このフェスにも出ていて。唯一無二感がしますよね。単純にやさしいとか、おもしろいでは収まらないカリスマ性を持っているなと思います。

仲川 このフェスに出てる人たちって、変なバイアスがかかってないと思うんです。時速がフェスをやろうとしたら、もうちょっと打算も含まれるだろうし、逆に仲良い人だけを呼びたい気持ちになるかもしれないけど、そうじゃなくて、ただひたすら関わってきた人たちを誘うのがヤマトさんなんだろうなって。別に関係が薄いとか深いとすら思ってない感じがあるというか、そこまで値踏みしていない感じすらする。これを天然でできる人は少ないだろうなと思って。PKは時速と活動初期からの関わりで、自分たちがここまでバンドを続ける要因のひとつになっていると思っていて。ただ、関わりが深い、親しいっていうのは今回どうでもいいというか、PKに関わったから呼ばれたんだろうなと思いますね、ドライに聴こえるかもしれないんですけど、それってすごくかっこいいことだなと思いますね。

――たしかにPSYCHIC FESは、今、仲川くんが言ってたみたいに打算でやっている感じもしないですよね。ヤマトくんは、どうしてこのフェスをやろうと思ったんでしょう?

ヤマト マネージャーに金持って飛ばれたりした時期に、どうしようと思って考えたのが始まりなんですけど、正直、何も考えてないかもしれないです(笑)。時速が続けていく理由のひとつに俺たちが入っていると言ってくれましたけど、僕も勿論それは感じていて。例えば、時速が有名な人に褒められてるとか、浪漫革命がバズってるとか……。

藤澤 11万いいねな!

ヤマト うるさいわ(笑) そういうとき、俺はラジオとか、コメンテーターの仕事とか違う土俵で戦おうとばかりしてきたんですよね。お前らがどんだけ評価されてるか知らんけど、俺は別のところで戦ってるからみたいな顔ばかりしてきた。今回、そういう角度の自分をどう処理するかに悩んだというか、たとえば芸人さんとか文化人ぽい人を呼んでトークイベントのステージ作ってみようかな、とかも一瞬頭をよぎったんですけど、やっぱり俺は一回、みんなと音楽やりたいなと思って。それでこそ、浪漫革命や時速と一緒に戦ってると言えるんかなって。同世代も先輩も後輩も含めて、みんながみんなあいつらダサい!とかフェイク野郎!とか言い合ってるけど、みんなちゃんと音楽を愛してて、それがすごく美しいというか、なんだかんだ言って、みんな向いてる方向は同じみたいな。それを総決算するようなものを1つ形にしたかったし、僕もそこに参加させてほしかった。みんなで1つの方向を向いていること自体の巨大な概念を表したかったとかいうと大げさですけど。だから、もはや別に俺たちが主催じゃなくて全然よくて、次は時速あたりにPSYCHIC FESを主催してほしいな(笑)。名前も変えていいし、持ち回り制でいいんじゃないかなとすら思うんです。

一同 (笑)。

――ちなみに、PSYCHIC FESという名前の由来は?

ヤマト PK shampooのPKって、サイコキネシスみたいな意味もあるので、そこからなんですけど、単純になんでもよかったんです。「時速36kmフェス」とか俺らが勝手に銘打って開催してもよかったぐらい(笑)。とにかく、白旗でもいいからとりあえず振ってみようみたいなところから始まってやっているので、そこに深い意味はないですね。みんなとやりたかっただけです。

――最後に、今回出演するにあたってどんなライブにしたいか聞かせてください。

仲川 このフェスでは、自分らのバンドができることが何なのかちゃんと向き合って、1曲集中でやった方がいいなと思っています。フェスによって、にぎやかな曲が合うんじゃないかみたいに考えたりもするんですけど、そういうこと関係なく、逆張りも何もなしで、純粋にできることをやる。自分は自分の位置からまっすぐストレートを投げればいいなと思っています。全員が各々の方向にストレートを投げることが、このフェスを完成させる意義だと思うので、まっすぐやります。

藤澤 僕はたぶん本番めっちゃ緊張するんやろうなと思っていて。僕らの初期ツアーの名古屋公演にPK shampooに出てもらったんですけど、僕ら主催なのに、ブッキングを放置しすぎたせいで自分たちも知らないバンドが7組くらい出ていて。それくらい僕らはイベントに向き合わずに曲だけ作ってライブをしていたなと思ってきたんです。PK shampooは、ずっとお客さんを惹きつけているというか、ストーリーがずっと続いている。僕らもメンバー内とか自分たちの中ではストーリーが続いているんですけど、それをヤマちゃんは人前とかでちゃんと言うから、生き方然り音楽然りストーリーが全部続いて、ちゃんとお客さんにも伝わっていってる。そういうバンドだからこそ、PSYCHIC FESがPK shampooの集大成になるし、そのストーリーに自分たちも参加できるのは心からうれしいですね。とにかく楽しみです。

――PK shampooはどんなライブをしたいですか?

ヤマト いい意味でも悪い意味でも、嫌われるようなライブをしてみようかなと思いますね。こっちの意図がぜんぜん伝わらんやつにこっちの意図が伝わるのってめっちゃ最高なんで、とりあえず伝わらんやつを世界に増やすことが「めっちゃ最高」への近道な気がするんです。逆転現象みたいになってますけど、伝わらへんやつを探していく。そして伝わらへんやつに俺は一昨年のバズリズムで7位にランクインしてんねんぞ!って胸ぐらを掴んでいく(笑)。何回もフェイク野郎のくだりをこすりますけど、俺はリアルや!って大声で言うことで逆にフェイク感を出す、みたいな価値観の転覆をずっとやりたいような気がしているので(笑)、その連鎖をもっと作っていきたい。今回、見に行きますって言ってくれてる若手バンドもたくさんいるんですけど、そいつらが、「こんなやつらでもサーキットやれるんだ!」って、別の日時でもう1回コピペしてくれたらいいなと思って。

――ヤマトくんらしい考え方ですね。

ヤマト さっき言ったように、どんな旗でもいいからとりあえず振ってみたらいい。別に誰かにクソリプ送ったりネットに悪口書くことしか今はできないならそれでもいい。いや、ダメですけどね(笑)。でもそれがあなたのやりたいことだったら、出来るだけ否定したくないです。他人に迷惑をかけるのはダサい!なんていうルールや常識くらいでは、人間の、何かをしてみたい、ってエネルギーを押さえつけることはできないと思います。だからそれが間違っていても、ダサくても、それが本当にやりたいことじゃなくても、とりあえずはやってもいい。誰かのダサいとか間違ってるみたいな指摘に負ける必要はない。別に、わざと迷惑かけろ!って言ってるわけじゃないですよ(笑)。でもなんていうか、そういう許しあいの連鎖の大切さに徐々に気づき始めている気がして。それは、友だちやライバルを見て、こいつかっこいいな!と、こいつクソダサいな!の繰り返しの中でようやく気づけたことで。それを自分も今回のフェスで体現しよう、ライブでもやってみようと思ってます。

Text:西澤裕郎(SW) Photo:佐藤瑞起

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<公演情報>
PK shampoo presents『PSYCHIC FES』

11月18日(土) 開場11:00 / 開演12:00
会場:Zepp Shinjuku、新宿BLAZE、新宿MARZ、新宿Marble

【出演アーティスト】
愛はズボーン、a flood of circle、Wienners、ENTH、CRYAMY、クリトリック・リス、後藤まりこ アコースティック violence POP、崎山蒼志、ザ・シスターズハイ、挫・人間、時速36km、Jam Fuzz Kid、ジュウ、シンガーズハイ、神聖かまってちゃん、SuU、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、多次元制御機構よだか、鉄風東京、DENIMS、東京初期衝動、PK shampoo、Hue’s、Blue Mash、Haze、Maki、浪漫革命、忘れらんねえよ

チケット料金:6,000円(税込・ドリンク代別)
https://w.pia.jp/t/psychicfes/

公式HP:
https://pkshampoo.jp/psychicfes

関連リンク

PK shampoo HP:
https://pkshampoo.jp/

時速36km:
https://www.36kmperhour.com/

浪漫革命HP:
https://romankakumei.com/

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